この事例は、工場の端に置いていた台車の置き場を見直し、定数を設定した整頓事例で、専門家評価はBランク(60点)。通路を確保し、出し入れの時間も短縮。あと6点でAランクに届く。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 置き場(台車) |
| 専門家評価 | Bランク(60点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 台車の出し入れの時間を、1日平均60秒短縮×月10日発生。1カ月あたり600秒(600円)の削減(改善報告の試算)。通路が狭まる状態を解消した |
改善前の状態(Before)
使っていないときの台車を、工場の端に置いていました。台車はバラバラに置かれていたため通路を狭めてしまい、奥の台車を出すのにも手間がかかっていました。

改善内容(After)
台車の置き場を変更し、各台車の定数を設定しました。置き場の場所を見直したうえで、何台置くかを決めて整然と配置したことで、通路を狭めることなく、出し入れのムダをなくしています。

専門家コメント
未使用の台車を工場の端にバラバラに置いていたことで、通路を狭めてしまい、奥の台車を出すのにも手間がかかっていた状態を、置き場の場所を見直し、さらに定数を設定して整然と配置することで、出し入れのムダをなくした、とても効果的な改善ですね。
作業効率の向上と通路の安全確保の両方につながる、非常に価値の高い取り組みです。気づいて実行してくれたことに感謝します。ありがとうございます。
このような「モノの定位・定量管理」は、5Sの“整頓”の中でも特に重要な考え方で、誰でも迷わず使える職場づくりに直結します。
5S改善評価:合計60点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | A | 16点 |
| (2)改善の独自性 | B | 12点 |
| (3)改善の難易度 | B | 12点 |
| (4)清潔レベル | B | 12点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 8点 |
| 合計 | B | 60点 |
(1)成果の大きさ:A(16点)
理由:通路確保と作業効率の向上という2つの大きな効果を生んでいる。全員が使う台車であるため波及効果も高い。
(2)改善の独自性:B(12点)
理由:「定位・定数管理」は整頓の王道の仕組み。ただし、定数を明確に設定した点は現場での実効性が高い。
(3)改善の難易度:B(12点)
理由:置き場を見直し、定数を設定するのに検討は必要。大掛かりではないが、調整に時間を要する改善。
(4)清潔レベル:B(12点)
理由:台車が乱雑に置かれる状態を防止できる仕組み。輪郭表示や点検ルールが加わればさらに上位評価へ。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(8点)
理由:定位・定数の仕組みはあるが、運用ルール(形跡表示・点検・超過対応)が未整備。仕組み化すればAレベルに成長可能。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
合計60点のこの事例は、Bランクの上位にいます。特に次の3点は、しっかり評価したいところです。
- 「置き場所」だけでなく「台数」まで決めた。置き場を移すだけで終わらせず、各台車の定数を設定しています。定位と定量を一緒に決めたことで、置き方に迷いが出にくくなりました
- 効率と安全の両方に効いた。出し入れの時間が1日平均60秒短くなっただけでなく、通路を狭める状態がなくなり、通路の安全確保にもつながっています
- 全員が使うモノを対象にした。台車は共用の道具です。一人の作業ではなく、職場全体の動きが良くなる改善です
あと6点でAランク。習慣と清潔を1段階ずつ上げる
合計60点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと6点です。習慣(しつけ)レベルをC(8点)からB(12点)に上げると+4点で64点。まだBランクです。そこで、清潔レベルもB(12点)からA(16点)に上げると、さらに+4点で合計68点になり、Aランクに届きます。習慣だけをA(16点)まで上げても68点になります。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | B(12点) | C(8点) | 60点 | B |
| 習慣をBに | B(12点) | B(12点) | 64点 | B |
| 習慣をB、清潔をAに | A(16点) | B(12点) | 68点 | A |
| 習慣をAに | B(12点) | A(16点) | 68点 | A |
専門家も、次の改善の視点として、定位と定数のルールが確実に守られるように「しつけ」や「清潔」の仕組みを加えていくことを挙げています。
「台車がまた通路にはみ出す」を、起きる前に防ぐ
置き場と定数を決めた今は、次に、乱れそのものが起きない仕組みへ進むタイミングです。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。台車が置き場からはみ出してから片付ける、という「後追い」ではなく、「気をつけて戻す」に頼らずに、戻す場所と台数が自然に守られる形にします。専門家の提案と、それをもとにした例をまとめます。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み |
|---|---|
| どの台車をどこに戻すか迷い、置き方が崩れる | 台車ごとの形跡表示(輪郭や番号の表示)を入れて、定位を明確にする(専門家の提案) |
| 少しずつ乱れても、誰も気づかない | 置き場所の定期チェックルールを設定する(専門家の提案) |
| 定数を超えた台車が、また通路に置かれる | 定数超過時の一時保管ルールを明確にし、周知する(専門家の提案) |
| 置き場の境目があいまいで、通路側にはみ出す | 置き場と通路の境目を床に表示する(例) |
通路や床の表示は安全に関わるため、設備・安全の担当者と確認しながら進めてください。専門家は、今回の改善をベースに、他の共用物にも同様の整頓ルールを展開することもすすめています。こうした仕組みが加われば、Aランク以上に発展できる内容です。
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