この事例は、左右を取り違えやすい治具の識別表示を見直した整頓事例で、専門家評価はBランク(51点)。取り出し時の確認と作業台での選別が不要になった。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 工具/備品(左右のある治具) |
| 専門家評価 | Bランク(51点。Bは46〜65点) |
| 効果 | コンテナから出す際の確認2秒が0秒に×30回=60秒、作業台での選別3秒が0秒に×30回=90秒。月に150秒が0秒になり、年に1,800円の削減(改善報告の試算)。左右の取り違えを防止 |
改善前の状態(Before)
左右のある部品を、よく左右を間違えたまま作業台に置いていました。そのため、折りたたみコンテナから出すときに左右を確認し、作業台でもう一度選別する手間がかかっていました。確認に1回2秒、選別に1回3秒です。
専門家コメントによると、この治具はもともと識別管理がされていました。それでも取り違えが起きやすかったのは、人の注意力ではなく、表示の仕組みの問題です。

改善内容(After)
左右の取り違えが発生しやすい治具の表示方法を変更しました。専門家コメントによれば、もともとの識別管理を、「耐久性」と「識別のしやすさ」の2つの観点から発展させた改善です。
さらに、治具を収納する箱にも、「赤」と「青」で識別表示のマークを付けました。治具そのものだけでなく、しまう場所の側でも左右が分かるようにした点がポイントです。
その結果、取り出し時の確認と作業台での選別が、どちらも0秒になりました。

専門家コメント
改善活動ありがとうございます。左右の取り違えが発生しやすい治具の表示方法を変更した改善事例ですね。
もともと識別管理されていたものを、「耐久性」と「識別のしやすさ」の観点から改善を発展させた素晴らしい改善です。
治具を収納する箱にも、「赤」と「青」で識別表示のマークをつけたところにも工夫がみられます。
■色の活用について
5S管理や識別管理を行ううえで、色を活用するのは、重要なポイントです。人は「文字による識別」よりも、「色による識別」の方がしやすいです。色は言葉であり、色を有効に活用することが、5S管理や見える化を進めるコツです。
現状を良しとせずに、レベルアップを図った改善であり、継続した改善が進められていると評価します。
5S改善評価:合計51点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | B | 12点 |
| (2)改善の独自性 | B | 10点 |
| (3)改善の難易度 | C | 9点 |
| (4)清潔レベル | B | 13点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 7点 |
| 合計 | B | 51点 |
(1)成果の大きさ:B(12点)
理由:確認2秒と選別3秒がなくなり、月150秒・年1,800円の削減(改善報告の試算)。時間の削減は小さめですが、左右の取り違えという品質に関わるミスを防いだ点を加味し、「満足のいく成果」と評価する。
(2)改善の独自性:B(10点)
理由:色による識別は、5Sでよく使われる手法です。ただし、既存の識別管理に満足せず、「耐久性」という観点を加え、収納箱の側にも赤と青のマークを付けた点に工夫があります。「標準的に発想ができる改善」の下側と評価する。
(3)改善の難易度:C(9点)
理由:表示方法の変更と、収納箱へのマーク付けが中心で、改善報告には所要時間や加工の記載がありません。根拠が少ないため帯の下側に置き、「そんなに時間をかけない改善」と評価する。
(4)清潔レベル:B(13点)
理由:文字より見分けやすい色で識別し、表示の耐久性も高めたことで、同じ作業なら取り違えが起きにくい状態になっています。治具と収納箱の両方で識別している点も、再発を防ぐ力になっています。「同じ状況なら再発が起きにくい改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(7点)
理由:専門家は「継続した改善が進められている」と評価していますが、色の使い方のルールや、表示の点検・交換の決まりについては、改善報告に記載がありません。ルール未整備の段階として、「徹底すべきルールを設定する前の段階の改善」と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
この事例でまず評価したいのは、「すでにある仕組みを、さらに良くした」という姿勢です。特に次の4点は、ほかの現場でも参考になります。
- 識別管理があっても、満足しなかった。もともと識別はされていました。それでも取り違えが起きていた事実に向き合い、表示そのものを見直しました
- 「耐久性」に目を向けた。見やすさだけでなく、表示を長く保てるかまで考えた点は、清潔の考え方に近いものです
- 文字ではなく色で分けた。人は文字より色の方が見分けやすい、という専門家の指摘どおりの工夫です。一目で左右が分かるので、確認や選別という作業そのものがなくなりました
- しまう箱の側にも、赤と青のマークを付けた。治具だけでなく収納箱でも左右が分かるので、出すときも戻すときも、左右がそろいます
確認と選別が「0秒になった」こと、つまり作業そのものをなくしたことも、整頓の改善として理想的です。
あと15点でAランク。習慣と清潔を段階的に上げる
合計51点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと15点です。1項目では届かないため、習慣(しつけ)と清潔を順に上げます。「左右を色で分ける」やり方をルールにして、ほかの治具にも広げれば、習慣レベルはAを狙えます。
| 上げ方 | 習慣 | 清潔 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(7点) | B(13点) | 51点 | B |
| 習慣をAに(色分けのルール化・展開・点検) | A(16点) | B(13点) | 60点 | B |
| さらに清潔をSに(未然防止の仕組み) | A(16点) | S(19点) | 66点 | A |
「左右の取り違え」を、起きる前に防ぐ
清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。取り違えが起きてから直すのは「後追い」です。「よく見て確認する」に頼らず、表示が傷む前に気づける、正しい場所にしか戻せない形にするのが未然防止です。たとえば次のような仕組みが考えられます(例)。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|
| 色の表示がかすれ、また見分けにくくなる | 表示の点検日と交換の基準を決めておく(例) |
| 別の治具で、赤と青の意味がばらばらになる | 「左は◯色、右は◯色」という色のルールを職場で1つに決めて掲示する(例) |
| 収納箱に、左右を逆に戻してしまう | 治具の形に合わせた仕切りなどで、正しい向き・場所にしか入らない構造を検討する(例) |
治具の形状や収納の構造を変える案は、品質や設備に関わる場合があるため、担当者と確認しながら進めてください。今回の色分けの考え方を、ほかの左右のある部品や治具にも展開すれば、職場全体の取り違えを減らせます。
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