この事例は、工具置場の予備のボルトなどを処分し、必要な物だけにした整理・整頓事例で、専門家評価はBランク(52点)。あと14点で、Aランクに届く。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整理・整頓 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 工具/備品(工具置場) |
| 専門家評価 | Bランク(52点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 予備で置いていたボルトなどを処分し、必要な物のみ置くようになった。引き出しの中身が、開けなくても記憶できる数量に収まった(専門家コメント) |
改善前の状態(Before)
予備で置いていたボルトなどが、乱雑に置かれていました。専門家は、改善前の写真を見て「たくさん不用品があったみたい」と受け止めています。引き出しを開けると中がぐちゃぐちゃ、という状態は、工場内ではよくある光景です。

改善内容(After)
不用品の処分を行い、必要な物のみを置くようにしました。専門家コメントによると、整頓の方法として「形跡整頓」の対象にしたアイテムは4つだったとうかがえます。

専門家コメント
引き出しを開けると中がぐちゃぐちゃ。工場内ではよくある光景です。
それがなぜ起こるか?というと、引き出しがあるから、ですよね。引き出しは閉めると中味が見えません。だからついついいろんなモノを押し込めておきたくなるというのが、ヒトの心理ですよね。
だけどこの整頓活動の考え方からすると、引き出しの中身は全部そとに出して見えるようにしていくことが前提です。
その一方で、引き出しの中身をそもそも乱れないようにする1つの有力な方法が、この『形跡整頓』と呼ばれる方法です。カタチを使ってそこに戻すことが、何も考えなくてもわかる工夫です。この他に印を使ったり、色を使ったりして、意識しなくても間違えないように、あるいは間違ってもすぐわかるようにします。
しかしビフォーの写真をみるかぎり、たくさん不用品があったみたいですね。形跡整頓の対象アイテムが4つだけとは。
今後、この引き出しは作業者にとって、何が入っているか開けなくても記憶できる数量に収まったことが大きな成果だと考えます。ぜひ他にもこのような場所をみつけて、改善を進めていってくださいませ。
5S改善評価:合計52点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | A | 16点 |
| (2)改善の独自性 | C | 8点 |
| (3)改善の難易度 | C | 8点 |
| (4)清潔レベル | B | 12点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 8点 |
| 合計 | B | 52点 |
(1)成果の大きさ:A(16点)
理由:引き出しの中身が、開けなくても記憶できる数量に収まったことを、専門家は「大きな成果」としています。探す手間や、押し込む心理による乱れの元を減らした効果は大きい。「やや大きい成果」と評価する。
(2)改善の独自性:C(8点)
理由:不用品を処分して、必要な物だけにする改善は、多くの職場で取り組まれている。形跡整頓という有力な方法に触れている点は評価できるが、対象が4アイテムにとどまっている。「よく似たタイプが多い改善」と評価する。
(3)改善の難易度:C(8点)
理由:処分と置き方の見直しが中心で、大がかりな設備や工数を要する改善ではない。「そんなに時間をかけない改善」と評価する。
(4)清潔レベル:B(12点)
理由:不用品を処分し、数量が記憶できる範囲に収まったことで、同じ状況なら再発が起きにくい。形跡整頓のように、戻す場所が形でわかる工夫が広がれば、さらに上げられる。「同じ状況なら再発が起きにくい改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(8点)
理由:改善報告には、置く物と数量のルール、点検の頻度、他の引き出しへの展開といった標準化の記述がない。徹底すべきルールの設定が、これからの課題。「徹底すべきルールを設定する段階」と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
合計52点のこの事例は、Bランクの中ほどにあります。点数以上に評価したいのは、次の3点です。
- 「しまい込む」から「必要な物だけ」へ変えた。引き出しは閉めると中が見えず、ついモノを押し込みたくなるものです。その状態に気づき、予備のボルトなどの不用品を処分しました
- 数量が「記憶できる範囲」に収まった。開けなくても何が入っているか分かる状態は、探すムダをなくす、整頓の大きな一歩です
- 成果がA(16点)。専門家が「大きな成果」と評価しています
整理は、5Sの最初の一歩であり、いちばん手間のかかる一歩でもあります。「たくさんあった不用品」と向き合って処分した現場の努力に、まず敬意を表したいと思います。
あと14点でAランク。習慣と清潔を引き上げる
合計52点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと14点です。習慣(しつけ)レベルをC(8点)からA(16点)に上げると+8点、清潔レベルをB(12点)からA(16点)に上げると+4点で、合計は64点です。残りの2点以上は、他の引き出しや置き場へ広げる工夫で、独自性をC(8点)からB(12点)に上げて目指します。
| 上げ方 | 内容 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|
| 現在 | 習慣C(8点)・清潔B(12点) | 52点 | B |
| 習慣をAに | 習慣A(16点) | 60点 | B |
| さらに清潔をAに | 清潔A(16点) | 64点 | B |
| さらに独自性をBに | 独自性B(12点) | 68点 | A |
専門家は、「ぜひ他にもこのような場所をみつけて、改善を進めていってくださいませ」と述べています。この引き出しで決めたルールを、他の置き場にも広げることが、そのまま習慣と独自性を上げる道になります。
「また不用品が溜まる」を、起きる前に防ぐ
清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。処分して片付けた後に、また引き出しが乱れてから直す「後追い」は、いつかモグラ叩きになってしまいます。「気をつける」に頼らず、乱れにくい形をつくっておくことが、未然防止です。専門家の言う形跡整頓は、まさにその代表的な方法です(以下は例です)。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|
| 戻す場所が分からず、また押し込む | 形跡整頓で、物の形を使って戻す場所が一目で分かるようにする |
| 予備のボルトなどが、また増える | 引き出しごとに置く物と数量を決め、一覧にして表示する(定位・定品・定量) |
| 置き方のルールが人によってばらつく | 印や色を使って、意識しなくても間違えない、間違ってもすぐ分かるようにする |
| 他の引き出しが乱れたままになる | 月1回の点検日を決め、同じ方法で他の置き場にも広げる |
こうした仕組みが整えば、清潔・習慣レベルが向上し、Aランクも射程内です。
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