この事例は、書類をプリントアウトするまでのマウスとキーボードの操作のムダを減らした習慣(しつけ)事例で、専門家評価はBランク(46点)。1日平均80秒の短縮につながった。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 習慣(しつけ) |
| 改善場所 | オフィス |
| 改善対象 | 書類(プリントアウトの作業) |
| 専門家評価 | Bランク(46点。Bは46〜65点) |
| 効果 | マウスとキーボードを打つムダを、1日平均80秒短縮×10日。1カ月あたり800秒の削減(改善報告の試算) |
改善前の状態(Before)
書類をプリントアウトするまでに、マウスとキーボードの操作が多く、その分の時間がかかっていました。改善報告では、この状態を「マウスとキーボードを打つムダ」と表しています。繰り返し発生する作業なので、1回の操作は短くても、積み重なると無視できない時間になります。

改善内容(After)
プリントアウトするまでのマウスとキーボードの操作を見直し、ムダな操作を減らしました。その結果、プリントアウトまでの時間が1日平均で80秒短縮されました。月10日の発生で、1カ月あたり800秒の削減になります(改善報告の試算)。

専門家コメント
改善活動ありがとうございます。書類をプリントアウトするまでの時間が短縮化した事例ですね。
繰り返し発生する事務作業を効率化するには、下記の手段があります。
1.作業内容を明確にする
まず、繰り返し行われる事務作業をすべてリストアップします。例えば、「データ入力」「メール対応」「報告書作成」など、頻度が高く時間がかかる作業に着目します。そして、作業の流れや手順を詳しく分析し、手間がかかる部分やミスが起きやすい部分を特定します。
2.作業手順を統一する(標準化)
次に、作業を効率よく進めるために、手順を統一します。例えば、作業手順をフローチャートにまとめたり、よく使う書類やメールのテンプレートを用意したりします。また、データやファイルの保管場所を整理し、誰でも簡単にアクセスできるようにします。これにより、作業ミスを減らし、効率的に進められるようになります。
3.自動化ツールを活用する
定型的な作業は、ツールを使って自動化することが大きな効果を発揮します。例えば、①データ入力や転記は、専用の自動化ソフト(RPA)を使う、②メールの送信や帳票の作成は、テンプレートやスクリプトを使う、などの取り組みが有効です。
これにより、人手を減らし、作業スピードを大幅に向上できますので、ご検討ください。
5S改善評価:合計46点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | A | 15点 |
| (2)改善の独自性 | C | 8点 |
| (3)改善の難易度 | C | 6点 |
| (4)清潔レベル | B | 10点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 7点 |
| 合計 | B | 46点 |
(1)成果の大きさ:A(15点)
理由:1日平均80秒、1カ月あたり800秒の削減は、事務作業の改善としてはまとまった時間です。繰り返し発生するプリントアウトの作業で、効果が出続ける点も評価できます。「やや大きい成果」の入り口にある改善と評価する。
(2)改善の独自性:C(8点)
理由:マウスとキーボードの操作という、秒単位の小さなムダに目を向けた視点は良いところです。ただし、改善報告からは具体的な方法が読み取れないため、工夫の度合いは判断しにくい。「よく似たタイプが多い改善」と評価する。
(3)改善の難易度:C(6点)
理由:操作の手順を見直す改善で、大がかりな物の準備や工事を伴うものではないと考えられます。所要時間の記載もないため、帯の下側に置きます。「そんなに時間をかけない改善」と評価する。
(4)清潔レベル:B(10点)
理由:1日平均で80秒の短縮が続いていることから、同じ作業をする限り、元の手間のかかる状態には戻りにくいと判断します。一方で、手順が人によって元に戻るのを防ぐ仕組みは、改善報告からは見えません。「同じ状況なら再発が起きにくい改善」の下側と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(7点)
理由:短縮した手順を手順書にする、他の人と共有するといった標準化の記述は、改善報告にはありません。せっかくの短縮を職場全体のやり方にするには、ルールづくりがこれからの課題です。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
この事例は、事務作業の中にある「見えにくいムダ」に手を付けた改善です。特に次の3点は、しっかり評価したいところです。
- 秒単位のムダに気づいた。マウスとキーボードの操作という、ふだん意識しない小さな手間を「ムダ」として捉えています
- 効果を数字で示した。1日平均80秒、1カ月あたり800秒と、改善の大きさが誰にでも伝わる形で報告しています
- 繰り返すたびに効く改善になった。一度の見直しが、作業のたびの時間短縮として積み重なります
工場の改善に比べて、オフィスの改善は形に残りにくく、報告されにくいものです。こうした事務作業の改善を報告してくれたこと自体が、職場の5S活動を広げる力になります。
あと20点でAランク。習慣と清潔を2段階上げる
合計46点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと20点です。1項目だけでは届かないため、専門家コメントの3つの手段に沿って、順に積み上げます。
| 上げ方 | 上がる点数 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|
| 現在 | - | 46点 | B |
| 習慣をC(7点)からA(16点)に:短縮した手順を標準化し、周知・点検まで行う | +9点 | 55点 | B |
| 清潔をB(10点)からS(18点)に:手順が元に戻らない仕組みを作る | +8点 | 63点 | B |
| 成果をA(15点)からS(18点)に:他の繰り返し作業にも広げる | +3点 | 66点 | A |
「元の手順に戻る」を、起きる前に防ぐ
操作の短縮は、気づいた人だけが使っていると、担当が替わったときに元の手順に戻ってしまいます。戻ってから気づいて直すのは「後追い」です。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。「気をつけて新しい手順を使う」に頼らず、誰がやっても短縮した手順になる形を考えます(例)。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|
| 担当が替わると、元の手順に戻る | 短縮した手順を1枚の手順書にして、パソコンの近くや共有の保管場所に置く |
| 人によって手順がまちまちになる | よく使う書類はテンプレートにし、保管場所を統一する(専門家コメントの2) |
| パソコンやソフトの入れ替えで、短縮した手順が使えなくなる | 入れ替え時の確認項目に、今回の手順を入れておく |
| 他の繰り返し作業に、同じ操作のムダが残る | 繰り返す事務作業をリストアップし、時間のかかる作業から順に見直す(専門家コメントの1) |
パソコンの設定や社内のシステムに関わる変更は、情報システムの担当者と確認しながら進めてください。今回の80秒は、オフィス全体の改善の入り口です。ぜひ他の事務作業にも広げてください。
関連する5S活動の事例
同じオフィスの書類に関する事例です。



