この事例は、離れていた製品の手直し用治具を機械の真横に移した整頓事例で、専門家評価はBランク(53点)。移動のムダを省き、約5分の短縮につながった。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 設備(曲げ角度の手直し用治具) |
| 専門家評価 | Bランク(53点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 30個単位の製品で、曲げ角度の手直しが10個ある場合、約5分の短縮(改善報告の試算)。手直しのための移動のムダを省いた |
改善前の状態(Before)
曲げ加工で、鋭角に曲がりすぎた製品が出ることがあります。その製品の曲げ角度を直す手直し場が、作業している機械から15歩ほど離れた場所にありました。手直しが必要な製品が出るたびに、手直し場まで歩いて往復しなければならず、移動と運搬のムダが日常的に発生していました。

改善内容(After)
手直し用の治具を、機械の真横に置きました。手直しが必要な製品が出ても、その場で角度を直せるため、手直し場まで歩く必要がなくなりました。
改善報告の試算では、30個単位の製品で曲げ角度の手直しが10個ある場合、約5分の短縮になります。整頓の3定(定位・定品・定量)で言えば、「使う場所のすぐ近くに置く」という定位の考え方を、手直し作業に当てはめた改善です。

専門家コメント
これまで離れていた製品の手直し場を、作業しているすぐ横に移動することで、移動のムダや運搬のムダを省いた改善事例ですね。
工場内で一番のムダとされる移動と運搬のムダを省くことを可能とした、素晴らしい改善事例ですね。
移動と運搬のムダは、日常の仕事として当たり前のように発生してしまうのですが、そこにメスをいれたのは、とても感度のよいアンテナを持っておられるなと感じました。
改善活動をありがとうございました。
5S改善評価:合計53点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | A | 15点 |
| (2)改善の独自性 | B | 11点 |
| (3)改善の難易度 | C | 9点 |
| (4)清潔レベル | B | 11点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 7点 |
| 合計 | B | 53点 |
(1)成果の大きさ:A(15点)
理由:30個単位で手直しが10個ある場合に約5分の短縮と、改善報告に具体的な効果が示されている。専門家も「工場内で一番のムダ」とされる移動と運搬のムダを省いた点を高く評価している。ただし、手直しの発生頻度が分からないため、帯の下側に置く。「やや大きい成果」と評価する。
(2)改善の独自性:B(11点)
理由:「使う物を作業場所の近くに置く」は整頓の基本的な考え方。一方で、日常の仕事として当たり前になっていた手直しの往復に目を向けた点は、専門家の言う「感度のよいアンテナ」の表れ。「標準的に発想ができる改善」と評価する。
(3)改善の難易度:C(9点)
理由:改善報告にある作業は、手直し用治具を機械の真横に置いたこと。置き場所の確保などの手間は考えられるが、所要時間や加工の記載がないため、根拠の範囲で評価する。「そんなに時間をかけない改善」と評価する。
(4)清潔レベル:B(11点)
理由:治具を機械の真横に置いたことで、手直しのたびに歩く状態が、配置そのものによって起きにくくなった。ただし、治具の置き場所の表示や、元に戻すルールの記載はなく、何かのきっかけで元の場所に戻る余地がある。「同じ状況なら再発が起きにくい改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(7点)
理由:改善報告には、治具の置き場所を決めたルールや、他の機械への展開といった標準化の記載がない。専門家の提案も、これからの横展開に向けたものになっている。「徹底すべきルールが未整備の改善」と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
この事例は、毎日の仕事に溶け込んでいたムダを見つけた点に価値があります。特に次の3点は、しっかり評価したいところです。
- 「当たり前の往復」に気づいた。手直し場まで15歩ほど歩くことは、続けているうちに仕事の一部になってしまいます。そこをムダと見抜いた感度の高さは、専門家も強く評価しています
- 工場で一番のムダとされる、移動と運搬に手を入れた。歩く距離が減るだけでなく、製品を持って運ぶ手間もなくなりました
- 効果を数字で示した。30個単位で手直しが10個ある場合に約5分の短縮と、どの程度の効果かが読み手に伝わる報告になっています
あと13点でAランク。清潔と習慣を上げる
合計53点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと13点です。1項目だけで13点を上げるのは現実的ではないため、伸びしろの大きい清潔レベルと習慣(しつけ)レベルを、あわせて上げる考え方になります。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | B(11点) | C(7点) | 53点 | B |
| 習慣をBに上げる | B(11点) | B(12点) | 58点 | B |
| 清潔と習慣をAに上げる | A(17点) | A(14点) | 66点 | A |
習慣は、治具の置き場所を表示し、使ったら戻すルールを決め、同じ手直しが出る他の機械にも展開すると、標準化として評価できます。専門家の提案も、「感度のよいアンテナ」を活かして、他にも発生している移動と運搬のムダを見つけ、この改善を横展開することでした。
「曲がりすぎ」そのものを、起きる前に防ぐ
今回の改善は、手直しを速くする改善です。ただ、手直しは「曲がりすぎた製品が出てから直す」という後追いの作業でもあります。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。治具を近くに置いて終わりにせず、曲がりすぎが起きない仕組みまで考えると、手直しそのものが減っていきます。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|
| 製品が鋭角に曲がりすぎる | 曲がりすぎが出たときの条件(材料・段取り・機械の設定など)を記録し、原因を絞り込む(例) |
| 治具が別の場所に持ち出され、また歩くことになる | 機械の真横に治具の置き場所を表示し、使ったら戻す決まりを作る(例) |
| 同じ往復が他の機械でも起きている | 手直し場や工具置き場まで歩いている作業を洗い出し、同じ考え方で配置を見直す(例) |
表の案は改善報告にない例です。曲げの条件や機械の設定に関わる変更は、設備・安全の担当者と確認しながら進めてください。後追いの手直しを速くする改善と、曲がりすぎを起こさない未然防止を組み合わせることで、清潔・習慣の両方が上がり、Aランクが見えてきます。
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同じ工場で、ムダを省く改善に取り組んだAランクの事例です。



