朝、共有フォルダの中から必要なファイルを探すのに、何分もかかる。行き先を聞かれても、誰がどこにいるか分からない。よくある光景ではないでしょうか。皆さんの職場にもありませんか。工場の5S活動は事例が多いのに、事務所側は「掃除して終わり」になりがちです。
この記事は、そんなオフィス・事務所の5S活動をまとめている総務・経理・業務課の方と、これから任されそうな方に向けて書いています。結論を先に言うと、オフィスの5Sも工場と同じ物差しで評価できます。書類を整理しただけの改善と、二度と山にならない仕組みを作った改善では、同じ「整理しました」でも中身が違います。
この記事では、5S-CONCEPTの事例データベースにあるオフィスの改善事例109件の中から、Sランク1件・Aランク5件・B/Cランク4件・Dランク4件、合計14件を選び、専門家評価の理由とあわせて紹介します。良い事例だけを並べた「成功事例集」ではありません。評価が伸び悩んだ事例も、どこにあと一歩が必要かを一緒に見るために載せています。
読み終える頃には、自社のオフィスの改善が今どのあたりにいるのか、次に何を足せば一段上がるのかが、ぼんやりとでも見えてくるはずです。工場の事例から見たい方は、工場の5S改善事例14選|設備・工具の改善事例を専門家がS〜Dランクで評価し解説するもあわせてご覧ください。5S活動そのものの意味・進め方から確認したい方は、5S活動とは?意味・目的・進め方7ステップ・続かない理由と直し方を製造現場目線で解説を先にご覧ください。
オフィスの5S改善事例を「ランクで見る」とうまくいく理由
工場の5S事例は、機械や工具という「モノ」が中心です。オフィスでは、書類・情報(データ)・共用の備品や設備という、少し違う対象を扱います。ですが、良い改善と、そこそこの改善を分ける物差しは同じです。この記事では、5S-CONCEPTが独自に採点しているS〜Dの5段階評価をそのまま使います。
評価は、次の5項目をそれぞれ4段階(S=20点・A=16点・B=12点・C=8点・D=4点)で採点し、合計点でランクを決めています。5S-CONCEPTの評価基準による採点で、公的な認証や第三者機関の格付けではありません。
| 評価項目 | 当社での意味 |
|---|---|
| 成果の大きさ | 時間・費用・分かりやすさにどれだけの効果が出たか |
| 改善の独自性 | 誰でも思いつく改善か、発想の転換があるか |
| 改善の難易度 | 実行にどれくらいの技術・時間が必要だったか |
| 清潔レベル | 同じ不具合が「また起きる」か、「起きない仕組み」になっているか |
| 習慣(しつけ)レベル | 良いやり方が、その人だけでなく全員が使える標準になっているか |
合計81点以上がSランク、66〜80点がAランク、46〜65点がBランク、31〜45点がCランク、30点以下がDランクです。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」、習慣(しつけ)レベルの最高位は「誰が担当しても同じ結果になる標準化」です。この2項目は、工場でもオフィスでも同じ考え方で評価します。
今回選んだ14件は、当社の事例データベース(オフィスの改善事例109件)の中から、Sランク1件・Aランク5件・Bランク2件・Cランク2件・Dランク4件を選びました。狙いは、上位ランクの「何が違うのか」と、Dランクの「何が足りていないのか」を、同じ物差しで見比べられるようにすることです。
14件の評価早見表(ランク・改善対象・効果・点数)
まずは14件を一覧で見てみましょう。効果の数値は、各改善報告に記載された試算をそのまま載せています。点数の記載がない事例は、点数の内訳が元の記録にないもので、ランクだけを載せています。
| ランク | 改善内容 | 改善対象 | 効果 | 点数 |
|---|---|---|---|---|
| S | 机上のゴム印を仕切りケースに入れ替え | 文房具 | ゴム印が出しやすくなった | 非公開 |
| A | 事務棟玄関の靴箱で外履きとスリッパを分けて保管 | 置き場 | 衛生面・見栄え・使いやすさが向上 | 68点 |
| A | 引き出しの置き場に写真を貼り明示 | 文房具 | 1日20秒短縮×月20日で月400円削減 | 68点 |
| A | 車のキーの掛け場所に車両の写真を貼付 | 置き場 | 1日4秒×月20日で月80秒(80円)削減 | 非公開 |
| A | 共有フォルダを27個から16個に整理 | 情報 | 1日60秒×月20日で月1200秒(1200円)削減 | 非公開 |
| A | ホワイトボードの予定を色つきマグネットで分類 | 情報 | 予定確認のムダが削減(数値記載なし) | 非公開 |
| B | パソコンのケーブルをまとめ直し | 設備 | 1日30秒×月20日で月600秒(600円)削減 | 48点 |
| B | 行き先ボードに帰社時間も記載 | 情報 | 1日4秒×月20日で80秒削減 | 非公開 |
| C | トイレ清掃をチェックシート化 | トイレ | 清掃時間が2分短縮 | 非公開 |
| C | 給湯室の不要品を廃棄し整理整頓清掃 | 床面 | きれいになった(数値記載なし) | 非公開 |
| D | 袖机上の書類の山を整理 | 書類 | 1日10秒削減 | 24点 |
| D | 袖机の引出しに中身のラベルを表示 | 書類 | 1日10秒×月20日で月200秒(200円)削減 | 28点 |
| D | 机の中の物を減らしてきれいに | 文房具 | きれいになった(数値記載なし) | 28点 |
| D | PCモニターを水拭き・乾拭きで清掃 | 工具/備品 | 見やすくなった(数値記載なし) | 24点 |
「点数:非公開」の6件は、5項目の点数内訳が元の改善報告に記録されておらず、専門家コメントとランクだけが残っている事例です。効果を数字で語れる事例ほど、ランクの根拠も追いやすいという関係が、ここにも表れています。次の章から、それぞれの事例を詳しく見ていきます。
Sランク1選|表示や声かけに頼らず、置き方そのものが解決している
オフィスのSランクは、この1件です。特別な設備投資ではなく、置き方の見直しだけで「取り出しにくい」というムダを解決している点が評価の決め手です。
机上のゴム印を仕切りケースに入れ替え、出し入れをスムーズに(文房具)
改善前は、複数のゴム印が一つの容器にまとめて入っており、取り出しにくく戻しにくい状態でした。専門家コメントは、これを「ムダ・ムリ」があった状態と指摘しています。ゴム印は毎日使う小物ではないため、普段の仕事の中では気づきにくいムダです。
改善後は、仕切りのあるケースにゴム印を並べ、一つずつ取り出せるようにしました。専門家評価はSランクです。
専門家は、普段の仕事の中では気づきにくいムダに気づいて改善した点、改善前と改善後の違いがはっきりしていて作業がスムーズになった点を評価しています。さらに良くするための提案は、どのゴム印をどの場所に戻せばよいか、色分けなどで示すこと。戻し先が一目で分かれば、探すムダもさらに省けます。なお、この事例は点数の内訳が元の記録に残っておらず、S判定の詳しい根拠は「要確認」の状態です。元の改善事例を見る
Aランク5選|「探すムダ」を仕組みでなくした事例
Aランクの5件に共通するのは、表示や色分けなど、比較的シンプルな工夫で「探す」「迷う」というムダをなくしている点です。置き場(モノ)と情報(データ)の両方に、同じ考え方が使えることが分かります。
1. 事務棟玄関の靴箱で、外履きとスリッパを分けて保管する(置き場)
改善前は、外履きと上履き(スリッパ)が同じ下駄箱に保管され、衛生面や見栄えに問題がありました。外履きは従来の下駄箱へ、スリッパは専用の立てに分けて保管する方式に変え、あわせて置き場の形跡管理も行いました。評価は成果A・独自性B・難易度B・清潔A・習慣Bの合計68点。専門家は「分ける・決める・守る」という整頓の基本を評価しつつ、スリッパ立てに形跡や番号を表示し、定期的な清掃・交換ルールを決めることを次の一歩に挙げています。元の改善事例を見る
2. 引き出しの置き場に写真を貼り、何を置くか明示する(文房具)
引き出しの中の姿置き(形跡整頓)の仕組みはあったものの、置き場の明示がなく乱雑になっていました。置くべき場所に物の写真を貼ったところ、収納の時間が1日20秒短縮、月20日として月400円の削減です。評価は成果A・独自性A・難易度C・清潔A・習慣Bの合計68点。専門家は、四角い置き場では「何でも当てはまってしまう」という姿置きの弱点を写真で解決した点を評価しつつ、写真を貼っていない空き枠に「置かない」と明示することを次の一歩に挙げています。元の改善事例を見る
3. 車のキーの掛け場所に、車両の写真を貼る(置き場)
社用車のキーがフックにバラバラに掛けられ、担当者以外が使うときにどの鍵か分かりにくい状態でした。フックの上に各車両の写真を貼ったところ、キーを探す手間が1日平均4秒、月20日として月80秒(80円)の削減です。専門家評価はAランク。専門家は、文字ラベルではなく写真にしたことで「一目りょう然」になった点を評価しつつ、車を持ち出す際に名前札をフックに掛ける、キーリング側にも車番のラベルを付けるなど、使用中の管理まで踏み込むことを次の一歩に挙げています。この事例は点数の内訳が元の記録にありません。元の改善事例を見る
4. 共有フォルダを27個から16個に整理し、番号で並び替える(情報)
使っていないフォルダやファイルが乱立し、検索に時間がかかる状態でした。不要なフォルダを精査して27個から16個へ減らし、各フォルダの先頭に番号を付けて並び順を整えたところ、1日平均60秒短縮、月20日として月1200秒(1200円)の削減です。専門家評価はAランク。専門家は、物理的な現場だけでなく画面の中まで5Sの考え方を広げた点を評価しつつ、「日付_件名_作成者」といったファイル名のルールを決めることや、年1回の「デジタル大掃除の日」を設けることを次の一歩に挙げています。この事例は点数の内訳が元の記録にありません。元の改善事例を見る
5. ホワイトボードの予定を、色つきマグネットで分類する(情報)
月間の予定をとりあえずホワイトボードに書いていた状態から、予定の種別を色つきマグネットで示す方式に変えました。専門家評価はAランク。専門家は、一目で予定の種別が分かるようになり、予定確認の手間と予定忘れの両方を減らせた点を評価しつつ、数か月に一度、使っている人にヒアリングして改善点を探すことを次の一歩に挙げています。効果は「かなりの秒短縮」という記載のみで、具体的な秒数の記録はありません。この事例は点数の内訳も元の記録にありません。元の改善事例を見る
B・Cランク4選|「惜しい」を言語化する
S・Aランクの事例は、真似したくなる完成度です。ですが実際の職場でよく出会うのは、むしろこのB・Cランクの改善ではないでしょうか。評価できる点と、上位ランクに届かない理由の両方を見ていきます。
1. パソコンのケーブルをまとめ直し、落下と汚れを防ぐ(設備)
パソコンの電源やLANケーブルをセロハンテープで固定していたため、ケーブルが落ちたり、テープがベタベタに汚れたりしていました。コードを適切にまとめて固定し直したところ、落ちたケーブルを拾って刺す手間が1日平均30秒、月20日として月600秒(600円)の削減です。評価は成果B・独自性C・難易度C・清潔B・習慣Cの合計48点でBランク。専門家は、小さな不便を放置せず対策した視点を評価しつつ、固定具の種類の標準化、固定位置の明示、点検・交換ルールを決めることを次の一歩に挙げています。元の改善事例を見る
2. 行き先ボードに帰社時間も記載する(情報)
以前からあった行き先管理ボードを改良し、行き先だけでなく帰社予定時間も書く方式にしました。取りに行く(確認する)手間が1日4秒、月20日として80秒の削減です。専門家評価はBランク。専門家は、在席・不在の状況がより正確に把握でき、業務の引き継ぎや連絡のタイミングがスムーズになる点を評価しつつ、「外出前に必ず記入」「帰社後は速やかに消去」といった記入ルールを明確にし、全員で徹底することを次の一歩に挙げています。この事例は点数の内訳が元の記録にありません。元の改善事例を見る
3. トイレ清掃をチェックシート化する(トイレ)
トイレの清掃箇所をチェックシートにして、清掃するポイントを明確にしました。清掃時間が2分短縮し、短縮できた分を他の場所の清掃に充てられるようになっています。専門家評価はCランク。専門家は、誰が・いつ・どこを清掃したかを記録でき、トイレを清潔に使おうとする意識の向上にもつながる点を評価しています。飲食店や小売店でよく見られる仕組みを取り入れた点も、改善のヒントとして紹介されています。この事例は点数の内訳が元の記録にありません。元の改善事例を見る
4. 給湯室の不要品を廃棄して整理整頓清掃する(床面)
給湯室の整理・整頓・清掃を実施し、不要品を廃棄してきれいにしました。効果の数値記載はありません。専門家評価はCランク。専門家は、片づいた状態を維持する仕組み(維持管理された状態を写真に撮って掲示する、清掃当番を決めるなど)を、利用するメンバーと話し合って決めることを次の一歩に挙げています。「机の下に一つ物が置かれると、自然と物が増えていく」という指摘は、給湯室に限らず共用スペース全般に当てはまる視点です。この事例は点数の内訳が元の記録にありません。元の改善事例を見る
Dランク4選|「片づけた」で終わらせない視点
ここからはDランクの4件です。この4件を「悪い改善」として笑うために載せているのではありません。どれも、現場の誰かが「気になって、手を動かした」事実は同じです。ただ、その良い気づきを、次も同じように続く形にできていません。
1. 袖机上の書類の山を整理する(書類)
袖机の上に書類が積み上げられ、数えたり見たりするムダが生じていました。書類を整理したところ、1日10秒の削減です(発生日数1日での試算)。評価は成果D・独自性D・難易度C・清潔D・習慣Dの合計24点。専門家は、5Sの第一歩である「整理」を実践できた点を認めつつ、「処理中」「保留」「完了」の3トレイに即座に分類する仕組みや、終業前5分の「机上リセットタイム」を次の一歩に挙げています。元の改善事例を見る
2. 袖机の引出しに中身のラベルを表示する(書類)
袖机の引出しに中身を示す表示がなく、確認のたびに開けて見る必要がありました。ラベルを表示したところ、探すムダが1日10秒、月20日として月200秒(200円)の削減です。評価は成果C・独自性D・難易度D・清潔C・習慣Dの合計28点。専門家は、基本を忠実に実践し、属人化を防いだ点を評価しつつ、中身が変わったときにラベルを見直す月次の仕組みや、使用頻度による色分けを次の一歩に挙げています。元の改善事例を見る
3. 机の中の物を減らしてきれいにする(文房具)
机の中の状態について詳しい記載はありませんが、必要な物だけを残したことで、机の中がすっきりしました。評価は成果C・独自性D・難易度D・清潔C・習慣Dの合計28点。専門家は、身近なところから改善を始めたことを評価しつつ、残した物の置き方を決め、表示や区切りで「守りたくなる仕組み」にすること(形跡整頓への発展)を次の一歩に挙げています。元の改善事例を見る
4. PCモニターを水拭き・乾拭きで清掃する(工具/備品)
埃で汚れていたPCモニターの画面を、水拭きと乾拭きで清掃しました。評価は成果C・独自性D・難易度D・清潔D・習慣Dの合計24点。専門家は、画面が見やすくなった点は認めつつ、この清掃は「作業」であり、事務作業そのものを進めやすくする「改善」には一歩届いていないと指摘しています。拭く周期・担当を決めることに加え、探す・入力する・共有する手間を減らす改善を、清掃とは別に考えることが次の一歩です。元の改善事例を見る
14件から見える、オフィスの5Sを分ける3つの対象
ここまで14件を見てきて、気づいたことはありませんか。オフィスの改善対象は、大きく3つに分かれています。書類(紙)、情報(データ)、共用の設備・置き場です。対象は違っても、ランクを分ける視点は共通しています。
| 対象 | Dランクに多い状態 | S・Aランクに多い状態 |
|---|---|---|
| 書類・書類棚 | 溜まったら片づける「後追い」。ラベルはあるが見直しの仕組みがない | 分類したら即座に振り分ける仕組み、月次の見直しがある |
| 情報(データ) | フォルダやファイルが乱立し、探すたびに時間がかかる | 命名ルール・番号づけ・定期的な棚卸しの仕組みがある |
| 共用の設備・置き場 | 「気をつけて使う」「気づいた人が片づける」に頼っている | 誰が使っても同じ場所に戻る表示・区切り・点検の仕組みがある |
面白いのは、書類も情報も共用設備も、大きな投資をしなくても仕組み化できるということです。ラベル、写真、番号づけ、色分けは、どれも今日からできる工夫でした。足りなかったのは、次の一手ではなく、「これを標準にする」という一言だったのかもしれません。
自社のオフィスの改善報告を見返すとき、次のことを確認してみてください。
- ☐ この改善の効果を、秒・円・件数のどれかで言えるか
- ☐ 同じ問題が「また起きない」構造になっているか、それとも「気をつける」に頼っているか
- ☐ 担当者が変わっても、同じやり方が続く決まり(頻度・基準・掲示)があるか
3つとも「はい」と言えれば、その改善はすでにA・Sランクの水準に近いということです。
よくある質問
ここまでの14件を読んで、皆さんの中に浮かびやすい疑問を6つにまとめました。工場の事例との違いと、進め方を先にお答えします。
工場の事例と、オフィスの事例で評価の視点は変わりますか
評価の5項目(成果・独自性・難易度・清潔・習慣)は同じです。ただし、オフィスは書類・情報(データ)・共用設備が対象になるため、未然防止の仕組みも、表示・番号づけ・命名ルールといった形で表れやすい傾向があります。工場の事例は、工場の5S改善事例14選で紹介しています。
書類や情報(データ)の整理は、モノの整理と同じ基準で評価できますか
はい。「探すムダが減ったか」「同じ乱れがまた起きるか」「誰が担当しても同じ結果になるか」という視点は、紙の書類でも、パソコンのフォルダでも変わりません。今回の14件でも、共有フォルダの整理(6228)は、机の中の整理と同じ物差しで評価しています。
オフィスの5Sは、誰が中心になって進めればよいですか
決まった正解はありませんが、今回の事例では、総務・経理・業務課など、その場所を日常的に使う人が中心になって進めているケースが多く見られました。一人で抱え込まず、使う人みんなで置き方や表示のルールを決めることが、習慣(しつけ)レベルを上げる近道です。
この評価基準は誰が使っていますか
5S-CONCEPTの事例データベースに登録された改善報告を、専門家が5項目(成果・独自性・難易度・清潔・習慣)で評価する、当社独自の基準です。国や業界団体の公的な認証制度ではありません。
デスク(机まわり)の5Sは、どこから始めればよいですか
机の上の書類から始めて、次に引き出しの中へ進むと、効果が見えやすくなります。
机の上は、乱れが目に入りやすく、片づけた結果もすぐ分かります。不要な書類が積まれていた机では、書類入れを作って置き場所を示し、そこへ戻すようにしました(机の上の片づけ 3)。処理した書類と、まだの書類を分けるだけでも、探す手間は減ります(机上の整理整頓)。
次は引き出しの中です。使う物を同じ引き出しに集めて表示した事例では、引き出しを一か所開ければ作業できるようになりました(事務机の引出しの整頓。改善報告の試算で1日平均20秒短縮)。机の中を整理した別の事例でも、探す時間が1日平均30秒短くなっています(事務所1階 机の中の整理。改善報告の試算)。
続けるコツとして、専門家は「整った状態の写真を撮って机に掲示し、一日の終わりにその写真と同じ状態に戻す」ことを勧めています。また、机の上の改善は一人の改善で終わりがちです。チームで書類そのものを減らせないかまで考えると、次のランクが見えてきます。
パソコンのデスクトップの整理も、5Sになりますか
はい。デスクトップに置いた図面ファイルを整理し、図面を開くまでに探す時間を短くした事例があります(パソコン上の全ての図面の整理)。
ただ、デスクトップは一度片づけても、すぐに元へ戻りがちです。専門家は、デスクトップを区画に分け、区画ごとに置くファイルの種類を決めることを勧めています。机の上と同じで、「どこに・何を置くか」を先に決めておくことが、乱れを防ぐ近道です。
まとめ|次に見る一手
冒頭の、共有フォルダを探す朝の話に戻ります。フォルダを整理するだけなら数十分の作業ですが、二度と27個に戻らないようにするには、番号のルールと見直しの日を決める必要があります。今回紹介した14件も、同じことを教えてくれています。効果を数字で確かめること、清潔(未然防止)、習慣(標準化)。この3つが、ランクを分ける正体でした。
すべてを一度に整える必要はありません。まずは、自社で最近行ったオフィスの改善を一つ選び、「これは秒・円・件数で言えるか」「また起きない仕組みになっているか」「担当者が変わっても続くか」の3つを、この記事の判断表と見比べてみてください。それだけで、次に何を足せばよいかが見えてくるはずです。
自社の改善事例も、こうした基準で評価してほしいという方へ。5S-CONCEPTでは、今回のような5項目評価の考え方を、日々の改善報告にそのまま使えるチェックシートとしてもご用意していく予定です。まずは、オフィスの改善を一つ、見直すところから始めてみてください。



