この事例は、オフィスのPCモニターを水拭きと乾拭きで清掃した事例で、専門家評価はDランク(24点)。画面は見やすくなったが、「作業」を「改善」に進めるのが課題。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 清掃 |
| 改善場所 | オフィス |
| 改善対象 | 工具/備品(PCのモニター) |
| 専門家評価 | Dランク(24点。Dは30点以下) |
| 効果 | 埃で汚れていた液晶画面が、きれいに見やすくなった |
改善前の状態(Before)
PCのモニターの液晶画面が、埃で汚れていました。

改善内容(After)
水拭きと乾拭きで、液晶画面を清掃しました。画面がきれいになり、見やすくなっています。

専門家コメント
モニターの清掃、ありがとうございます。清掃の結果、モニターが見やすくなりましたね。
ただし、モニターの清掃は、通常の仕事の中で進める「作業」であり、「改善」と呼ぶには弱いかと思います。会社の中の仕事は、「仕事」=「作業」+「改善」で構成されています。モニターを拭くのは仕事の中の作業で、仕事を進めやすくする「改善」には、一歩届いていないと考えます。
パソコンでの事務作業を進めやすくする「改善」には、どのような取り組みがあるか、再検討してみてください。パソコンのモニターを拭く以外にも、アイデアはたくさん出てくるはずです。
5S改善評価:合計24点(Dランク)
今回の改善を、5つの項目で辛口に評価しました。
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | C | 8点 |
| (2)改善の独自性 | D | 4点 |
| (3)改善の難易度 | D | 4点 |
| (4)清潔レベル | D | 4点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | D | 4点 |
| 合計 | D | 24点 |
(1)成果の大きさ:C(8点)
理由:埃で汚れていた画面がきれいになり、見やすくなった点は評価できる。ただし、見やすさがどれだけ仕事に効いたのかは、報告から読み取れない。「成果がややもの足りない改善」と評価する。
(2)改善の独自性:D(4点)
理由:画面の汚れを拭くのは、誰でも思いつく清掃。「誰でも思いつく改善」と評価する。
(3)改善の難易度:D(4点)
理由:水拭きと乾拭きで済む作業で、特別な準備や技術は要らない。「数分でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:D(4点)
理由:埃がなぜ付くのか、どのくらいの間隔で拭くのかが決まっていない。時間がたてば、また画面が汚れる。「すぐ乱れる改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:D(4点)
理由:拭く時期や担当を決めるなど、標準化の記述がない。「習慣化を促さない単発的な改善」と評価する。
Dランクから上位ランクに上げる工夫と考え方
専門家のコメントにあるとおり、モニターを拭くのは「作業」です。上のランクに進むために必要なのは、もっと丁寧に拭くことではありません。「作業」を、繰り返さなくて済む「改善」に変えることです。
点数で見る「上げ方」
24点のこの事例は、維持の2項目(清潔・習慣)を上げるだけでランクが上がります。習慣だけを1段階上げても28点で、Dのままです。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | D(4点) | D(4点) | 24点 | D |
| 清潔・習慣を1段階ずつ上げる | C(8点) | C(8点) | 32点 | C |
| 清潔・習慣をともにAまで上げる | A(16点) | A(16点) | 48点 | B |
清潔と習慣は仕組みで上げられる項目です。清潔と習慣の両方を整えて、はじめてCランクに届きます。
なお、成果の大きさは、画面が見やすくなった点を評価してC(8点)としています。仕事を進めやすくする改善が加われば、成果や独自性の点数も上がります。清掃に加えて、事務作業そのものを進めやすくする視点を持つことが、点数を押し上げる近道です。
清潔レベルのカギは「未然防止」
整理・整頓・清掃は、放っておくとモグラ叩きになりがちです。モニターの埃も、汚れてから拭く「後追い」になりがちです。汚れに気づいたら拭く。またしばらくすると汚れる。これでは、拭いた後でまた同じ状態になります。
この評価基準では、清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。「気づいた人が拭く」に頼らず、汚れが溜まりにくく、溜まっても見逃されない仕組みにすること。私たち評価者が支援現場で強く感じるのは、多くの中小製造業の現場で、この「不具合が起きない仕組み」まで考える視点が不足していることです。
この事例に当てはめると、次のようになります。
| 起こりうる不具合 | 後追いの対応(Dの発想) | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|---|
| また埃で画面が汚れる | 汚れが目立ってから拭く | 埃がどこから来るのかを調べ、発生源や置き場所を見直す(例) |
| 拭く人、拭く日が決まっていない | 気づいた人が拭く | 拭く周期と担当を決め、共用のモニターも含めて一覧にする(例) |
| 拭き方が人によって違い、傷や拭き残しが出る | 気づいてから拭き直す | 使う布と手順を決めて、モニターの近くに掲示する(例) |
| 清掃の作業だけで終わってしまう | 汚れるたびに同じ作業をくり返す | 事務作業そのものを進めやすくする改善(探す、入力する、共有する手間の削減など)を、清掃とは別に考える(例) |
上の表は例です。右の列の発想で、「この清掃が繰り返しになる原因」を先に洗い出し、起きる前に手を打つことが清潔レベルを上げます。
習慣(しつけ)レベル:単発の改善から「皆が守る標準化」へ
習慣(しつけ)は、清潔で見つけた良いやり方を標準化する活動です。習慣レベルを上げるには、一人の気づきを、職場の全員が同じように行うルールにします。
- 拭く周期と、拭き方の手順を決めて掲示する
- 新しく入った人にも分かるよう、ルールを周知する
- 清掃の実施を記録し、実施状況を点検する
次の改善報告で期待すること
専門家は、次の点を考えるよう求めています。
- 「仕事=作業+改善」のうち、今回の取り組みはどちらにあたるのか
- パソコンでの事務作業を進めやすくするには、どんな取り組みがあるか
- モニターを拭く以外のアイデアを、いくつ出せるか
次の報告では、仕事を進めやすくする「改善」に踏み込んだ取り組みを期待しています。
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