この事例は、残材の結束に使う結束バンドを、使う場所に置いた整頓事例で、専門家評価はBランク(46点)。1回往復21mの移動がゼロになった。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 工具/備品(結束バンド) |
| 専門家評価 | Bランク(46点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 結束バンドを取りに行く移動が、1回往復21mから0に(21m短縮) |
改善前の状態(Before)
残材を結束するには、結束バンドが必要です。ところが、その結束バンドは作業する場所ではなく、他の場所に置かれていました。そのため、結束のたびに結束バンドを取りに行く必要があり、1回あたり往復21mの移動が発生していました。
取りに行って、戻ってくる。毎日の仕事の中では、ごく当たり前の動きです。だからこそ、ムダとして気づきにくい状態でした。

改善内容(After)
結束バンドを、残材を結束する「必要な場所」に設置しました。使う場所に置いたことで、取りに行く移動がなくなり、1回往復21mの移動が0になりました。
整頓の3定(定位・定品・定量)で言えば、「どこに置くか(定位)」を、使う人の動きに合わせて決め直した改善です。

専門家コメント
残材を結束するために必要な結束バンドを、他の場所に取りに行くことで発生していたムダを、必要な場所に結束バンドを設置することで、移動のムダや運搬のムダを省いた事例ですね。
工場内で一番のムダとされる移動と運搬のムダを省くことを可能とし、しかも21mもの移動のムダを省いた素晴らしい改善事例だと感心いたしました。
前にもお話しましたが、移動と運搬のムダは、日常の仕事として当たり前のように発生してしまうのですが、そこに気づくことができたのは、本当に素晴らしいです。
改善活動をありがとうございました。
5S改善評価:合計46点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | A | 14点 |
| (2)改善の独自性 | B | 10点 |
| (3)改善の難易度 | C | 9点 |
| (4)清潔レベル | C | 7点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 6点 |
| 合計 | B | 46点 |
(1)成果の大きさ:A(14点)
理由:結束バンドを取りに行く移動を、1回往復21mから0にした。専門家も「工場内で一番のムダ」とされる移動と運搬のムダを省いた点を高く評価している。ただし、1日に何回取りに行っていたかは改善報告に記載がなく、成果の総量は測れないため、帯の下側とする。「やや大きい成果」と評価する。
(2)改善の独自性:B(10点)
理由:使う物を使う場所に置く、という考え方自体は、整頓の基本としてよく見られる。一方で、日常の当たり前の動きに隠れていた移動のムダに気づいた点は、専門家も「本当に素晴らしい」と評価している。「標準的に発想ができる改善」と評価する。
(3)改善の難易度:C(9点)
理由:結束バンドの置き場を、必要な場所に設置した改善。置き場の作り方や作業時間は改善報告に記載がないが、大がかりな工事を伴う内容ではないと考えられる。「そんなに時間をかけない改善」と評価する。
(4)清潔レベル:C(7点)
理由:使う場所に置いたことで、取りに行くムダは起きにくくなった。ただし、専門家の指摘のとおり、置き場の表示がないように見える。誰が見てもそこに結束バンドがあると分かる状態ではないため、使い切ったときや人が替わったときに、また別の場所へ取りに行く動きに戻るおそれがある。「何かのきっかけで再発する改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(6点)
理由:置き場の表示、補充のルール、他の作業場所への展開などの標準化は、改善報告に記載がない。現時点では、置き場を移した一つの改善にとどまっている。「ルール未整備」と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
点数だけを見るとBランクの入口ですが、この事例には、5S活動でとても大切な力がはっきり表れています。特に次の3点は、しっかり評価したいところです。
- 「当たり前の動き」をムダとして見抜いた。移動と運搬のムダは当たり前のように発生するため、気づくこと自体が難しいものです
- 工場で一番のムダとされる移動と運搬に手を付けた。小さな備品の置き場を変えただけで、1回往復21mの移動をなくしました
- 効果を距離で示した。「往復21mが0に」と数字で書かれているので、誰が読んでも改善の大きさが伝わります
あと20点でAランク。清潔と習慣を段階的に上げる
合計46点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと20点です。1つの項目を上げるだけでは届きません。専門家が提案した「置き場の表示」から始めて、清潔と習慣を順に上げ、他の場所にも広げると、Aランクに届きます(点数は目安です)。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 成果 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(7点) | C(6点) | A(14点) | 46点 | B |
| 置き場に表示を付ける | B(12点) | C(6点) | A(14点) | 51点 | B |
| 置き方と補充のルールを決めて守る | B(12点) | B(12点) | A(14点) | 57点 | B |
| 欠品や持ち出しが起きない仕組みと点検まで | A(16点) | A(16点) | A(14点) | 65点 | B |
| 他の結束作業の場所にも展開する | A(16点) | A(16点) | A(16点) | 67点 | A |
「置き場が分からない・空になる」を、起きる前に防ぐ
清潔は、3S(整理・整頓・清掃)がモグラ叩きにならないよう、問題の発生を未然に防ぐ仕組みを作る活動です。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。結束バンドが見つからなかったり、空になっていたりしてから、また遠くへ取りに行く。これが「後追い」です。「気をつけて補充する」に頼らず、表示と置き方で、そもそも起きない形にしていきます。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み |
|---|---|
| 置き場が分からず、別の場所へ取りに行く人が出る | 置き場に「結束バンド」の表示を付け、誰もがそこにあると分かるようにする(専門家の提案) |
| 使い切って、また遠くへ取りに行く | (例)定量として、置く量と補充の目安を決め、置き場に表示する |
| 持ち出されて、元の場所に戻らない | (例)定位として、置き場の形を決め、戻す場所が一目で分かるようにする |
| 他の作業場所にも同じ「取りに行く」ムダが残っている | (例)残材を結束する他の場所も、同じ見方で見直す |
習慣(しつけ)は、清潔で見つけた良いやり方を標準化する活動です。表示や補充の目安が決まったら、写真付きで置き場のルールにまとめ、他の場所にも同じ形で広げてください。置き場を設備や通路の近くに取り付ける場合は、設備・安全の担当者と確認しながら進めてください。
専門家も、誰もがそこに結束バンドがあると認識できる表示の工夫を、次の一歩として勧めています。次なる改善を楽しみにしています。
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