この事例は、検査に使うタオルを手元に設置し、取りに行くムダをなくした整頓事例で、専門家評価はBランク(48点)。使用前と使用後の区別も高く評価された。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場(検査作業) |
| 改善対象 | 備品(検査に使うタオル) |
| 専門家評価 | Bランク(48点。Bは46〜65点) |
| 効果 | タオルを取りに行く時間を削減。1日10秒×3回×2人=60秒、月20日で1,200秒、1カ月あたり1,200円の削減(改善報告の試算) |
改善前の状態(Before)
検査のときに使うタオルは、作業場所から離れたタオル置き場にありました。タオルが必要になるたびに検査を中断し、遠くの置き場まで取りに行っていました。

改善内容(After)
検査に使うタオルを、検査をする手元に設置しました。検査を中断して取りに行く必要がなくなり、作業を止めずに続けられるようになりました。
あわせて、タオルの使用前と使用後を区別して置くようにしています。専門家コメントによると、タオルの置き場にはしっかりと表示もされています。

専門家コメント
検査時に使用するタオルを、遠くのタオル置き場まで取りに行くために検査を中断している状況から、検査に使用するタオルを手元に設置することで作業の無駄を改善した事例ですね。
何かを探しに行く移動の無駄や探す無駄、さらに取り出す無駄を解決した素晴らしい改善事例だと感じました。
日常の業務として当たり前のように実施していることが、実は無駄なのではないかと気づく眼力は素晴らしいですね。
さらに使用前と使用後の区別をしている点も秀逸だと感じました。
改善活動をありがとうございました。
5S改善評価:合計48点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | A | 16点 |
| (2)改善の独自性 | C | 8点 |
| (3)改善の難易度 | D | 4点 |
| (4)清潔レベル | B | 12点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 8点 |
| 合計 | B | 48点 |
(1)成果の大きさ:A(16点)
理由:検査を中断して取りに行く移動のムダ、探すムダ、取り出すムダをまとめて解消した。改善報告の試算では1日60秒、1カ月1,200秒(1,200円)の削減で、2人が毎日行う検査の流れが止まらなくなった。「やや大きい成果」と評価する。
(2)改善の独自性:C(8点)
理由:「使うものを使う場所の手元に置く」は、整頓でよく見られる手法。一方で、当たり前に続けていた「取りに行く」動きをムダだと気づいた着眼点と、使用前・使用後を区別した工夫は光っている。「よく似たタイプが多い改善」と評価する。
(3)改善の難易度:D(4点)
理由:改善報告の内容は、タオルの置き場を手元に設けて使用前・使用後を分けるもので、大がかりな加工や設備の変更の記述はない。「数分でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:B(12点)
理由:タオルが手元にあり、表示と使用前・使用後の区別もあるため、同じ状況なら「取りに行く」「使用済みと混ざる」といった状態は再発しにくい。ただし、すぐ横の工具入れには乱れが残っている。「同じ状況なら再発が起きにくい改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(8点)
理由:タオルの置き方と区別のルールは決まったが、それを標準として文書にしたり、点検したりする記述はない。隣の工具類の3定もまだこれから。「徹底すべきルールを設定した改善」と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
合計48点のこの事例は、点数だけを見ればBランクの下のほうです。しかし、改善の中身には、多くの現場が見習いたいポイントが詰まっています。特に次の3点は、しっかり評価したいところです。
- 「当たり前」を疑った。毎日の業務として何気なく続けていた「タオルを取りに行く」動きを、ムダだと気づいた。専門家も、この眼力を素晴らしいと評価しています
- 3つのムダを一度に消した。移動のムダ、探すムダ、取り出すムダをまとめて解消し、検査を止めずに続けられるようにしました
- 使用前と使用後を区別した。手元に置くだけでなく、使用済みのタオルと混ざらない置き方にした点を、専門家は「秀逸」と評価しています
あと18点でAランク。工具の3定まで広げて、習慣・清潔などを上げる
合計48点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと18点です。1項目だけでは届かないので、専門家の提案である「隣の工具の3定」まで改善を広げ、いくつかの項目を一緒に上げていく道筋を考えます。
| 上げ方 | 上がる項目 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|
| 現在 | - | 48点 | B |
| 置き方を標準にし、周知・点検まで行う | 習慣 C(8点)→A(16点) | 56点 | B |
| 工具を形跡整頓し、乱れの発生源を抑える | 清潔 B(12点)→A(16点) | 60点 | B |
| 工具の置き場づくりまで手をかける | 難易度 D(4点)→C(8点) | 64点 | B |
| タオルと工具を一体で使いやすくする工夫 | 独自性 C(8点)→B(12点) | 68点 | A |
専門家の今後の改善提案は、次のとおりです。写真を見るとタオルはしっかりと明示があるものの、その横に置いてある工具入れが乱雑になっているように思える。せっかくタオルの3定ができたのであれば、その横にあるペンチやドライバーなどの工具の3定も、ぜひやってほしい。3定とは、決められた場所に決められたものを決められた数だけ置くルールで、工具類の場合は形跡整頓がその基本になる。ぜひ形跡整頓を実現してほしい、という内容です。
当社では、整頓の3定を「定位・定品・定量」と呼んでいます。タオルで実現した3定を、隣の工具にも広げることが、Aランクへの一番の近道です。
「工具が乱れる」「タオルが切れる」を、起きる前に防ぐ
乱れてから片付ける、切れてから補充する、というやり方は「後追い」です。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。「気をつけて戻す」「気をつけて数える」に頼らず、置き方や表示で、乱れや不足が起きない形にしておきます。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み |
|---|---|
| 隣の工具入れが乱れたままになる | 工具の形を描いた置き場で形跡整頓をする(専門家の提案)。戻っていない工具が一目で分かる |
| 手元のタオルが切れて、また取りに行く | (例)手元の置き場に、タオルの上限・下限の枚数を表示し、下限で補充する |
| 使用前と使用済みのタオルが混ざる | (例)使用済みの置き場の回収タイミングを決め、区別の表示を続ける |
| 他の検査台でも同じムダが残る | (例)今回の置き方を写真付きの標準書にして、他の検査作業へ展開する |
(例)と書いたものは、改善報告にはない案です。検査台や設備まわりに置き場を取り付ける場合は、設備・安全の担当者と確認しながら進めてください。次なる改善を、楽しみにお待ちしています。
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同じ工場の工具・備品の整頓に関する、Aランクの事例です。



