この事例は、NC加工用の工具入れを踏み台の上に上げて作業位置に近づけた整頓事例で、専門家評価はBランク(56点)。あと10点でAランクに届く。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 工具/備品(NC加工用の工具入れ) |
| 専門家評価 | Bランク(56点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 取りに行くムダ、しゃがんで手を伸ばすムダを削減。1日平均16秒短縮×月間20日発生で、1カ月あたり320秒(320円)の削減(改善報告の試算) |
改善前の状態(Before)
NC加工の作業位置から、工具入れまでの距離が遠い状態でした。しかも工具入れ棚の位置が低いため、工具を取るたびに、しゃがんで手を伸ばす必要がありました。
1回ごとの動作は小さくても、毎日繰り返す作業です。取りに行く移動と、しゃがむ・伸ばすという動作が重なって、少しずつ時間と体力を使っていました。

改善内容(After)
工具入れを踏み台の上に上げて、作業位置との距離を近づけました。踏み台に載せることで高さも上がり、しゃがまなくても手が届き、取りやすい高さになっています。
新しい棚や台を買い足すのではなく、手近にある踏み台を使った点が、この改善の特徴です。

専門家コメント
改善前は作業位置から工具入れ棚までの距離が遠く、棚の位置が低いためしゃがんで手を伸ばす必要がある状態でした。そこで工具入れ棚を踏み台の上に移設することによって、作業位置との距離を縮め、かつ適切な高さに配置して取りやすくした改善ですね。
作業のしにくさを見つけて、実際に使いやすくなるように改善してくれたこと、本当にありがとうございました。
毎日の作業の中で「少し不便だな」と思っても見過ごされがちなこうしたポイントに気づき、工夫して行動に移したことはすばらしい姿勢です。
次に考えてみてほしいのは、その「踏み台」がどれくらいの重さや安定性があるか、あるいは安全性に問題がないか?という点です。設置場所の強度や固定方法によっては、今後の使用中にズレたり倒れたりするリスクがあるかもしれません。
改善したことで発生しそうな新たなリスクに対しても、未然に防ぐためのルールやチェック項目を考えてみてください。
今回の改善をきっかけに、もっと使いやすく、安全な職場づくりを一緒に進めていきましょう。次なる改善報告書を楽しみにしています。
5S改善評価:合計56点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | A | 16点 |
| (2)改善の独自性 | B | 12点 |
| (3)改善の難易度 | B | 12点 |
| (4)清潔レベル | C | 8点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 8点 |
| 合計 | B | 56点 |
(1)成果の大きさ:A(16点)
理由:距離短縮と高さ改善によって、移動時間・屈伸動作の両方を削減。毎日の繰り返し動作に直結するため効果は大きい。
(2)改善の独自性:B(12点)
理由:棚位置を変えて作業高さを適正化する方法はよくある改善だが、「踏み台の上に設置」という発想で既存資材を有効活用している点は評価できる。
(3)改善の難易度:B(12点)
理由:物理的移設作業は比較的容易だが、棚の固定や踏み台の強度確認など、安全性の確保には一定の工夫と時間が必要。
(4)清潔レベル:C(8点)
理由:現時点では棚や踏み台の安定性や耐久性に関する管理ルールがなく、長期的な維持・安全性確保の仕組みが不足。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(8点)
理由:改善後の状態維持が人任せになっており、安全確認や定期点検のルール化がまだされていない。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
合計56点のこの事例は、「近くて取りやすい位置への配置変更」という整頓の基本をしっかり押さえた改善です。特に次の点を評価したいと思います。
- 「少し不便だな」を見過ごさなかった。毎日の作業の中で見過ごされがちな点に気づき、行動に移しています
- 距離と高さの両方を一度に改善した。取りに行く距離を縮め、しゃがんで手を伸ばす動作も減らしました。成果はA(16点)です
- 既存の資材を有効に使った。「踏み台の上に設置」という発想で、新しく物を足さずに解決しています
あと10点でAランク。清潔と習慣を上げる
合計56点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと10点です。清潔レベルと習慣(しつけ)レベルは、どちらもC(8点)です。どちらか一方だけでは届かないため、両方を上げることがカギになります。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(8点) | C(8点) | 56点 | B |
| 清潔をBに | B(12点) | C(8点) | 60点 | B |
| 清潔と習慣をどちらもBに | B(12点) | B(12点) | 64点 | B |
| 清潔をAに、習慣をBに | A(16点) | B(12点) | 68点 | A |
| 清潔をBに、習慣をAに | B(12点) | A(16点) | 68点 | A |
どちらもB(12点)までだと64点で、あと2点足りません。どちらか一方をA(16点)まで上げる必要があります。
「ズレる・倒れる」を、起きる前に防ぐ
踏み台の上の工具入れは、使いやすくなった反面、ズレたり倒れたりするリスクが新たに生まれます。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。ズレたり倒れたりしてから直す「後追い」ではなく、「気をつけて使う」に頼らない形で、起きない状態を作ります。専門家の発展ポイントをもとに、次のような仕組みが考えられます(例を含みます)。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|
| 使用中に踏み台と棚がズレる・倒れる | 踏み台と棚をしっかり固定し、転倒防止策を実施する |
| 棚と工具の重さに踏み台が耐えられない | 棚と工具の重さに耐えられるかを、数値で明示する |
| ぐらつきや汚れに気づかないまま使い続ける | 月1回の安定性・汚れ確認を、ルーチンとして決める |
| 踏み台を、工具入れの台と知らずに他の人が使う | 「踏み台使用中」であることを明記し、誤使用を防ぐ |
固定方法や耐荷重の確認など、設備・安全に関わる内容は、設備・安全の担当者と確認しながら進めてください。こうした取り組みで、清潔・習慣レベルが向上すれば、専門家も述べているとおり、Aランク以上も狙えます。
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