この事例は、無造作に保管されていた休務カードを課別のファイルに分類した整頓事例で、専門家評価はBランク(48点)。探すムダが半分になった。あと18点で、Aランクに届く。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 工具/備品(休務カード) |
| 専門家評価 | Bランク(48点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 休務カードを探す時間が、1回平均10秒から5秒に(5秒短縮)。月6回で30秒、年360秒(360円)の削減(改善報告の試算) |
改善前の状態(Before)
休務カードは、男女別にクリップで分けられていました。ところが、そのカードが無造作に保管されていたため、有給取得などの手続きのたびに、目的のカードを探す時間がかかっていました。
休務カードは毎日使うものではありませんが、必要になったときにすぐ出てこないと、手続きをする人もカードの持ち主も待たされます。1回あたりは短い時間でも、「探す」という付加価値のない動きが、手続きのたびに繰り返されていた状態です。

改善内容(After)
休務カードを、課別にファイルで分類して整頓しました。男女別という分け方から、手続きの単位に近い「課」で分ける形に変えたことで、目的のカードにたどり着くまでの時間が短くなりました。改善報告の試算では、1回平均10秒かかっていた探す時間が5秒になり、月6回で30秒、年間で360秒(360円)の削減です。

専門家コメント
男女別にクリップで分けていた休務カードが無造作に保管されていた状態から、課別にファイルで分類・整頓した改善ですね!
これにより、有給取得などの手続き時に探すムダがなくなり、作業効率が大きく向上したと感じられる素晴らしい改善だと思います。まずはこの問題点に気づき、対処してくれたことに感謝します。
今回の改善は、日々の業務の中で見落とされがちな「探すムダ」に着目し、確実に作業効率を向上させた良い整頓改善でした。ただし、長期的な維持の仕組みにまだ改善の余地があるため、今後の課題は“再び乱れない仕組みづくり”です。
5S改善評価:合計48点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | B | 12点 |
| (2)改善の独自性 | C | 8点 |
| (3)改善の難易度 | B | 12点 |
| (4)清潔レベル | C | 8点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 8点 |
| 合計 | B | 48点 |
(1)成果の大きさ:B(12点)
理由:休務カードの保管状態を課別に分類・整頓したことで、有給取得手続きなどの際に探す手間がなくなり、事務作業の効率向上に貢献している。しかし、改善の対象は休務カードに限定されており、工場全体やコスト面への影響は小さいため、「満足のいく成果である改善」と評価する。
(2)改善の独自性:C(8点)
理由:分類整頓のためにファイルを使い、課ごとに分けるという方法は、5Sの基本的な整頓手法にあたり、他の事務用品の管理でもよく見られる手法。特別な工夫や独創性が求められる内容ではないため、「よく似たタイプが多い改善」と評価する。
(3)改善の難易度:B(12点)
理由:ファイルを準備し、カードを分類・格納する作業にはある程度の手間はかかるが、作業時間は30分〜1時間程度と考えられる。特別な技術を必要としないため、「標準的な時間でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:C(8点)
理由:ファイルでの分類整頓によって、一時的には混在や探すムダがなくなるが、運用ルールがないと、次第に元の状態に戻る可能性がある。たとえば、他の人が勝手に入れ替えてしまうなど、「何かのきっかけで再発する改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(8点)
理由:ファイル化しただけでは、使用後に正しく戻すルールや定期的な確認の仕組みがないと、継続的に整頓された状態を保つのが難しくなる。この点で、「徹底すべきルールを設定した改善」と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
この事例は、次の点をしっかり評価したいところです。
- 見落とされがちな「探すムダ」に気づいた。休務カードは生産に直接関わらないため、不便があっても後回しにされがちです。そこに目を向けたこと自体が、5Sの視点です
- 分け方を「使う単位」に合わせた。男女別から課別に変えたことで、手続きの流れに沿って目的のカードを探せるようになりました
- 効果を数字で示した。1回10秒が5秒になったという具体的な数字があるので、改善の効果を誰にでも説明できます
- すぐに手を打った。大がかりな設備ではなく、ファイルという身近な物で、気づいたことをすぐに形にしています
事務まわりの小さな改善でも、手続きのたびに効いてくる改善です。こうした気づきの積み重ねが、職場全体の5Sの土台になります。
あと18点でAランク。清潔と習慣をAに、独自性を1段階上げる
合計48点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと18点です。清潔レベルと習慣(しつけ)レベルをC(8点)からA(16点)に上げると合計64点。さらに改善の独自性をC(8点)からB(12点)に上げると、合計68点でAランクに届きます。
| 上げ方 | 独自性 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(8点) | C(8点) | C(8点) | 48点 | B |
| 清潔・習慣をAに上げる | C(8点) | A(16点) | A(16点) | 64点 | B |
| さらに独自性を1段階上げる | B(12点) | A(16点) | A(16点) | 68点 | A |
成果・難易度は変えなくても、「乱れない仕組み」と「皆が守る決まり」を加えることで、ランクは上がります。独自性は、たとえば戻し間違いがすぐ分かる工夫など、この職場ならではの仕掛けを加えることで上げられます。
「戻し間違い」と「行方不明」を、起きる前に防ぐ
専門家が指摘するとおり、ファイルに分けただけでは、他の人が入れ替えたり、違う課のファイルに戻したりすることで、少しずつ元の状態に戻っていきます。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。「気をつけて戻す」に頼らず、間違えようのない形にしておくことが大切です。
専門家が挙げた「今後の改善ポイント」は、次の3つです。
- ファイルに課名のラベルを貼り、視認性を向上させる
- 休務カードの使用ルールや記入方法を明文化する
- 定期点検や整頓チェック表を導入する
未然防止の視点で考えると、次のような例も考えられます。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|
| カードを違う課のファイルに戻す | 課ごとにファイルとカードの色をそろえる(例)。色が違えば、戻す前に気づける |
| ファイルの並び順が崩れる | ファイルの背に斜めの線を引く(例)。順番が乱れると線が途切れ、一目で分かる |
| カードを持ち出したまま戻らない | 持ち出し中の札を差し込む場所を決める(例)。カードが「どこにあるか」が常に分かる |
そして、決めたやり方を課の皆が守れるように、戻し方を掲示し、月に1回などの点検日を決めておけば、習慣(しつけ)のレベルも上がります。次の改善報告では、この「乱れない仕組み」まで踏み込んだ内容を、ぜひ聞かせてください。
関連する5S活動の事例
同じ工場の工具・備品の置き場に関する、上位ランクの事例です。



