この事例は、工場の工具箱の上段を形跡整頓し、工具を戻す位置を分かりやすくした整頓事例で、専門家評価はBランク(46点)。探すムダが1日平均1分短縮した。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 工具/備品(工具箱の上段) |
| 専門家評価 | Bランク(46点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 工具を探すムダが、1日平均1分短縮(改善報告の数値) |
改善前の状態(Before)
対象は、工場で使っている工具箱の上段です。改善報告には、改善前の状態について詳しい説明はありません。ただ、効果として「探すムダが一日平均一分短縮」と書かれていることから、改善前は工具を使うたびに探す時間が発生していたことが分かります。
工具箱は、毎日何度も開け閉めする場所です。1回ごとの探す時間は短くても、それが毎日積み重なると、作業のリズムを乱す原因になります。

改善内容(After)
工具箱の上段に、工具の形跡整頓を実施しました。形跡整頓とは、工具の形を置き場に描いたり、くり抜いたりして、「どこに・何を・いくつ」置くかを形で示す整頓の方法です。整頓の3定(定位・定品・定量)を、形そのもので表せるのが特長です。
専門家コメントにあるとおり、形跡整頓によって工具を戻す位置が分かりやすくなりました。その結果、探すムダが1日平均1分短縮されています。

専門家コメント
工具の形跡整頓を実施した改善ですね。改善活動ありがとうございます。
形跡整頓を実施したことで、工具を戻す位置が分かりやすくなりましたね。
良い改善なので、この状態を維持管理し、別の場所に水平展開をするように進めてください。
更なる工夫
更なる工夫を一つあげるとするならば、六角レンチなどは、取り出しがしやすいように形跡整頓ボードに指が入るスペースを予め付けておくことも有効です。
今後、水平展開を進める際に参考にしてみてください。
5S改善評価:合計46点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | B | 11点 |
| (2)改善の独自性 | C | 8点 |
| (3)改善の難易度 | C | 8点 |
| (4)清潔レベル | B | 12点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 7点 |
| 合計 | B | 46点 |
(1)成果の大きさ:B(11点)
理由:探すムダが1日平均1分短縮された。毎日使う工具箱なので効果は確実に積み上がるが、1日あたりの短縮時間は大きくはない。「満足のいく成果」の下側と評価する。
(2)改善の独自性:C(8点)
理由:形跡整頓は、工具の整頓でよく使われる定番の手法。工具箱の上段という身近な場所に取り入れた点は良いが、発想そのものは「よく似たタイプが多い改善」と評価する。
(3)改善の難易度:C(8点)
理由:工具ごとに形跡を作るには、配置を決めて形を取る手間がかかる。ただし、改善報告に所要時間や作り方の記載はなく、工具箱の上段という範囲に収まる作業。「そんなに時間をかけない改善」と評価する。
(4)清潔レベル:B(12点)
理由:形跡があることで、戻す位置が分かりやすくなり、工具が戻っていなければ空きで気づける。同じ状況なら乱れが起きにくい状態ができている。「同じ状況なら再発が起きにくい改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(7点)
理由:形跡によって置き方は決まったが、維持のための点検や、別の場所への展開のルールは改善報告に記載がない。専門家も「維持管理」と「水平展開」を次の課題としている。「ルール未整備」の段階と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
この事例は、5Sの整頓の基本を、毎日使う場所で確実に実行した改善です。特に次の3点は、しっかり評価したいところです。
- 「戻す位置」を形で決めた。整頓は「取り出す」より「戻す」で崩れがちです。形跡整頓は、戻す位置を言葉ではなく形で示すので、誰が使っても同じ場所に戻せます
- 効果を数字で示した。探すムダが1日平均1分短縮、と具体的に書かれています。小さな改善でも、数字にすると次の改善の判断材料になります
- 清潔レベルがB(12点)。工具が戻っていなければ空きで分かるため、乱れに早く気づける状態ができています
工具箱の上段という身近な場所から始めたことも、良い進め方です。小さな範囲で形を作り、うまくいったら広げる。専門家が勧める水平展開の、出発点になる改善です。
あと20点でAランク。習慣と清潔を中心に段階を上げる
合計46点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと20点です。1項目だけでは届かないので、専門家のコメントに沿って、次の順で段階を上げていくのが近道です(点数は目安です)。
| 上げ方 | 上げる項目 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|
| 現在 | - | 46点 | B |
| 点検と水平展開のルールを決め、周知する | 習慣 C(7点)→A(16点) | 55点 | B |
| 戻し忘れや紛れ込みが起きない仕組みにする | 清潔 B(12点)→A(16点) | 59点 | B |
| 指が入るスペースなど、使いやすさの工夫を加える | 独自性 C(8点)→B(12点) | 63点 | B |
| 別の工具箱・作業場所へ広げ、効果の範囲を大きくする | 成果 B(11点)→A(14点) | 66点 | A |
中でも効き目が大きいのは、習慣(しつけ)です。形跡整頓は、作った直後が一番きれいです。その状態を続けるための「点検の手順」と「広げ方の手順」を決めることが、Aランクへの一番の近道です。
「戻し忘れ」と「紛れ込み」を、起きる前に防ぐ
工具が見つからず、探してから「誰かが戻していない」と気づく。これは、起きてから直す「後追い」です。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。「気をつけて戻す」に頼らず、戻しやすい形・空きに気づく手順で、乱れそのものが起きないようにします。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|
| 六角レンチなどが取り出しにくく、別の場所に置かれる | 形跡整頓ボードに指が入るスペースを予め付ける(専門家の提案) |
| 工具が戻っていないことに、使う時まで気づかない | 終業時に形跡の空きを見る点検を、作業の手順に入れる(例) |
| 形跡のない工具が増え、上段に紛れ込む | 形跡のない物は置かない。工具を増やすときは、先に形跡を追加する(例) |
| 別の場所で同じ形跡整頓が再現できない | 作り方と完成状態を写真付きの標準書にして、水平展開に使う(例) |
工具の配置を変えるときは、その工具を使う人や担当者と確認しながら進めてください。安全に関わる工具がある場合は、安全の担当者とも確認しましょう。今回の形跡整頓を土台に、別の場所への水平展開を進め、職場全体の整頓レベルを高めてください。
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同じ整頓の、工具・置き場・在庫に関するAランクの事例です。



