この事例は、ノギスの形跡整頓台に明示を加え、何をどこに置くか一目で分かるようにした整頓事例で、専門家評価はBランク(49点)。使用時・使用後の整理のムダがなくなった。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 工具/備品(計測器:ノギス) |
| 専門家評価 | Bランク(49点。Bは46〜65点) |
| 効果 | ノギスの置き場所が固定できたため、使用時・使用後の整理を行うムダがなくなった |
改善前の状態(Before)
計測器(ノギス)の置き場は、形跡整頓まではできていました。ただし、それぞれの品物についての明示がありませんでした。形はあっても「どの形に、どのノギスを置くのか」が表示されていない状態です。
改善報告のタイトルには「形跡整頓第1弾」とあり、計測器の形跡整頓を進めていく最初の一歩として取り組まれた改善です。

改善内容(After)
形跡整頓の台に明示を行い、何をどこに置くかが一目で分かるようにしました。これでノギスの置き場所が固定でき、使うとき・使い終わったときに、改めて整理し直すムダがなくなりました。
持ち出すときも、返却するときも、表示を見れば迷わずに済みます。慣れた人だけでなく、誰でもすぐに同じ場所へ戻せる置き場になりました。

専門家コメント
いままで、形跡整頓はできていたが、それぞれの個別の品物の明示がなかった状態から、形跡整頓の台に明示を行い、何をどこに置くかが一目でわかるようにした事例ですね。
ノギスを持ち出すときはもちろんのこと、返却するときも、”誰でもすぐに”できるように改善された素晴らしい事例だと感じました。これで、新人が入ってきても生産性が保てますね。
また、単品管理を実施することで、ノギスの紛失防止や保護防護にも貢献できます。ご苦労さまでした。
今後の展望としては、ノギスは測定器ですので、定期的な点検や校正が重要となります。よって、校正期限や点検記録の表示などもここにあるといいと思います。
また、ノギスだけでなく、他の工具や測定器具についても、同様の形跡整頓と明示を行うことで、作業場全体の改善に繋げることができます。
では、次回報告も期待しています。引き続き、素晴らしい改善をがんばってください。
5S改善評価:合計49点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | B | 12点 |
| (2)改善の独自性 | C | 9点 |
| (3)改善の難易度 | C | 7点 |
| (4)清潔レベル | B | 13点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 8点 |
| 合計 | B | 49点 |
(1)成果の大きさ:B(12点)
理由:ノギスの置き場所が固定でき、使用時・使用後の整理を行うムダがなくなった。持ち出し・返却が誰でもすぐにでき、新人が入っても生産性が保てる。時間などの数値は改善報告にないため、「満足のいく成果」と評価する。
(2)改善の独自性:C(9点)
理由:形跡整頓の台に品物ごとの明示を加える方法は、5S活動でよく見られる手法。ただし、形跡整頓で終わらせず「どの形に何を置くか」まで表示した点に、もう一歩の工夫がある。「よく似たタイプが多い改善」の中では上側と評価する。
(3)改善の難易度:C(7点)
理由:形跡整頓の台はすでにあり、今回はそこに明示を加えた改善。所要時間や作業の内容は改善報告に記載がないため、「そんなに時間をかけない改善」と評価する。
(4)清潔レベル:B(13点)
理由:形と明示の両方で置き場が決まったことで、誰が戻しても同じ場所に戻り、乱れが起きにくい。単品で置き場を持つため、紛失防止にも貢献する。「同じ状況なら再発が起きにくい改善」の上側と評価する。校正期限や点検記録の表示まで加われば、さらに上を狙える。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(8点)
理由:置き場所を固定し、明示によって「ここに戻す」というルールを形にした。一方で、点検の頻度や他の工具・測定器への展開など、標準化・周知の記述は改善報告にない。「徹底すべきルールを設定した改善」と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
合計49点のこの事例は、Bランクの入り口にあたります。ただ、点数だけでは見えない良さがあります。特に次の4点は、しっかり評価したいところです。
- 「できている」で止まらなかった。形跡整頓はすでにできていました。そこで満足せず、品物ごとの明示という一歩を足しています。今ある仕組みを見直す目こそ、改善を続ける力です
- 「戻すとき」まで考えた。持ち出すときだけでなく、返却するときも誰でもすぐにできる。置き場の改善で見落とされやすいのが「戻す」動作です
- 人に頼らない置き場にした。新人が入ってきても生産性が保てる、と専門家も評価しています。慣れた人の記憶ではなく、置き場そのものが「ここです」と教えてくれる形です
- 「第1弾」として始めた。計測器の形跡整頓を、続けていく前提で取り組んでいます。次の改善への入り口ができています
形跡整頓は、1つの形に1つの品物しか収まらないため、整頓の3定(定位・定品・定量)を形で示せる方法です。そこに明示が加わったことで、「どこに」「何を」がはっきりしました。
あと17点でAランク。習慣・清潔・成果を順に上げる
合計49点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと17点です。1つの項目を1段階上げるだけでは届きません。専門家の今後の展望に沿って、3つの項目を順に上げていくと、Aランクが見えてきます。
| 上げ方 | 上げる項目 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|
| 現在 | ― | 49点 | B |
| 点検の頻度を決め、点検記録を置き場に表示して周知する | 習慣 C(8点)→A(16点) | 57点 | B |
| さらに、校正期限を置き場に表示し、期限切れを使う前に気づける形にする | 清潔 B(13点)→S(18点) | 62点 | B |
| さらに、他の工具・測定器具にも同じ形跡整頓と明示を広げる | 成果 B(12点)→A(16点) | 66点 | A |
どれも、専門家が「今後の展望」として挙げた内容です。「第1弾」の次の改善として、1つずつ進めてみてください。
「校正切れのノギス」を、使う前に防ぐ
清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。ノギスは測定器なので、置き場が整っていても、校正期限が切れたまま使われてしまえば、測定の不具合につながります。使ってから「校正が切れていた」と気づいて測り直すのは、後追いです。置き場を見た時点で気づける形にしておけば、未然防止になります。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み |
|---|---|
| 校正期限が切れたノギスを使ってしまう | 校正期限を置き場に表示する(専門家の提案) |
| 定期点検が抜ける | 点検記録を置き場に表示する(専門家の提案) |
| 返却されていないことに気づくのが遅れる | (例)終業時に台を見て、空いている形がないか確かめる手順を決める |
| 他の測定器具が、明示のない状態のまま | 同様の形跡整頓と明示を行う(専門家の提案) |
校正の周期や点検の方法は、品質・設備の担当者と確認しながら決めてください。「気をつけて確かめる」に頼らず、置き場を見れば分かる形にすることが、清潔レベルを一段上げるカギです。
関連する5S活動の事例
同じ工場の、工具・備品の整頓に関するAランクの事例です。



