5S活動の100均アイデア12選|低コスト改善事例を専門家がA〜Cランクで評価し解説

「5Sをやりたいけれど、予算がつかない」。そんな声を、現場でよく耳にします。棚や専用ケースを買いたくても、稟議を通す時間も、待つ時間もない。そこで、100円ショップで買えるケースやカゴ、テープから始めた改善事例が、当社の事例データベースにも寄せられています。皆さんの職場にも、100均の袋を提げて出勤した経験のある方はいませんか。

この記事は、お金をかけずに5Sを始めたい現場の担当者と、次の改善ネタを探している事務所の改善担当の方に向けて書いています。結論を先に言うと、100均グッズは入口にすぎません。ランクを分けるのは、グッズを置いたあとに、また乱れない決めごとがあるかどうかです。同じケースを買っても、「置いて終わり」の改善と、「戻す場所と数量まで決めた」改善では、専門家の評価がはっきり変わります。

この記事では、5S-CONCEPTの事例データベースで「100均」に分類された改善事例の中から、Aランク1件・Bランク3件・Cランク8件、合計12件を選び、専門家評価の理由とあわせて紹介します。あわせて、それぞれの改善を自分の職場で試すときに使える100均商品を、ダイソーの公式ネットストアで調べて「こんな商品が使えます」と提案します。商品名・価格・サイズは公式ページの記載をそのまま載せています。ただし、事例の原文には使った商品の記載がありません。ここで紹介する商品は、事例が実際に使ったものではなく、同じ考え方を試すための提案です。なお、サイト上のランクと評価の見直しを検討している2件は、今回は載せていません。

読み終える頃には、100均グッズで何から手をつければよいのか、そして次に何を足せば一段上の評価になるのかが、見えてくるはずです。工場の事例は工場の5S改善事例14選、オフィスの事例はオフィスの5S改善事例14選、倉庫の事例は倉庫の5S改善事例14選で紹介しています。5S活動そのものの意味・進め方から確認したい方は、5S活動とは?意味・目的・進め方7ステップ・続かない理由と直し方を製造現場目線で解説を先にご覧ください。

目次

100均グッズの5S改善を「ランクで見る」とうまくいく理由

100均グッズの改善は、始めやすい反面、「買って置いたら満足してしまう」という落とし穴があります。ケースを買えば置き場はできますが、そこに何を何個、誰がどう戻すのかが決まっていなければ、数週間で元の状態に戻ってしまいます。だからこそ、グッズそのものではなく、改善の中身を同じ物差しで見比べることが大切です。この記事では、5S-CONCEPTが独自に採点しているS〜Dの5段階評価をそのまま使います。

評価は、次の5項目をそれぞれ4段階(S=20点・A=16点・B=12点・C=8点・D=4点)で採点し、合計点でランクを決めています。5S-CONCEPTの評価基準による採点で、公的な認証や第三者機関の格付けではありません。

評価項目当社での意味
成果の大きさ時間・費用・安全にどれだけの効果が出たか
改善の独自性誰でも思いつく改善か、発想の転換があるか
改善の難易度実行にどれくらいの技術・時間が必要だったか
清潔レベル同じ不具合が「また起きる」か、「起きない仕組み」になっているか
習慣(しつけ)レベル良いやり方が、その人だけでなく全員が使える標準になっているか

合計81点以上がSランク、66〜80点がAランク、46〜65点がBランク、31〜45点がCランク、30点以下がDランクです。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」、習慣(しつけ)レベルの最高位は「誰が担当しても同じ結果になる標準化」です。100均グッズの改善は、この2項目で評価が分かれやすいことが、今回の12件からも見えてきます。

今回選んだ12件は、当社の事例データベースで「100均」に分類された事例の中から、Aランク1件・Bランク3件・Cランク8件を選びました。Sランク・Dランクの事例は、今回は載せていません。狙いは、Aランクの工夫から、あと一歩で上がるB・Cランクの「惜しい」までを、同じ物差しで見比べられるようにすることです。

12件の評価早見表(ランク・改善内容・使える100均商品・価格)

まずは12件を一覧で見てみましょう。右の2列の商品は、事例が使った物ではなく、同じ考え方を試すための提案です。商品名と税込価格は、ダイソー公式ネットストアで2026年10月7日に確認した記載です。点数の記載がない事例は、点数の内訳が元の記録にないもので、ランクだけを載せています。

ランク改善内容使える100均商品の例(提案)価格(税込)点数
A設備の周りにゴム線を引き、移動を防ぐクッションスポンジ(丸型、ブラック、6個)110円68点
B部品を部品別のケースに分けて表示ネジ収納ケース(仕切あり)110円非公開
B電極研磨用タワシの入れ物を設備に取り付けマグネット付収納ケース110円非公開
B引き出しを必要な物だけ入る形跡整頓に整理トレー(仕切板2枚付)110円非公開
C応接室に造花を置くフェイクグリーン(ヤドリフカノキ)330円非公開
C共用の机に専用箱を置くファイルボックス(ハーフ)220円非公開
C支給品と在庫部品を区別して表示仕切り3トールトレー110円非公開
Cタワシを名前入りのカゴで個人管理ハンドル付メッシュバスケット+透明おなまえシール330円+110円非公開
Cリモコンの置き場所を決めて表示くりぴたリモコンフック110円非公開
Cロッカー内を分類しシールで表示クリアラベルシール(48枚)110円非公開
C棚の道具置き場を新設し色分けビニールテープ(オレンジ、グリーン、ブルー、3P)110円非公開
C道具を引っかける場所を作るマグネットフック スイング(2個入)110円非公開

「点数:非公開」の11件は、5項目の点数内訳が元の改善報告に記録されておらず、専門家コメントとランクだけが残っている事例です。商品の価格を見ると、ほとんどが110円、高くても330円です。ただし、安く揃えられることと、評価が高いことは別の話です。次の章から、それぞれの事例を詳しく見ていきます。

Aランク1選|ゴム線で「設備の移動」を止めた発想

今回の12件で唯一のAランクは、お金のかけ方ではなく、発想で評価された事例です。ただ設備の周りを整えるのではなく、なぜ動いてしまうのか、という原因のほうに手を打っている点がポイントです。

1. 設備の周りにゴム線を引き、溶接振動による移動を防ぐ(設備)

改善前は、生産中にスポット溶接機が少しずつ動いてしまい、生産の途中で位置を直さなければなりませんでした。設備の周囲にゴム線を引いて、溶接の振動による設備の移動を少なくしたところ、修正が要らなくなり、動作のムダをなくせました。評価は成果A・独自性A・難易度C・清潔A・習慣Bの合計68点でAランクです。専門家は「アイデアの利いた改善」とたたえ、位置ずれの修正作業がなくなって効率化が進んだと評価しています。そのうえで次の一歩として、似た問題が起きている箇所への水平展開、ゴム線が劣化したときの交換・点検の基準づくり、時間がたってもゴム線の意味を忘れないよう設備点検のポイントに落とし込むことを挙げています。元の改善事例を見る

こんな100均商品が使えます(提案):ダイソーのクッションスポンジ(丸型、ブラック、6個)は110円(税込)で、3cm×3cm×0.4cmのSBR製です。公式ページには「衝撃吸収や防振に」「引きずりキズや小さい振動の緩和に」「小物や置物のすべり止めに」と書かれています。ここで注意したいのは、これは小物や軽いものの向きだということです。事例のような溶接機の重い設備には、そのままは使えません。まずは、小型の治具や軽い台、作業台の上の機器など、小さな振動による位置ずれから試してみてください。事例の原文には、使ったゴム線の種類や費用の記載はありません。

この事例が教えてくれるのは、100均グッズのような安い物でも、原因を押さえれば評価につながるということです。一方で、専門家が次の一歩に「交換・点検の基準」を挙げているように、ゴムは劣化します。安く始めた改善ほど、いつ替えるのか、誰が見るのかを最初に決めておくことが、Sランクに届くための条件になります。

Bランク3選|あと一歩で上がる「惜しい」を言語化する

Aランクの事例は、真似したくなる完成度です。ですが実際の現場でよく出会うのは、むしろこのBランクの改善ではないでしょうか。評価できる点と、Aランクに届かない理由の両方を見ていきます。

1. 箱に乱雑に入っていた部品を、部品別のケースに分けて表示する(材料/部品)

改善前は、箱に乱雑に入れられていた部品類が、探しにくい状態でした。部品別にケースに分けて保管し、表示を付けたところ、探す時間が短縮され、すぐ取り出せるようになりました。専門家評価はBランクです。専門家は、段ボールだったものが色付きのケースに入って仕事がしやすくなったと述べ、効果として「ケースに入って取り出しやすくなった」「品名を表示して探しやすくなった」「部品の在庫が確認しやすくなった」の3つを挙げています。そのうえで次の一歩として、部品ごとの発注点を分かりやすく明示して、欠品や不足を防ぐことを求めています。この事例は点数の内訳が元の記録にありません。元の改善事例を見る

こんな100均商品が使えます(提案):ダイソーのネジ収納ケース(仕切あり)は110円(税込)で、サイズは10cm×13.3cm×2.7cm、材質はポリプロピレンです。公式ページに「仕切りが移動できる」とあり、仕切りは手でカットして使えます。小さな部品を種類ごとに分けるのに向いています。ケースに品名を書いたシールを貼り、さらに発注点(これだけ減ったら発注する個数)を書き添えれば、専門家の次の一歩にも届きます。

2. 電極研磨用タワシの入れ物を設備に取り付ける(工具/備品)

電極を磨くタワシが、あちこちに散らばっていました。設備に箱を取り付け、「電極用タワシ」入れと表示したところ、散乱しなくなりました。専門家評価はBランクです。専門家は、改善前はタワシが落ちるたびに「拾う」という無駄な作業が出ていたが、改善後はその作業が減ると評価しています。また、設備に取り付けた箱に名前を表示したことも、よい改善だとしています。そのうえで、設備の周りは工具や備品が仮置きされやすく、仮置きは職場が乱れる原因・きっかけになるので、置き場を決めて仮置きされている物をなくす改善を進めてほしいと述べています。この事例は点数の内訳が元の記録にありません。元の改善事例を見る

こんな100均商品が使えます(提案):ダイソーのマグネット付収納ケースは110円(税込)で、サイズは14cm×7.5cm×7cm、マグネットはフェライト磁石です。公式ページに耐荷重は約200gとあり、あわせて「耐荷重は測定値であり、保証値ではありません」と注意書きがあります。軽い消耗品を、鉄の面に貼り付けた近くに置くのに向いています。設備の振動で外れないか、磁石を付けてよい場所かを、使う前に確認してください。

3. 引き出しの中を、必要な物だけ入る形跡整頓にする(文房具)

机の引き出しの中の物を一度整理して、必要な物だけが収納できるように、形跡整頓を行った事例です。取り出しやすく、しまいやすくなりました。専門家評価はBランクです。専門家は、改善前の写真には消しゴム3個、印鑑7本、USBメモリ3個など、重複した物が多かったと述べています。実際に必要かどうかを分けてみると、ほとんど使っていない物だったようです。整理・整頓の本質が分かりやすい、ビフォーアフターの改善だとしています。そのうえで、この考え方は他の場所にも広げられるとして、不必要な物が収納できない仕組みを導入することを次の一歩に挙げています。この事例は点数の内訳が元の記録にありません。元の改善事例を見る

こんな100均商品が使えます(提案):ダイソーの整理トレー(仕切板2枚付)は110円(税込)で、サイズは20cm×4cm×6.7cm、積み重ねられます。仕切板で区切れるので、1つの区画に「入れる物の数」を決めやすくなります。ポイントは、トレーの大きさを「持つ数」に合わせることです。トレーに入りきらなくなったら、数が増えたサインになります。

Cランク8選|身近な道具で始める基本の一歩と、次に足したいこと

Cランクの8件は、置き場づくりや片づけといった基本の一歩に手を付けた事例です。専門家の「次の一歩」を読むと、どれも「この改善を、元に戻らない仕組みに変える」ことが共通の宿題になっています。商品の提案とあわせて、その宿題の中身まで見ていきましょう。

1. 応接室に造花を置き、雰囲気を柔らかくする(文房具)

殺風景だった応接室に造花を置いたところ、部屋の雰囲気が柔らかくなりました。専門家評価はCランクです。専門家は、殺風景な状態に気づいて造花を配置したことを、女性ならではの視点だと述べています。そのうえで、5Sで大事なのは、自分たちだけでなく、お客様や第三者から見たとき、職場や工場がどう見えるかを考えて進めることだと指摘しています。お客様や取引先は、初めて訪問したとき、たいてい職場の状態を確認し、特に玄関先やトイレの整理整頓の状況を見ているといいます。応接室もその確認を受ける場所なので、今回の改善にとどまらず、レベルアップを図ってほしいと結んでいます。この事例は点数の内訳が元の記録にありません。元の改善事例を見る

こんな100均商品が使えます(提案):ダイソーのフェイクグリーン(ヤドリフカノキ)は330円(税込)で、サイズは21cm×23cm×20cm、植物部分はポリエチレン、植木鉢はポリプロピレンです。100均といっても、110円ではない商品もあります。公式ページには、白・淡色の壁に長期間接触させると色移りする場合があるという注意書きがあるので、置き場所に気をつけてください。ただし、飾るだけでは「来客の目線」の改善はまだ半分です。玄関やトイレなど、来客が目にする場所を点検するチェックの場を設ければ、評価の次の一歩に届きます。

2. 共用の机に専用箱を置き、机の上を片づける(文房具/書類)

現品票の置場の横にある机の上に、いろいろな物が置かれていました。専用の箱を設置して、整理整頓しました。専門家評価はCランクです。専門家は、共用の机が整理されて、気持ちよく仕事ができるようになったと評価しつつ、この状態を維持継続してほしいと述べています。維持継続のポイントは2つで、1つ目は、机の上に何をどこに置くのかルールを決めて明示すること。2つ目は、整理整頓された状態の写真を机の上に掲示し、一日の終わりには写真と同じ状態に戻すことです。共用の机には持ち主がいないため、不要な物が仮置きされがちだとも指摘しています。この事例は点数の内訳が元の記録にありません。元の改善事例を見る

こんな100均商品が使えます(提案):ダイソーのファイルボックス(ハーフ)は220円(税込)で、サイズは9.5cm×32.2cm×12.2cm、日本製です。机の上の書類や小物をまとめる専用箱として使えます。箱の外側に「入れる物」を書き、さらに専門家のすすめに沿って、整った状態の写真を箱の近くに貼れば、一日の終わりに戻す目安になります。

3. 支給品と在庫部品を区別して表示し、取り出しやすくする(材料/部品)

乱雑に置かれていた部品置き場を整頓した事例です。支給品と在庫品を区別せずに置いていたため、表示を付けて、別々に管理するようにしました。部品が取り出しやすくなりました。専門家評価はCランクです。専門家は、小さいけれど一歩進んだ改善だとねぎらったうえで、さらに上を目指すなら、部品を取って加工する過程で、作業時間が短くなる改善を考える視点が必要だとしています。写真を見ると、引き出しを操作する必要があり、引くのに1秒、閉めるのに1秒、合計で2秒近い時間が余分にかかります。そこで、引き出す必要のない置き方ができないかという視点を示しています。この事例は点数の内訳が元の記録にありません。元の改善事例を見る

こんな100均商品が使えます(提案):ダイソーの仕切り3トールトレーは110円(税込)で、サイズは約17.9cm×9.1cm×4cmです。公式ページに「積み重ねて使用できます」とあります。浅いトレーなので、引き出しを開けなくても、上から見て取れる置き方に向いています。支給品用と在庫品用でトレーを分けて、ラベルを貼れば、区別の表示も一緒にできます。

4. タワシを名前入りのカゴで個人管理にする(工具/備品)

タワシの扱いが、担当者それぞれの判断になっていて、乱雑に放置される状況がありました。そこで、名前を表示したカゴに入れて個人管理を徹底し、各人が持つ数や状況が見えるようにしました。散乱することがなくなりました。専門家評価はCランクです。専門家は、各作業者の判断の適正さが分かり、「この判断でよいのか」と考えるきっかけになると評価しています。そのうえで、次に考えてほしいこととして、それぞれの判断基準を統一して標準化することを挙げています。どこで、いつ、誰が集まるのかまで、具体的に決めて話し合いの機会を設けてほしいと述べています。この事例は点数の内訳が元の記録にありません。元の改善事例を見る

こんな100均商品が使えます(提案):ダイソーのハンドル付メッシュバスケットは330円(税込)で、サイズは24cm×24cm×18cm、材質はポリプロピレンです。名前の表示には、透明おなまえシールが使えます。110円(税込)で、PET製、3シート・156片入りです。公式ページには「透明だから下地を隠さず貼れる」とあります。名前を貼るだけでなく、カゴに入れる数の上限も書いておけば、「持ちすぎ」にも気づけます。

5. 事務所の棚で、リモコンと引き出しの置き場所を決める(工具/備品)

リモコンや引き出しの中の備品が、無造作に置かれていた状態を問題と捉え、置き場所を設定して表示しました。誰が見ても、何をどこに置くルールになっているか分かりやすくなりました。専門家評価はCランクです。専門家は、ルールを守れる環境づくりが整ったと評価しつつ、なぜそのような状態になったのか、原因を考えてほしいと述べています。例として、「置き場所が決まっていなかった」「どこに何を置くかわからなかった」「ルールを守る意識が低かった」の3つの原因を挙げ、最初の2つは今回の改善でカバーできたものの、3つ目はカバーできていないとしています。この事例は点数の内訳が元の記録にありません。元の改善事例を見る

こんな100均商品が使えます(提案):ダイソーのくりぴたリモコンフックは110円(税込)で、受台と差込の2点構成、粘着タイプです。公式ページに「家電のリモコンを壁にスッキリ収納!壁面を傷めません!」とあります。リモコンに専用の定位置ができるので、「どこに置くか」の迷いはなくなります。ただし、専門家が指摘したとおり、守る意識までは道具では作れません。守れているかの確認と、守れないときの要因探しを、全員でする場が必要です。

6. ロッカーの中を分類し、ケースとシールで表示する(工具/備品)

乱雑に詰め込まれたロッカー(備品棚)の中の、必要な物を整理し、不要な物を撤去しました。必要な物は分類してケースに入れ、シールで、どこに何があるかが分かるようにしました。専門家評価はCランクです。専門家は、多くのスペースが生まれ、物を取るときの探す時間が大幅に短縮される効果が見込めると評価しています。そのうえで、整理は不必要に占有されているムダなスペースを開放することが目的、整頓は物を探すムダな時間を短縮することが目的だと整理し、整頓の面ではまだ改善の余地があるとしています。たとえば、引き出しやフタを開け閉めする動作には数秒かかるので、開けなくても取れるようにできないか、よく使う物とあまり使わない物で最適な置き場所は違うのでは、という視点を示しています。この事例は点数の内訳が元の記録にありません。元の改善事例を見る

こんな100均商品が使えます(提案):ダイソーのクリアラベルシール(48枚)は110円(税込)で、1枚のサイズは2.4cm×5.3cm、材質はポリプロピレンです。公式ページには「透明素材で貼りあとが目立たない」とあります。ケースの外側に品名を書いて貼れば、中を開けなくても分かります。さらに、よく使う物ほど手前、あまり使わない物は奥という置き場所の考え方を加えると、評価の上のランクに近づきます。

7. 作業場所に棚の道具置き場を新設し、色分けする(工具/備品/材料)

使う工具や材料が、そこらへんに乱雑に放置されていました。棚をつくって見える化したことで、直すところも明確になり、どこに何があるかが分かりやすくなりました。メスの材料は箱の色を変え、使用後と使用前が一目で分かるよう色分けしました。専門家評価はCランクです。専門家は、アフターの写真から、かなり時間をかけて本格的に進めたことが読み取れる、努力賞的な改善だとたたえています。さらに高度化するなら、他の箇所とも同じ収納ルールを検討してほしいと述べ、どこの作業場に行っても同じ収納ルールなら、多くの作業者が直感的に取って、使って、戻せると指摘しています。この事例は点数の内訳が元の記録にありません。元の改善事例を見る

こんな100均商品が使えます(提案):ダイソーのビニールテープ(オレンジ、グリーン、ブルー、3P)は110円(税込)で、3巻入りです。公式ページでは「電気絶縁用」の商品で、色を分けて目印にするのに使えます。たとえば、使用前の箱にはオレンジ、使用後の箱にはブルーを貼る、というような色のルールを、全作業場で統一しておくのがポイントです。色の意味は、作業場の見やすい場所に掲示しておきましょう。

8. 作業場所に道具を引っかける場所を作る(工具/備品)

作業場所に無造作に置かれていた道具の置き場所を、3か所つくり、それぞれに表示をしました。専門家評価はCランクです。専門家は、置き場所をつくったことで、道具がそこに戻ることが標準化され、探すムダな時間が短縮できると評価しています。表示を見れば、誰かが違う場所に置いたり持って行ったりする可能性も、大きく減ると述べています。そのうえで、改善にはまだ続きがあるとして、道具そのものにも表示をすることで、戻すときの迷い時間を短縮できると指摘しています。とくに色別で表示すると、直感的に理解でき、間違いが減ると述べています。この事例は点数の内訳が元の記録にありません。元の改善事例を見る

こんな100均商品が使えます(提案):ダイソーのマグネットフック スイングは2個入りで110円(税込)、公式ページの最大保持荷重は約1kgで、金属塗装面に取り付けられます。鉄の面に付けて道具を引っかける置き場が、簡単に作れます。ただし、道具の重さが1kgを超えないか、引っかけた状態で外れないかを、使う前に確認してください。専門家のすすめに沿って、道具の側にも同じ色のシールを付ければ、元に戻す場所が一目で分かります。

12件から見える、100均グッズの改善を長続きさせる3つの視点

ここまで12件を見てきて、気づいたことはありませんか。100均グッズの改善は、置き場をつくるところまでは誰でもできます。評価が分かれるのは、そのあとです。専門家の「次の一歩」を並べると、次の3つの視点に整理できました。

視点Cランクに多い状態A・Bランクに多い状態
原因に手を打つ散らかった物を、置き場に入れて片づけている動く、落ちる、混ざるといった原因そのものに手を打っている
数と置き場を決めるケースやカゴはあるが、何を何個入れるかが決まっていない品名、定位置、発注点などで、数と置き場が決まっている
守る仕組みを持つ守る意識に頼り、点検や交換の決まりがない劣化時の交換・点検、守れたかの確認が決まりになっている

面白いのは、これらは、グッズの値段とは関係ないということです。110円のケースでも、330円のカゴでも、評価を分けたのは「その先に何を決めたか」でした。足りなかったのは、買い足す物ではなく、「ここに何を何個、誰が戻す」という一言の決めごとだったのかもしれません。

100均グッズで改善をするときは、買う前に、次のことを確認してみてください。

  • ☐ この改善は、散らかった物を片づけるだけでなく、散らかる原因にも手を打っているか
  • ☐ 入れる物の名前と数が、ケースやカゴの近くに書いてあるか
  • ☐ ゴムやテープ、粘着タイプのように、劣化する物の交換時期と担当者が決まっているか
  • ☐ 担当者が変わっても、元に戻す場所と方法が分かるか

4つとも「はい」と言えれば、その改善は、100均グッズでもAランクの水準に近いということです。

よくある質問

ここまでの12件を読んで、皆さんの中に浮かびやすい疑問を4つにまとめました。100均グッズの選び方と、この記事の読み方を先にお答えします。

100均グッズで5S改善をするとき、最初に選ぶなら何ですか

今回の事例では、仕切りのあるケースやトレー、ラベルシール、フック類が、置き場と表示づくりに使われやすい傾向がありました。まず選ぶなら、物を分けるケースと、品名を書くシールの組み合わせが始めやすいと思います。ただし、専門家の評価で差がついたのは、買った物ではなく「何を何個入れるか」まで決めたかどうかです。商品を選ぶ前に、入れる物の種類と数を決めてください。

100均グッズで作った置き場は、すぐ壊れたり乱れたりしませんか

ゴムやテープ、粘着タイプのフックなどは、使ううちに劣化します。事例2097でも、専門家は、ゴム線が劣化したときの交換・点検の基準を設けることを次の一歩に挙げています。また、マグネット付きのケースやフックには耐荷重があります。公式ページに書かれた耐荷重の範囲で使い、劣化や外れを定期的に確認して、誰がいつ見るのかを決めておくと安心です。

この記事の商品は、事例で実際に使われたものですか

いいえ。事例の原文には、使った商品の記載がありません。この記事で紹介している商品は、同じ考え方を自分の職場で試すための提案です。商品名・価格・サイズは、ダイソー公式ネットストアで2026年10月7日に確認した記載です。価格や取り扱い、在庫は変わることがあり、店舗によっても異なります。購入の前に、最新の情報を公式サイトや店舗で確認してください。

この評価基準は誰が使っていますか

5S-CONCEPTの事例データベースに登録された改善報告を、専門家が5項目(成果・独自性・難易度・清潔・習慣)で評価する、当社独自の基準です。国や業界団体の公的な認証制度ではありません。

まとめ|次に見る一手

冒頭の、予算がなくても5Sを始めたいという話に戻ります。100均グッズは、5Sの入口として、とても心強い道具です。ただ、今回紹介した12件は、同じことを教えてくれています。原因に手を打つこと、数と置き場を決めること、劣化や担当の交代があっても続く決まりを持つこと。この3つが、ランクを分ける正体でした。

すべてを一度に整える必要はありません。まずは、自分の職場で、100均グッズを使った改善を一つ選び、「入れる物の名前と数が書いてあるか」「散らかる原因にも手を打っているか」「担当が変わっても続くか」の3つを、この記事の判断表と見比べてみてください。それだけで、次に何を足せばよいかが見えてくるはずです。

自社の改善事例も、こうした基準で評価してほしいという方へ。5S-CONCEPTでは、今回のような5項目評価の考え方を、日々の改善報告にそのまま使えるチェックシートとしてもご用意していく予定です。まずは、100均グッズを使った改善を一つ、見直すところから始めてみてください。

5Sが続かない本当の理由と、立て直す30日

無料ガイド『5Sが続かない本当の理由と、立て直す30日』

ラベルも線も引いたのに、三か月で元に戻る。そんな現場へ。誰か一人の頑張りに頼らず、チームで続ける仕組みのつくり方を、止まる7つのパターン・10問の自己診断・立て直しの30日にまとめました(A4・13ページ)。

無料で受け取る(PDF)
5S改善の報告書を、写真2枚から作れます
改善前・改善後の写真2枚で5S報告書が完成
改善前・改善後の写真とひとことから、A4の5S改善報告書が完成するアプリ「5S-Works!」。
いま無料の先行モニターを先着30名で募集しています。希望する1件について、5S-CONCEPTの専門家へ評価を依頼できます。評価依頼は1メールアドレスにつき1回で、点数・理由・コメントをメールでお返しします。

この記事を書いている会社について

チームで改善を続けられる、強い会社へ。

5S-CONCEPTを運営する株式会社事成すは、誰か一人の頑張りに頼っていた改善を、チームで続けられる会社の力に変えるお手伝いをしています。次の3つは、会社の課題に合わせて組み合わせてご利用いただけます。

30分の無料オンライン相談(平日9時〜17時)

5Sの止まりどころと最初の一手を、一緒に整理します。無理におすすめすることはありません。ご相談だけで契約が成立することもありません。

空いている時間を選んで予約する

社員を元気にする。会社を元気にする。そして街を元気にする。 株式会社事成す

この記事を書いた専門家

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。16年間で900社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。5S-CONCEPTでは、これまでに5S活動の改善事例338件を評価(2026年9月27日時点)。

目次