この事例は、材料置き場の使わない材料を処分し、仕切りで分けて入れるようにした整頓事例で、専門家評価はBランク(56点)。あと10点でAランクに届く。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓(整理を含む) |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 材料置き場(材料/部品) |
| 専門家評価 | Bランク(56点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 材料を取るたびに、対象がどれかを探すムダな時間が減る |
改善前の状態(Before)
材料置き場には、両刃、片刃、32ミリ、メーカーといった区別のある材料が、同じところにまとめて入っていました。どれも一緒に入っているため、材料を取るたびに、目的のものがどれかを探す必要がありました。

改善内容(After)
まず、使わない材料を処分しました(整理)。そのうえで、置き場に仕切りを付けて、材料を分けて入れるようにしました(整頓)。専門家コメントによると、一定のルールを決めて表示まで行っています。

専門家コメント
乱雑に置かれていた材料置き場を、一定のルールを決めて表示した、レベルの高い改善です。
これによって将来、材料を取る度に対象がどれか探しているムダな時間が削減された効果を得られるようになります。
たいへんおつかれさまでした。
そして今回の改善レベルをさらに高めるには、もう一歩考え方の進化が必要となります。
整頓は探すムダな時間をなくすための活動です。つまり、作業を進める時の最適な材料の置き場はどこか? ということです。もちろん作業する場所に近ければ近いほど良く、取る動作が短ければ短いほど良いはずです。
動作経済の原則によれば、指<手首<肘<腕<腰<歩行の順に時間が長くかかるといいます。つまりこの位置はテーブルの下と床置きした引き出しの中なので、腰を落とす位置です。
腕を動かすだけで、肘を動かすだけで取れる位置を考えてみる。
ぜひ参考にして、次なる改善へのヒントに活用いただければ幸いです。
5S改善評価:合計56点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | B | 12点 |
| (2)改善の独自性 | B | 12点 |
| (3)改善の難易度 | B | 12点 |
| (4)清潔レベル | B | 12点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 8点 |
| 合計 | B | 56点 |
(1)成果の大きさ:B(12点)
理由:種類の違う材料がまとめて入っていた状態から、使わない材料を処分し、分けて入れる状態にした。材料を取るたびに対象を探すムダな時間が減る。一方で、置き場は腰を落として取る位置のままである。「満足のいく成果」と評価する。
(2)改善の独自性:B(12点)
理由:仕切りで分けて入れる方法は、5S活動でよく使われる手法。ただし、処分(整理)から仕切り(整頓)、ルールを決めた表示まで、順を追って進めた点は評価できる。「標準的に発想ができる改善」と評価する。
(3)改善の難易度:B(12点)
理由:材料ごとに要・不要を見極めて処分し、分け方を決めて仕切りを付ける作業には、一定の手間がかかる。「標準的な時間でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:B(12点)
理由:仕切りがあることで、両刃・片刃などが再び混ざりにくくなっている。同じ使い方を続ければ、乱れは起きにくい。ただし、新しい材料が入ったときや、使わない材料がまた増えたときに防ぐ仕組みまでは、改善報告からは読み取れない。「同じ状況なら再発が起きにくい改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(8点)
理由:一定のルールを決めて表示した点は評価できる。ただし、そのルールを皆が守る標準として文書にしたか、定期的に点検しているかは、改善報告に記載がない。「徹底すべきルールを設定した改善」と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
専門家が「レベルの高い改善」と書いているとおり、この事例には、しっかり評価したい点がいくつもあります。
- 整理から始めた。いきなり仕切りを付けるのではなく、先に使わない材料を処分しています。要らない物が残ったまま分けても、置き場はすぐに窮屈になります。順番を守ったことが、改善の土台になっています
- 「分ける」を仕組みにした。「気をつけて分けて入れる」ではなく、仕切りという形で分けています。誰が入れても、同じ場所に戻しやすくなります
- ルールを決めて表示した。自分だけが分かる分け方ではなく、表示によって、ほかの人にも分かる置き場にしています
あと10点でAランク。習慣・清潔・成果を1段階ずつ上げる
合計56点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと10点です。1項目を1段階上げると+4点なので、3項目を1段階ずつ上げると+12点で68点になり、Aランクに届きます。
| 上げ方 | 上げる項目 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|
| 現在 | - | 56点 | B |
| 分け方のルールを標準にする | 習慣 C(8点)→B(12点) | 60点 | B |
| 乱れが起きない仕組みを足す | 清潔 B(12点)→A(16点) | 64点 | B |
| 置き場を取りやすい位置に移す | 成果 B(12点)→A(16点) | 68点 | A |
成果を上げるヒントは、専門家コメントにあります。整頓は、探すムダな時間をなくすための活動です。今の置き場はテーブルの下と床置きの引き出しの中で、腰を落とさないと取れません。動作経済の原則では、指<手首<肘<腕<腰<歩行の順に時間がかかります。腕や肘を動かすだけで取れる位置に置き場を移せば、探す時間に加えて、取る時間も短くなります。
整頓の3定は「定位・定品・定量」です。次は「定位(作業する場所から最も取りやすい位置)」と「定量(いくつ置くか)」まで決めると、整頓がさらに強くなります。
「また混ざる・また増える」を、起きる前に防ぐ
仕切りで分けた置き場も、放っておくと、新しい材料が空いた所に入ったり、使わない材料がまた溜まったりします。乱れてから片付け直すのは「後追い」です。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。「気をつけて戻す」に頼らず、乱れが起きない形にしておくことが大切です。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|
| 別の種類の材料が、空いた仕切りに入る | 仕切りごとに品名(両刃・片刃・32ミリなど)を表示し、入れてよい物を決める |
| 使わない材料が、また溜まる | 置き場に入れてよい品目の一覧を貼り、一覧にない物は置かないルールにする |
| 材料が切れていることに、使うときに気づく | 仕切りごとに置く量の上限・下限を決め、下限で補充する |
| 置き場を移した後、元の位置に戻ってしまう | 新しい置き場の位置と分け方を写真付きの標準書にして、関わる人に周知する |
表の内容は、改善報告にはない「例」です。置き場の移動や棚の設置など、設備や作業の安全に関わる変更は、設備・安全の担当者と確認しながら進めてください。
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