この事例は、工具や部品を作業台に前もって配置し、手待ちをなくした整頓事例で、専門家評価はCランク(44点)。1枚あたり約15分短縮。あと2点でBランク。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 工具/備品 |
| 専門家評価 | Cランク(44点。Cは31〜45点) |
| 効果 | 手待ちのムダがなくなり、早く作業にとりかかれるようになった。1枚あたりの作業時間が約15分短縮(改善報告の記載) |
改善前の状態(Before)
作業者が、機械の前で待機し、手待ち時間が発生していました。必要な工具や部品を、その場で用意する流れだったため、機械が動いている間は、次の作業にとりかかれない状態でした。

改善内容(After)
必要な工具や部品を、作業台に配置し、すぐに作業にとりかかれる体制を整えました。作業準備を、前もって行えるようにする「前段取り」です。その結果、早く作業にとりかかれるようになり、1枚あたりの作業時間が約15分短縮されています。

専門家コメント
作業者が機械の前で待機し、手待ち時間が発生していた状態だったのを、必要な工具や部品を作業台に配置し、すぐに作業に取り掛かれる体制を整えることにより、作業準備を事前に行えるようにした改善ですね。
この改善によって、手待ち時間が減少し、作業効率が大幅に向上しました。準備が整った状態で作業を開始できるので、無駄な時間がなくなり、スムーズな作業が可能になりました。素晴らしい改善をしていただき、本当にありがとうございました!
次に考えていただきたいのは、この効率的な状態を維持し、さらに改善するための視点です。具体的には、工具や部品の配置を見直してより使いやすい配置を検討すること、定期的に作業フローを確認して改善点を見つけ出すこと、他の作業者とも情報を共有してベストプラクティスを導入することです。
5S改善評価:合計44点(Cランク)
今回の改善を、5つの項目で辛口に評価しました。
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | A | 16点 |
| (2)改善の独自性 | C | 8点 |
| (3)改善の難易度 | C | 8点 |
| (4)清潔レベル | C | 8点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | D | 4点 |
| 合計 | C | 44点 |
(1)成果の大きさ:A(16点)
理由:手待ちのムダがなくなり、1枚あたりの作業時間が約15分短縮された。専門家も、作業効率が大幅に向上したと評価している。数字で示された成果として、この事例のいちばんの強み。「やや大きい成果」と評価する。
(2)改善の独自性:C(8点)
理由:作業準備を前もって行う「前段取り」は、作業改善の基本的な考え方で、似た取り組みは多い。ただし、手待ちの原因に気づき、工具と部品の置き場所を見直した点は認めたい。「よく似たタイプが多い改善」と評価する。
(3)改善の難易度:C(8点)
理由:工具や部品を作業台に配置する整頓で、特別な設備や技術は必要としない。ただし、作業の流れを見直して前段取りに組み替える手間はある。「そんなに時間をかけない改善」と評価する。
(4)清潔レベル:C(8点)
理由:今は必要な物が作業台に揃っているが、配置の決まりや、使った後の戻し方が示されていない。物が増えたり、作業者が替わったりするきっかけで、また手待ちが起きる可能性がある。「何かのきっかけで再発する改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:D(4点)
理由:前段取りのやり方を、全員が同じようにできる標準にした記載がない。専門家も、作業フローの確認や、他の作業者との情報共有を、次の一歩に挙げている。「習慣化を促さない単発的な改善」と評価する。
Cランクから上位ランクに上げる工夫と考え方
この改善は、約15分の短縮という大きな成果がありました。上のランクに進むために必要なのは、さらに時間を縮めることではありません。この成果が、誰が作業しても、この先も続くようにすることです。
点数で見る「上げ方」
44点のこの事例は、Bランク(46点)まであと2点です。清潔か習慣のどちらかを1段階上げれば届きます。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(8点) | D(4点) | 44点 | C |
| 習慣を1段階上げる | C(8点) | C(8点) | 48点 | B |
| 清潔・習慣をともに最上位(S)まで上げる | S(20点) | S(20点) | 72点 | A |
成果・独自性・難易度は今のままでも、維持の仕組みだけでAランクに届きます。約15分の短縮を守る「崩れない仕組み」が、評価を決める部分です。
清潔レベルのカギは「未然防止」
整理・整頓・清掃は、放っておくとモグラ叩きになりがちです。前段取りも、工具や部品が足りなくなってから補充する、置き場が乱れてから並べ直す、という「後追い」になりがちです。「準備を忘れないように」と声をかけるだけでは、忙しい日は元の手待ちに戻ります。
この評価基準では、清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。準備し忘れや、部品の不足が起きようのない仕組みにすること。私たち評価者が支援現場で強く感じるのは、多くの中小製造業の現場で、この「不具合が起きない仕組み」まで考える視点が不足していることです。
この事例に当てはめると、次のようになります。
| 起こりうる不具合 | 後追いの対応(Cの発想) | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|---|
| 前段取りの工具や部品が、揃っていない | 作業が始まってから探して取りに行く | 作業に必要な工具と部品を、作業ごとの一覧にして、前段取りの時点で確認できるようにする(例) |
| 使った工具の戻し場所が決まっていない | 気づいた人が戻す | 作業台に、工具と部品の置き場所を表示し、定位置以外に置くと目立つ状態にする(3定:定置・定品・定量) |
| 作業者が替わると、準備の手順が変わる | 教わった人が自己流で準備する | 前段取りの手順と、置き方の見本を、作業台のそばに掲示する |
| 作業の種類が増えて、作業台があふれる | あふれてから置き場所を探す | 作業台に置ける工具・部品の数を決めておき、増えるときは何かを減らすルールにする(例) |
上の表は例です。作業台や機械まわりの配置を変えるときは、作業の安全や動線に影響しないか、設備・安全の担当者と確認してください。
習慣(しつけ)レベル:単発の改善から「皆が守る標準化」へ
習慣(しつけ)は、清潔で見つけた良いやり方を標準化する活動です。習慣レベルを上げるには、一人の工夫を、全員が同じようにやるルールにします。
- 前段取りの手順と、工具・部品の置き方を、写真つきで掲示する
- 新しく入った人にも、手待ちをなくす考え方が伝わるよう周知する
- 定期的に作業の流れを見直す日を決めて、改善点を記録する
次の改善報告で期待すること
専門家は、この効率的な状態を維持し、さらに改善するための視点として、次の3点を挙げています。
- 工具や部品の配置を見直し、より使いやすい配置を検討する
- 定期的に作業フローを確認し、改善点を見つけ出す
- 他の作業者とも情報を共有し、良いやり方を取り入れる
他のメンバーとも協力しながら、この成果を職場全体に広げてください。次回の改善報告を楽しみにしています。
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