この事例は、金型組立用のハンドルやレンチを移動台車に移し、作業現場の近くに置いた整頓事例で、専門家評価はBランク(47点)。工具を取りに行く時間が1日平均で約10分短縮した。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 工具/備品(金型組立用のハンドル・レンチ) |
| 専門家評価 | Bランク(47点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 工具を取りに行く作業が、1日平均で約10分短縮(改善報告より) |
改善前の状態(Before)
金型組立に使うハンドルやレンチなどの工具類は、工具棚にしまわれていました。作業のたびに工具棚まで工具を取りに行き、必要な工具を探し出す必要がありました。

改善内容(After)
工具棚にしまわれていた工具類を、移動台車の上に移しました。台車ごと作業現場の近くに置けるため、工具をすぐに使える状態になりました。
改善報告では、工具を取りに行く作業が、1日平均で約10分短縮したとされています。

専門家コメント
工具棚にしまわれていた工具類を移動台車の上に移動させて、作業現場の近くですぐに使用可能にした改善ですね。
この改善により、工具を取りに行くムダや工具を探し出すムダを排除することができ、作業効率が格段に向上したことと思います。素晴らしい改善をありがとうございます。
ただ、写真を見る限り、まだ置いてあるという状態に見受けられます。ここは、それぞれの工具をどこに置くのか、3定(定位・定品・定量)を徹底してみてください。
そのためには、姿置きによる置き場所の明示とともに、工具類にもこの台車に置かれているものだとわかるように明示を施してみてください。
前にもお話ししましたが、すべての物に名称を付けて名札を付け、迷子を生み出さない仕組みを作り上げることがとても重要です。
引き続き、素晴らしい改善を期待しております。あなたの次なる報告を楽しみにしています。
5S改善評価:合計47点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | A | 15点 |
| (2)改善の独自性 | B | 11点 |
| (3)改善の難易度 | C | 8点 |
| (4)清潔レベル | C | 7点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 6点 |
| 合計 | B | 47点 |
(1)成果の大きさ:A(15点)
理由:工具を取りに行く作業が、1日平均で約10分短縮した。毎日の作業で積み重なる時間で、専門家も「作業効率が格段に向上した」と評価している。取りに行くムダと探すムダの両方を減らしているため、「やや大きい成果」と評価する。
(2)改善の独自性:B(11点)
理由:工具を移動台車に載せて使う場所の近くへ持っていく方法は、5S活動でよく見られる手法。一方で、工具棚という固定の場所から「使う場所に工具を寄せる」発想に切り替えた点は評価できる。「標準的に発想ができる改善」と評価する。
(3)改善の難易度:C(8点)
理由:改善報告から分かるのは、工具類を工具棚から移動台車へ移したことで、加工や取付けの記述はない。所要時間の記載もないため、「そんなに時間をかけない改善」と評価する。
(4)清潔レベル:C(7点)
理由:専門家が「まだ置いてあるという状態」と指摘しているとおり、台車の上で各工具の置き場所が決まっていない。使った後に戻す場所があいまいなままだと、何かのきっかけで元の「探す」状態に戻ってしまう。「何かのきっかけで再発する」状態と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(6点)
理由:工具の戻し方や台車の置き場所などのルールについて、改善報告には記載がない。工具の名札付けもこれからの段階で、ルールが未整備の状態と判断する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
この事例は、整頓の出発点としてとても大事な一歩を踏み出しています。特に次の3点は、しっかり評価したいところです。
- 「工具を取りに行く」から「工具が近くにある」へ変えた。工具棚まで歩く動きそのものをなくし、作業現場の近くですぐに使える状態にしました
- 効果が数字で見えている。1日平均で約10分の短縮。毎日の作業の中で確実に積み上がる効果です
- 2つのムダを同時に減らした。専門家が挙げたとおり、「取りに行くムダ」と「探し出すムダ」の両方に効いています
工具棚の工具を「使う場所の近くへ寄せる」という発想は、整頓の考え方そのものです。ここまで来れば、次は「どこに何を置くか」を決める段階に進めます。
あと19点でAランク。清潔と習慣を、それぞれAまで上げる
合計47点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと19点です。1つの項目を上げるだけでは届かないため、専門家の提案に沿って、清潔と習慣の2項目を上げることを考えます。
清潔レベルをC(7点)からA(16点)に上げると+9点で56点。さらに習慣(しつけ)レベルをC(6点)からA(16点)に上げると+10点で、合計は66点になり、Aランクに届きます。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(7点) | C(6点) | 47点 | B |
| 清潔をAに(姿置き・名札で再発しにくくする) | A(16点) | C(6点) | 56点 | B |
| 習慣もAに(標準化・周知・点検まで) | A(16点) | A(16点) | 66点 | A |
「工具の迷子」を、起きる前に防ぐ
今は、工具が台車の上に「置いてある」状態です。工具がなくなってから探す、元の場所に戻っていないことに後から気づく、というのは「後追い」の対応です。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。「気をつけて戻す」に頼らず、戻す場所が形で決まっていて、戻っていないことがすぐ分かる状態を作ります。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み |
|---|---|
| 工具を台車のどこに戻せばよいか分からない | 姿置きで、工具ごとの置き場所を明示する(専門家の提案) |
| 台車の工具が別の場所に持ち出され、戻らない | 工具類にも「この台車のもの」と分かる名札を付ける(専門家の提案) |
| 台車そのものの置き場所が日によって変わる | (例)台車の置き場所を床の表示で決め、使い終わったら戻す |
| 工具の欠品に、使うときまで気づかない | (例)終業時に、姿置きの空きがないかを見て確認する手順を決める |
移動台車の置き場所や固定方法など、通路や安全に関わる変更は、安全の担当者と確認しながら進めてください。専門家の言葉のとおり、すべての物に名称を付けて名札を付け、迷子を生み出さない仕組みを作ることが、Aランクへの近道です。
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