この事例は、工場の金型取付ボルト置き場を専用の収納ケースで整理した整頓事例で、専門家評価はDランク(28点)。探す手間は減ったが、維持の仕組みは次の課題。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓(整理を含む) |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 工具/備品(金型取付ボルト置き場の工具・部品) |
| 専門家評価 | Dランク(28点。Dは30点以下) |
| 効果 | 探すムダが1日平均で50秒短縮 |
改善前の状態(Before)
作業台の上に、工具や部品が散らかった状態で置かれていました。どこに何があるのかが分かりにくく、必要なときに探す手間がかかる状態です。

改善内容(After)
工具や部品を専用の収納ケースに入れ、種類ごとに分類して整然と並べました。必要なときにすぐ見つけられるようになり、探すムダが1日平均で50秒短縮されました。見た目もすっきりした職場になっています。

専門家コメント
散らかった状態で作業台の上に置かれていた工具や部品を、専用の収納ケースに整理し、種類ごとに分類して整然と並べることで、必要な時にすぐに見つけられるようにした改善ですね。
作業効率が大きく向上し、見た目もスッキリした職場環境になったと思います。素晴らしい取り組みをありがとうございます。
次に考えてほしいのは、工具や部品が再び散らからないための維持策です。例えば、収納ケースにラベルを貼って誰でもわかるようにしたり、定期的に整理状況を確認するルールを作ると、改善が長続きします。
5S改善評価:合計28点(Dランク)
今回の改善を、5つの項目で辛口に評価しました。
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | C | 8点 |
| (2)改善の独自性 | D | 4点 |
| (3)改善の難易度 | D | 4点 |
| (4)清潔レベル | C | 8点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | D | 4点 |
| 合計 | D | 28点 |
(1)成果の大きさ:C(8点)
理由:探すムダが1日平均で50秒短縮され、見た目もすっきりした点は評価できる。ただ、短縮できた時間は1日あたり1分に満たず、作業全体への影響は限定的。「成果がややもの足りない改善」と評価する。
(2)改善の独自性:D(4点)
理由:収納ケースを使い、種類ごとに分類して並べる方法は、整頓の基本的な考え方。特に目新しい工夫は見られず、「誰でも思いつく改善」と評価する。
(3)改善の難易度:D(4点)
理由:ケースへの仕分けと配置が中心で、特別な技術や長い時間を要するものではない。「数分でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:C(8点)
理由:今は整った状態だが、ラベルなどの表示や、乱れを防ぐ仕組みがない。使ううちに別の物が混ざったり、元の散らかった状態に戻ったりするおそれがある。「何かのきっかけで再発する改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:D(4点)
理由:使ったあとの戻し方や、整理状況を確認するルールが報告に書かれていない。皆が同じようにそろえる標準化までは進んでおらず、「習慣化を促さない単発的な改善」と評価する。
Dランクから上位ランクに上げる工夫と考え方
この改善は「並べ替えは終わったが、崩れない仕組みはこれから」という段階です。上のランクに進むために必要なのは、大きな改善を足すことではありません。整えた状態が、誰が使っても保たれるようにすることです。
点数で見る「上げ方」
28点のこの事例は、成果・独自性・難易度を変えなくても、維持の2項目(清潔・習慣)を上げるだけでランクが上がります。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(8点) | D(4点) | 28点 | D |
| 習慣を1段階上げる | C(8点) | C(8点) | 32点 | C |
| 清潔・習慣をともにAまで上げる | A(16点) | A(16点) | 48点 | B |
「あと3点」でCランク、清潔と習慣を整えればBランクに届きます。この2項目は、新しい発想がなくても仕組みで上げられる項目です。
清潔レベルのカギは「未然防止」
整理・整頓・清掃は、放っておくとモグラ叩きになりがちです。ケースの中が混ざったら並べ直す。散らかってから片付ける。これは、起きてから直す「後追い」で、直してもまた同じことが起きます。
この評価基準では、清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。人の注意力や「気をつける」に頼らず、乱れが起きようのない構造・配置・表示にすること。私たち評価者が支援現場で強く感じるのは、多くの中小製造業の現場で、この「不具合が起きない仕組み」まで考える視点が不足していることです。
この事例に当てはめると、次のようになります。
| 起こりうる不具合 | 後追いの対応(Dの発想) | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|---|
| ケースの中で種類が混ざる | 気づいたときに仕分け直す | ケースごとに入れる物を一つに決め、ケースの外側に品名やサイズを表示する。仕切りで区切り、混ぜて入れられない形にする |
| 使った物が戻されず、作業台に出しっぱなしになる | 見つけた人が片付ける | ケースの置き場所を作業台の上に表示し、空いていたら戻し忘れと分かるようにする |
| 工具や部品が増えて、ケースに入りきらなくなる | あふれてから置き場所を探す | 置けるケースの数と場所をあらかじめ決めておき、増えるときは何かを減らすルールにする |
| ケースの中の物が減っても気づかない | なくなってから探し、補充する | 減ったら補充する目安を、ケースに表示する |
上の表は例です。専門家も「ケースにラベルを貼る」ことを次の一歩に挙げています。大切なのは、右の列の発想で「この整頓が崩れる原因」を先に洗い出し、起きる前に手を打つことです。
習慣(しつけ)レベル:単発の改善から「皆が守る標準化」へ
習慣(しつけ)は、清潔で見つけた良いやり方を標準化する活動です。習慣レベルを上げるには、一人の工夫を、全員が同じように行うルールにします。
- 使ったあとの戻し方を、写真付きで掲示し、誰が使っても同じ状態になるようにする
- 新しく入った人にも分かるよう、ラベルの意味を周知する
- 整理状況を確認する日を決め、乱れていたらその場で直す
次の改善報告で期待すること
専門家は、次の点を挙げています。
- 収納ケースにラベルを貼って、誰でも分かるようにしているか
- 定期的に整理状況を確認するルールがあるか
今回の改善をベースに、さらなる工夫を重ねてください。次回の改善報告を楽しみにしています。
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