【5S 清掃事例】ハンドリフトのキャスターに注油・清掃して動きを改善|評価Dランク(工場)

この事例は、汚れて動きが悪かったハンドリフトのキャスターに注油・清掃した清掃事例で、専門家評価はDランク(24点)。動きは軽くなったが、再発を防ぐ仕組みは次の課題。

項目 内容
改善の種類 清掃
改善場所 工場
改善対象 工具/備品(ハンドリフト。赤い台車のキャスター部分)
専門家評価 Dランク(24点。Dは30点以下)
効果 6秒が2秒になり、4秒×20日=80秒の削減(改善報告の試算)。見た目もきれいになり、動きもスムーズになった
目次

改善前の状態(Before)

赤い台車のキャスター部分が汚れていて、動きが悪い状態でした。動かすたびに手間がかかり、使う人の負担になっていました。

5S 清掃 ハンドリフト 赤い台車のキャスターが汚れて動きが悪い 改善前 工場
【改善前】キャスター部分が汚れていて、動きが悪かった

改善内容(After)

キャスターに潤滑油をさし、汚れを取り除いて清掃しました。見た目もきれいになり、動きもスムーズになっています。改善報告の試算では、6秒かかっていたものが2秒になり、4秒×20日=80秒の削減です。

5S 清掃 ハンドリフト キャスターに注油・清掃 改善後 工場
【改善後】油をさして清掃し、キャスターがスムーズに動くようになった

専門家コメント

赤い台車のキャスター部分が汚れて動きが悪かった状態だったのを、適切に潤滑油をさして清掃することで、キャスターの汚れを除去し、スムーズに動く状態に改善した改善ですね。

この改善によって、台車の移動が楽になり、作業負担の軽減や効率アップが期待されますね! 普段見落とされがちな部分に気づき、丁寧に対処してくれたこと、本当にありがとうございます。

次に考えたいのは、この状態をどう維持するかです。例えば、定期的な清掃や潤滑油の塗布を「日常点検」に組み込むことで、同じ問題が再発しない仕組みを作れます。また、キャスターの汚れの原因が何かを探り、もしホコリやゴミが多く発生しているなら、作業環境の「清掃ルール」も見直すと良いでしょう。こうした予防的な取り組みが、「清潔」と「習慣(しつけ)」を高め、安定した作業環境を維持する鍵になります。

5S改善評価:合計24点(Dランク)

今回の改善を、5つの項目で辛口に評価しました。

評価項目 評価 点数
(1)成果の大きさ D 4点
(2)改善の独自性 D 4点
(3)改善の難易度 D 4点
(4)清潔レベル C 8点
(5)習慣(しつけ)レベル D 4点
合計 D 24点

(1)成果の大きさ:D(4点)

理由:動きがスムーズになり、6秒が2秒になった点は評価できる。ただ、削減できたのは4秒×20日=80秒と小さく、作業全体への影響は限定的。「成果は比較的小さい改善」と評価する。

(2)改善の独自性:D(4点)

理由:油をさして汚れを取る保全・清掃は、5Sの基本的な取り組み。特に目新しい工夫は見られず、「誰でも思いつく改善」と評価する。

(3)改善の難易度:D(4点)

理由:注油と清掃は、特別な技術や長い時間を要するものではない。「数分でできた改善」と評価する。

(4)清潔レベル:C(8点)

理由:今はきれいな状態だが、汚れの原因を見つけて減らす対策や、日常点検の仕組みがない。使ううちにまた汚れて動きが悪くなるおそれがある。「何かのきっかけで再発する改善」と評価する。

(5)習慣(しつけ)レベル:D(4点)

理由:清掃や注油を定期的に行うルールが報告に書かれていない。皆が同じ頻度・同じ手順でそろえる標準化には進んでおらず、「習慣化を促さない単発的な改善」と評価する。

Dランクから上位ランクに上げる工夫と考え方

この改善は「一度きれいにした」ことで終わっています。上のランクに進むために必要なのは、大きな改善を足すことではありません。汚れて動きが悪くなること自体が、起きにくくなるようにすることです。

点数で見る「上げ方」

24点のこの事例は、成果・独自性・難易度を変えなくても、維持の2項目(清潔・習慣)を上げればランクが上がります。ただ、習慣を1段階上げるだけでは、まだDランクです。

上げ方 清潔 習慣 合計 ランク
現在 C(8点) D(4点) 24点 D
習慣を1段階上げる C(8点) C(8点) 28点 D
清潔・習慣をともに1段階上げる B(12点) C(8点) 32点 C
清潔・習慣をともにAまで上げる A(16点) A(16点) 44点 C

清潔と習慣の両方を1段階ずつ上げれば、Cランクに届きます。この2項目は、新しい発想がなくても仕組みで上げられる項目です。

清潔レベルのカギは「未然防止」

整理・整頓・清掃は、放っておくとモグラ叩きになりがちです。キャスターの汚れも、動きが悪くなってから清掃して油をさす「後追い」になりがちです。これでは、直してもしばらくすると同じことが起きます。

この評価基準では、清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。人の注意力や「気をつける」に頼らず、汚れが付きにくく、点検が漏れない仕組みにすること。私たち評価者が支援現場で強く感じるのは、多くの中小製造業の現場で、この「不具合が起きない仕組み」まで考える視点が不足していることです。

この事例に当てはめると、次のようになります。

起こりうる不具合 後追いの対応(Dの発想) 未然防止の仕組み(例)
キャスターにまた汚れがたまり、動きが悪くなる 動きが悪くなってから清掃・注油する ホコリやゴミがどこから来るかを調べ、発生源を減らす。専門家も、原因の把握と清掃ルールの見直しを挙げている
点検・注油を誰もやらなくなる 気づいた人がやる 日常点検の項目に、キャスターの汚れと注油を入れる。点検表にチェック欄を設け、やる日と担当を決めておく
油が多すぎて床や台車を汚す 汚れてから拭き取る 注油の量や場所を決め、写真付きの手順書にする。使う潤滑油の種類は設備の担当者と確認する
台車が増えても点検が漏れる 気づいたときに点検する 台車ごとに点検の目印や管理番号を付け、点検漏れが一目で分かるようにする

上の表は例です。専門家は、日常点検への組み込みと、清掃ルールの見直しを次の一歩に挙げています。右の列の発想で「この改善が崩れる原因」を先に洗い出し、起きる前に手を打つことが清潔レベルを上げます。台車の点検・整備の仕方は、設備・安全の担当者と確認してください。

習慣(しつけ)レベル:単発の改善から「皆が守る標準化」へ

習慣(しつけ)は、清潔で見つけた良いやり方を標準化する活動です。習慣レベルを上げるには、一人の工夫を、全員が同じように行うルールにします。

  • 清掃と注油の手順を写真付きで掲示し、誰が行っても同じ仕上がりになるようにする
  • 点検の頻度と担当を決め、日常点検の項目に加える
  • 新しく入った人にも分かるよう、点検の目的を周知する

次の改善報告で期待すること

専門家は、次の点を挙げています。

  • 定期的な清掃や潤滑油の塗布を、「日常点検」に組み込んでいるか
  • キャスターの汚れの原因を探っているか。ホコリやゴミが多く出るなら、清掃ルールを見直しているか

引き続きこの視点を大切にして、さらなる改善に取り組んでください。次の報告を楽しみにしています。

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この記事を書いた専門家

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。16年間で900社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。5S-CONCEPTでは、これまでに5S活動の改善事例338件を評価(2026年9月27日時点)。

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