この事例は、ウライタ専用のハンマーを作業する場所に常設した整頓事例で、専門家評価はBランク(47点)。往復6mの移動がなくなり、1日150mの移動を減らした。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 工具(ウライタ専用ハンマー) |
| 専門家評価 | Bランク(47点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 移動距離が往復6mから0mになった。6m×25回/日で、1日150mの短縮(改善報告の記載)。専門家の試算では、150m÷0.75m=200秒=200円のコストダウン |
改善前の状態(Before)
作業に必要なハンマーが作業場所になく、そのつど別の場所まで取りに行っていました。1回の往復は6m。この作業は1日に25回あるため、ハンマーを取りに行くだけで、1日150mを歩いていたことになります。

改善内容(After)
ハンマーを必要とする場所に、ウライタ専用のハンマーを常設しました。取りに行く必要がなくなり、往復6mの移動距離は0mになりました。1日25回分、合計150mの移動がなくなっています。

専門家コメント
作業に必要なハンマーを他の場所に取りに行くことで発生していたムダを、必要な場所に専用ハンマーを設置することで、移動のムダや運搬のムダを省いた事例ですね。
工場内で一番のムダとされる移動と運搬のムダを省くことを可能とし、しかも一日150mもの移動のムダを省いた素晴らしい改善事例だと感心いたしました。
一般的に一歩75cmで一秒と言われています。ということは、150m÷0.75=200秒=200円のコストダウンを図ることができました。
前にもお話ししましたが、移動と運搬のムダは、日常の仕事として当たり前のように発生してしまうのですが、そこに気づくことができたのは、本当に素晴らしいです。
改善活動をありがとうございました。
さて、今後の改善提案としては、写真を見る限りですが、ハンマーそのものへの明示と、ハンマー置き場の明示がないように見えます。このままですと、このハンマーを誰かが持って行ってしまい、そのまま工場内で迷子になってしまう可能性が大です。
折角、移動と運搬のムダを省くことができたので、今度は、誰もがこのハンマーが何者かを認識できるように表示の工夫もしてみてくださいね。
では、次なる改善を楽しみにお待ちしております。
5S改善評価:合計47点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | A | 17点 |
| (2)改善の独自性 | C | 9点 |
| (3)改善の難易度 | C | 7点 |
| (4)清潔レベル | C | 8点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 6点 |
| 合計 | B | 47点 |
(1)成果の大きさ:A(17点)
理由:往復6m×1日25回の移動をなくし、1日150mの移動を削減した。専門家の試算では1日200秒(200円)相当で、工場内で一番のムダとされる移動と運搬のムダを省いている。毎日効く成果のため、「やや大きい成果」の上側と評価する。
(2)改善の独自性:C(9点)
理由:「使う場所に専用の工具を置く」という方法そのものは、5S活動でよく似たタイプが多い。ただし、当たり前になっていた移動に気づき、回数と距離で効果を示した点は評価できる。「よく似たタイプが多い改善」の上側と評価する。
(3)改善の難易度:C(7点)
理由:専用のハンマーを用意し、作業する場所に設置した改善。改善報告に作業時間や費用の記載はなく、大がかりな加工も読み取れない。「そんなに時間をかけない改善」と評価する。
(4)清潔レベル:C(8点)
理由:取りに行く原因(ハンマーが作業場所にない)は、常設によって解消した。一方で、ハンマー本体と置き場の明示がなく、誰かが持って行くと工場内で迷子になる可能性がある(専門家の指摘)。「何かのきっかけで再発する改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(6点)
理由:常設という物の配置の改善で、表示や「使ったら戻す」などのルールの記載はない。徹底すべきルールが未整備のため、「ルール未整備」の下側と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
合計47点のこの事例は、点数だけを見るとBランクの入口です。しかし、成果の大きさはA(17点)で、中身はしっかり評価したい改善です。特に次の3点です。
- 「当たり前の移動」をムダとして見つけた。毎日繰り返す移動は、仕事の一部に見えてしまいます。そこに気づけたことを、専門家も「本当に素晴らしい」と書いています
- 効果を距離と回数で示した。往復6m×25回=1日150m。数字にしたことで、誰が見ても効果が分かり、専門家が秒と円に換算することもできました
- 小さな配置の変更で、一番のムダを毎日減らした。移動と運搬のムダは、工場内で一番のムダとされます
あと19点でAランク。清潔と習慣を段階的に上げる
Aランク(66点以上)まではあと19点です。点数が伸びる余地が大きいのは、清潔レベル(8点)と習慣(しつけ)レベル(6点)です。まずは専門家の提案どおり、ハンマー本体と置き場に表示を付け、「使ったら戻す」を周知すれば、清潔と習慣をそれぞれB(12点)に上げられ、合計は57点になります。
さらに、ハンマーが置き場から離れても必ず戻る仕組み(未然防止)を作り、戻っているかの点検まで標準にすれば、清潔は最高位のS(18点)、習慣はA(16点)が見えてきます。このとき合計は67点で、Aランクに届きます。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(8点) | C(6点) | 47点 | B |
| ハンマーと置き場に表示を付け、戻すルールを周知 | B(12点) | B(12点) | 57点 | B |
| 迷子が起きない仕組み+点検まで標準化 | S(18点) | A(16点) | 67点 | A |
「ハンマーの迷子」を、起きる前に防ぐ
ハンマーがなくなってから探し回るのは「後追い」です。せっかく減らした移動のムダが、探すムダとして戻ってきてしまいます。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。「気をつけて戻す」に頼らず、表示と置き方で、迷子が起きない形にします。整頓の3定(定位・定品・定量)でいえば、「どこに」「何を」「いくつ」を、誰が見ても分かるようにすることです。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|
| ハンマーが何者か分からず、持って行かれる | ハンマー本体に「ウライタ専用」と、置き場の場所を表示する(専門家の提案) |
| 戻す場所が分からない | 置き場に名称と形跡(ハンマーの形)を表示する(例) |
| 戻っていないことに気づかない | 形跡表示で、空いていれば一目で分かるようにし、終業時に確認する(例) |
| 他の工具でも同じ「取りに行く」が起きている | 作業ごとに取りに行く工具を洗い出し、使う場所への常設を広げる(例) |
ハンマーを設備や作業台に取り付ける場合は、作業の邪魔にならないか、落下などの危険がないかを、設備・安全の担当者と確認しながら進めてください。
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