この事例は、マグネットを使って工具の落下を防ぎ、取りやすく戻しやすくした整頓事例で、専門家評価はBランク(54点)。1日約5回あった工具を拾う作業がゼロになった。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 工具/備品 |
| 専門家評価 | Bランク(54点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 工具の落下による1日5回・300秒のロスタイムが、落ちることがなくなったため0秒になった(改善報告の記載)。工具の変形・破損のリスクも減った |
改善前の状態(Before)
改善前は、工具の置き場が決まっておらず、工具が頻繁に落下していました。落ちるたびに作業を止めて拾う必要があり、その「拾う作業」が1日に約5回発生していました。改善報告では、このロスタイムを1日5回・300秒としています。
工具が落ちれば、変形や破損の原因になるおそれもありました。毎日の「いつものこと」に目を向けて、改善のテーマにしたことが大切な一歩です。

改善内容(After)
マグネットを活用して、工具を保持するようにしました。工具が落ちなくなり、使い終わったら簡単に元の位置へ戻せます。置き場が決まったことで、いつでもスムーズに取り出して戻せるようになりました。
その結果、工具を拾う作業がなくなり、ロスタイムは0秒になりました。

専門家コメント
改善活動お疲れ様です。
今回の改善では、工具の落下防止と作業効率の向上が大きなポイントです。
改善前は、工具置き場が決まっておらず、工具が頻繁に落下していました。そのたびに1日に約5回、工具を拾う作業(無駄な作業)が発生していましたが、この作業がゼロになった点が大きな成果です。
また、工具の落下は、工具の変形や破損の原因になる可能性がありましたが、そのリスクが削減された点も重要な成果と言えます。
■改善のポイント
マグネットを活用することで、工具の落下を防止し、工具を簡単に元の位置に戻せるようになった点が改善のポイントです。工具が定位管理され、いつでもスムーズに取り出せて戻せる環境が整ったことで、作業の効率化と安全性が向上しました。
■報告の工夫について
改善の成果報告についても、写真と説明が分かりやすくまとめられていたため、他の職場メンバーの参考事例としても活用しやすい資料になっている点が素晴らしいです。視覚的に分かりやすい報告書は、他のメンバーの改善意識を高める効果があり、職場全体の改善活動の活性化につながります。
5S改善評価:合計54点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | A | 15点 |
| (2)改善の独自性 | B | 11点 |
| (3)改善の難易度 | C | 7点 |
| (4)清潔レベル | A | 14点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 7点 |
| 合計 | B | 54点 |
(1)成果の大きさ:A(15点)
理由:1日約5回の「工具を拾う作業」をゼロにし、300秒のロスタイムを0秒にした。工具の変形・破損のリスクも減らし、効率と工具の保護の両面に効いているため、「やや大きい成果」と評価する。
(2)改善の独自性:B(11点)
理由:マグネットで工具を保持する方法は、5S活動でよく使われる手法。ただし、「落ちる」という困りごとに対して、置き場を決めることと落下防止を一つの工夫でまとめて解決している。「標準的に発想ができる改善」と評価する。
(3)改善の難易度:C(7点)
理由:マグネットを活用した改善で、大がかりな加工の記述はない。かかった時間や手間は改善報告に記載がないため、帯の下側に置く。「そんなに時間をかけない改善」と評価する。
(4)清潔レベル:A(14点)
理由:「落とさないように気をつける」ではなく、マグネットという仕組みで落下そのものを起こりにくくしている。ただし、磁力の維持など続けるための仕組みは記載がないため、Aの下側とする。「発生源を抑え、再発しにくい改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(7点)
理由:報告書は写真と説明が分かりやすく、他のメンバーの参考事例になると専門家も評価している。一方で、工具の戻し方のルールや点検の頻度、他の場所への展開といった標準化の記述はない。「ルールが未整備の改善」と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
合計54点のこの事例で、特に評価したいのは次の点です。
- 毎日のムダを「ゼロ」にした。1日約5回の拾う作業が、減ったのではなく、なくなりました
- 人の注意ではなく、仕組みで防いだ。「落とさないように気をつける」をやめて、マグネットで落ちない状態を作っています
- 工具そのものも守った。落下による変形・破損のリスクが減り、工具が長持ちする方向に進みました
- 報告書が分かりやすい。写真と説明で、他の職場の人が真似しやすい形にまとまっています
あと12点でAランク。習慣と清潔を上げる
Aランク(66点以上)まであと12点です。習慣(しつけ)レベルをC(7点)からA(15点)に上げると+8点で62点。さらに、清潔レベルをA(14点)からS(18点)に上げると+4点で、合計66点になり、Aランクに届きます。
| 上げ方 | 習慣 | 清潔 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(7点) | A(14点) | 54点 | B |
| 習慣をAに | A(15点) | A(14点) | 62点 | B |
| 習慣をAに、清潔をSに | A(15点) | S(18点) | 66点 | A |
習慣をAにするには、工具ごとの戻し方を決めて表示し、点検の頻度を決め、他の場所にも広げるところまで進めます。
「磁力が弱る・戻す場所を間違える」を、起きる前に防ぐ
今回の改善は、「落ちてから拾う」という後追いをやめ、「落ちない」状態を作った点で、未然防止に近い改善です。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。磁力が弱って、また落ちてから気づくのでは後追いに戻るため、次のような仕組みが考えられます(例)。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|
| マグネットの磁力が弱っても気づかない | 点検の頻度と、交換の目安を決めて書き出す |
| 工具を戻す位置がずれる・別の工具を置く | 工具ごとの定位を、品名や形の表示で示す |
| 工具がなくなっても気づかない | 定位の表示で、空いている場所が一目で分かるようにする |
| 他の場所でも工具が落ちている | 同じ困りごとがないかを調べ、同じやり方を展開する |
マグネットの取り付け位置や工具の重さによっては安全に関わるため、設備・安全の担当者と確認しながら進めてください。分かりやすい報告書を作れる力を標準書づくりに活かせば、Aランクは十分に届きます。
関連する5S活動の事例
同じ工場の工具・置き場の整頓に関する、Aランクの事例です。



