この事例は、マーキング用ペンのホルダーを移動式にした整頓事例で、専門家評価はAランク(68点)。手の移動が60cmから20cmになった。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 工具/備品(マーキング用のペンとホルダー) |
| 専門家評価 | Aランク(68点。Aは66〜80点) |
| 効果 | 手の移動距離が60cmから20cmになり、1回あたり40cm短縮 |
改善前の状態(Before)
マーキング用のペンは、いつも一定の場所に固定されていました。そのため、生産する機種が変わると、作業がスムーズに進まない状況がありました。ペンを取るときの手の移動距離は、60cmでした。

改善内容(After)
ペンホルダーを、固定ではなく移動式に変えました。機種が変わっても、作業に合わせてホルダーの位置を動かせます。その結果、手の移動距離は60cmから20cmになり、1回あたり40cm短縮できました。

専門家コメント
マーキング用のペンがいつも一定の場所に固定されていたため、生産する機種が変わると作業がスムーズに進まなかった。その状況を、ペンホルダーの位置をフレキシブルに変えることで解決し、作業性を向上させた改善ですね。
作業をするときには、「ゴールデンゾーン」と呼ばれる範囲があります。身体の前面160度以内で、身体から50cm以内に、作業に必要なすべての道具とワークを置くという考え方です。
「固定されていた方が楽に作業できる」という既成概念を打ち破り、ペンホルダーを動かして、ゴールデンゾーン内での作業を実現した素晴らしい事例です。改善活動をありがとうございました。
5S改善評価:合計68点(Aランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | A | 16点 |
| (2)改善の独自性 | A | 16点 |
| (3)改善の難易度 | B | 12点 |
| (4)清潔レベル | B | 12点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | B | 12点 |
| 合計 | A | 68点 |
16+16+12+12+12=68点で、Aランク(66〜80点)です。
(1)成果の大きさ:A(16点)
理由:手の移動距離が60cmから20cmになり、1回あたり40cmの短縮。機種が変わったときの作業の進めにくさも解消した。距離は3分の1になっており、「やや大きい成果」と評価する。
(2)改善の独自性:A(16点)
理由:「固定した方が楽」という既成概念を破り、あえて動かせるようにした発想の転換。専門家も「なかなか思いつかない」と評価している。「やや発想が困難な改善」と評価する。
(3)改善の難易度:B(12点)
理由:ホルダーを移動式にするための工夫は必要だが、大きな工事ではない。「標準的な時間でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:B(12点)
理由:動かせるようになった反面、置く位置が人や機種によってばらつく余地が残る。同じ状況なら、手の移動は短いまま保てる。「同じ状況なら再発が起きにくい改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:B(12点)
理由:ゴールデンゾーンという考え方が示され、作業の向きが決まった。ただし、機種ごとのホルダーの位置の決まりまでは、改善報告に書かれていない。「皆が守るべき標準化まで進めた改善」と評価する。
この事例を自社で真似する手順
以下は、この事例を参考にした一般的な進め方の例です。
- 作業中に、道具へ手を伸ばす距離を実際に測る(この事例は60cm)
- 身体から50cm以内、前面160度以内(ゴールデンゾーン)に入っているか確かめる
- 固定してある道具や置き場を、動かせるようにできないか考える。取り付け方法は、設備や安全の担当者と相談して決める
- 動かしたあとの手の移動距離を、もう一度測って比べる(この事例は20cm)
- 他の工程の道具にも、同じ考え方を広げる
Sランクに近づくための次の一歩
専門家は、固定していたものをフレキシブルにする発想を、他の場所へ広げることを勧めています。Sランクに近づくには、動かせるがゆえの「置き場所のばらつき」が起きない仕組みを先に作る「未然防止」の視点が要ります。以下は、改善報告にはない、考え方の例です。
- 機種ごとに、ホルダーを置く位置をマーキングしておく(例)
- 機種切り替えの手順書に、ホルダーの位置を合わせる一行を入れる(例)
- 手の移動距離を、定期的に測って記録し、遠くなっていないか確かめる(例)
動かして便利になった後に、乱れてから直すのではなく、乱れない表示と手順を先に整えておく。これが清潔レベルの上位につながります。
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