この事例は、レーザー加工機の冷却器トレイのスクラップを除去し、清掃ルールを設定した清掃・清潔事例で、専門家評価はBランク(60点)。あと6点で、Aランクに届く。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 清掃・清潔 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 設備(冷却器トレイ) |
| 専門家評価 | Bランク(60点。Bは46〜65点) |
| 効果 | トレイのスクラップを除去する時間を、1日平均3分(180秒)×20日。1カ月あたり3,600円の削減(改善報告の試算)。異物混入やトラブルのリスク低減にもつながる |
改善前の状態(Before)
冷却器のトレイにスクラップが散らばり、汚れた状態でした。以前は、ホウキとチリトリでスクラップを取っていました。

改善内容(After)
新たに軽いトレイを上に置きました。スクラップはこのトレイで受けて、トレイごと取り除けます。あわせて、トレイ内のスクラップを除去する定期的な清掃ルールを設定し、トレイを常にきれいな状態に保てるようにしました。
改善報告の試算では、1日平均3分(180秒)×20日で、1カ月あたり3,600円の削減です。

専門家コメント
改善前は冷却器のトレイにスクラップが散らばって汚れた状態でした。そこでトレイ内のスクラップを適切に除去し、定期的な清掃ルールを設定することにより、トレイを常にきれいな状態に保てるようにした改善ですね。素晴らしい取り組みです。
このように「清掃ルールを設定する」ことで、3Sの中の“清掃”を習慣化できるのはとても重要なステップです。ありがとう。
そのうえで次に考えてほしいのは、なぜスクラップが溜まりやすいのか?という根本原因です。たとえば、作業工程中に発生したスクラップが直接トレイに落ちてしまう構造なのか、それとも回収が後回しになっていたのか。もしスクラップが出にくい仕組みが作れるなら、“清掃が不要な状態”=“清潔”の実現にも近づけます。
未然に汚れを防ぐ仕組みが作れないか、ぜひ他のメンバーとも話し合ってみてください。あなたの次なる改善報告を楽しみにお待ちしています。
5S改善評価:合計60点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | B | 12点 |
| (2)改善の独自性 | C | 8点 |
| (3)改善の難易度 | B | 12点 |
| (4)清潔レベル | A | 16点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | B | 12点 |
| 合計 | B | 60点 |
(1)成果の大きさ:B(12点)
理由:冷却器トレイのスクラップ除去と清掃ルール設定により、現場の美観と作業環境が改善されただけでなく、異物混入やトラブルのリスク低減にもつながる成果がある。範囲が限られた箇所であるため、大規模なインパクトではないものの、十分に実用的な改善と評価できる。「満足のいく成果」と評価する。
(2)改善の独自性:C(8点)
理由:「清掃」と「清掃ルールの設定」は5S活動で頻繁に取り上げられる基本的なアプローチ。今回の内容も、既存の清掃の枠組みの中での改善と考えられるため、独自性としては平均的と判断する。「よく似たタイプが多い改善」と評価する。
(3)改善の難易度:B(12点)
理由:スクラップ除去自体は難しくないが、清掃ルールの作成・定着には、周囲との話し合いや手順書・点検チェック表の整備などが伴うため、やや工数がかかる。短時間では済まない要素を含む。「標準的な時間でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:A(16点)
理由:“清掃を実施する”にとどまらず、“定期的なルールを設定して清潔を保つ仕組み”まで構築されている。これは5Sにおける「清潔=きれいな状態を保つ仕掛けづくり」に該当し、高い再発防止効果が期待できる。
(5)習慣(しつけ)レベル:B(12点)
理由:清掃ルールの設定により、一定の習慣化への意識があることは明らか。ただし、そのルールがどれほど形式化・標準化されているか(掲示、点検表、周知など)が不明であるため、現時点ではBと評価する。今後の全体展開や文書化次第で、Sランクも狙える。「皆が守るべき標準化まで進めた改善」と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
Bランクの中でも、この事例は清潔の考え方がしっかり入っている改善です。特に次の3点は、しっかり評価したいところです。
- 「掃除をがんばる」で終わらせず、ルールにした。スクラップの除去を一度きりの作業にせず、定期的な清掃ルールとして設定しました。きれいな状態を保つ仕掛けまで作ったことが、清潔レベルA(16点)につながっています
- 軽いトレイを上に置いて、取り除きやすくした。ホウキとチリトリで取っていた作業を、トレイを使って取り除く形に変えました。1日平均3分の短縮は、積み重なると大きな時間です
- 異物混入やトラブルのリスクを意識できた。見た目をきれいにするだけでなく、現場の作業環境と品質の両面に効く改善です
あと6点でAランク。清潔をS、習慣をAに上げる
合計60点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと6点です。清潔レベルは、すでにA(16点)です。これをS(20点)に上げ、習慣(しつけ)レベルをB(12点)からA(16点)に上げると、合計は68点になり、Aランクに届きます。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | A(16点) | B(12点) | 60点 | B |
| 習慣だけをAに上げる | A(16点) | A(16点) | 64点 | B |
| 清潔をS、習慣をAに上げる | S(20点) | A(16点) | 68点 | A |
「スクラップが溜まらない」状態を、起きる前に作る
整理・整頓・清掃は、放っておくとモグラ叩きになりがちです。清掃ルールがあっても、スクラップが出続ける限り、清掃は終わりません。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。専門家のコメントも、「なぜスクラップが溜まりやすいのか」という根本原因に目を向けるよう伝えています。
「こまめに掃除するよう気をつける」に頼らず、スクラップが溜まりにくい形に変えられないか考えます。専門家のアドバイスと、未然防止の視点で考えた例を、表にまとめました。
| 確かめたいこと/起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|
| スクラップが直接トレイに落ちる構造ではないか | スクラップが溜まりにくい構造やカバーを設置する(専門家のアドバイス) |
| スクラップが一か所に溜まる | トレイの傾斜変更やスクラップ受けの設置を検討する(専門家のアドバイス) |
| 清掃が後回しになり、溜まってから対応する | 清掃記録や点検シートを導入し、誰が見ても清掃の状態が分かるようにする(専門家のアドバイス) |
設備の構造に関わる変更は、設備や安全の担当者と相談してください。
習慣(しつけ)は、清掃ルールを「見える形」にすることから
習慣(しつけ)は、清潔で見つけた良いやり方を標準化する活動です。専門家は、ルールがどれほど形式化・標準化されているか(掲示、点検表、周知など)が不明だと述べています。今ある清掃ルールを掲示し、点検表にして、他の設備にも広げましょう。次の改善報告では、この「清掃が要らない状態づくり」まで進めた内容を、ぜひ聞かせてください。
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