この事例は、オフィスの袖机の引出しに中身のラベルを表示した整頓事例で、専門家評価はDランク(28点)。ラベルの維持が課題。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | オフィス(袖机) |
| 改善対象 | 書類(袖机の引出し) |
| 専門家評価 | Dランク(28点。Dは30点以下) |
| 効果 | 探すムダを削減。10秒短縮×月20日の発生で、1カ月あたり200秒(200円)の削減(改善報告の試算) |
| 費用 | かけずに実施できた(専門家評価による) |
改善前の状態(Before)
袖机の引出しに、中身を示す表示がありませんでした。そのため、必要な物を探すときは、引出しを開けて中身を確認する必要がありました。

改善内容(After)
袖机の引出しに、内容物を明確に示すラベルを表示しました。引出しを開けなくても、一目で収納物が分かるようになり、探すムダが減っています。改善報告の試算では、10秒の短縮、月20日の発生で、1カ月あたり200秒の短縮です。

専門家コメント
今回の袖机へのラベル表示は、5S活動における「整頓」の基本を忠実に実践した改善事例です。内容物を明確に表示するというシンプルな方法で、探すムダを削減しました。
従来は引き出しを開けて中身を確認する必要がありましたが、ラベル表示により一目で収納物が分かるようになりました。これは製造現場における「ムダ取り」の基本であり、探す時間の削減は、直接的に業務効率の向上につながります。
また、誰が見ても分かる表示にしたことで、属人化を防ぎ、職場全体の情報共有が促進されました。担当者が不在でも必要な書類をすぐに見つけられる環境は、チームワークの向上にも貢献します。費用をかけずに実施できる点も、他部署への水平展開を容易にする要因となっています。
5S改善評価:合計28点(Dランク)
今回の改善を、5つの項目で辛口に評価しました。
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | C | 8点 |
| (2)改善の独自性 | D | 4点 |
| (3)改善の難易度 | D | 4点 |
| (4)清潔レベル | C | 8点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | D | 4点 |
| 合計 | D | 28点 |
(1)成果の大きさ:C(8点)
理由:探す時間を減らし、属人化を防いだ点は評価できる。ただし、削減できる時間は10秒、月200秒(200円)と小さい。「成果がややもの足りない改善」と評価する。
(2)改善の独自性:D(4点)
理由:引出しに中身を表示する方法は、整頓の基本。専門家も「基本を忠実に実践した」と述べており、「誰でも思いつく改善」と評価する。
(3)改善の難易度:D(4点)
理由:費用をかけずに実施でき、特別な技術や設備を要しない。「数分でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:C(8点)
理由:ラベルで収納物が分かるようになったが、中身が変わったときにラベルを更新するルールがない。表示と中身がずれれば、何かのきっかけで乱れる。「何かのきっかけで再発する改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:D(4点)
理由:収納物を見直す時期や、ラベルの貼り替えの手順を標準化した記述がない。「習慣化を促さない単発的な改善」と評価する。
Dランクから上位ランクに上げる工夫と考え方
この改善は「中身が分かるようになった」改善です。上のランクに進むために必要なのは、ラベルを増やすことではありません。ラベルと中身が、この先もずれないようにすることです。
点数で見る「上げ方」
28点のこの事例は、改善そのものの中身(成果・独自性・難易度)を変えなくても、維持の2項目(清潔・習慣)を上げるだけでランクが上がります。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(8点) | D(4点) | 28点 | D |
| 習慣を1段階上げる | C(8点) | C(8点) | 32点 | C |
| 清潔・習慣をともにAまで上げる | A(16点) | A(16点) | 48点 | B |
成果や独自性を上げるには新しい発想や時間が要りますが、清潔と習慣は仕組みで上げられる項目です。「あと3点」でCランク、清潔と習慣を整えればBランクに届きます。
清潔レベルのカギは「未然防止」
整理・整頓・清掃は、放っておくとモグラ叩きになりがちです。引出しの乱れも、起きてから直す「後追い」になりがちです。ラベルと違う物が入っていたら入れ直す。古くなったラベルは、気づいた人が貼り替える。これでは、整えた後で、また同じ状態になります。
この評価基準では、清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。人の注意力や「気をつける」に頼らず、乱れようのない配置・表示・手順にすること。私たち評価者が支援現場で強く感じるのは、多くの中小製造業の現場で、この「不具合が起きない仕組み」まで考える視点が不足していることです。
この事例に当てはめると、次のようになります。
| 起こりうる不具合 | 後追いの対応(Cの発想) | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|---|
| 中身が変わっても、ラベルが古いまま残る | 気づいた人が貼り替える | 月次で収納物を見直す仕組みを作り、その場でラベルも見直す(専門家の案) |
| 使用頻度の高い物が、探しにくい | そのつど探す | 使用頻度によって色分けしたラベルを導入する(専門家の案) |
| 引出しの中で、物が混ざる | 混ざったときに整理し直す | 引出しの中に仕切り板を設置する(専門家の案) |
| ラベルにない物が、引出しに入る | 見つけた人が出す | 入れてよい物をラベルに明記し、それ以外は入れないルールにする(例) |
上の表の上3行は専門家が挙げた更なる改善案に沿ったもので、4行目は例です。大切なのは、右の列の発想で「この表示が崩れる原因」を先に洗い出し、起きる前に手を打つことです。
習慣(しつけ)レベル:単発の改善から「皆が守る標準化」へ
習慣(しつけ)は、清潔で見つけた良いやり方を標準化する活動です。習慣レベルを上げるには、一人の工夫を、全員が同じように行うルールにします。
- 月次の収納物の見直しを、日を決めて職場の定例にする
- ラベルの書き方(内容物の呼び方)をそろえ、誰が見ても同じ意味になるようにする
- 他部署へ広げるときも、同じ表示のやり方を使う
次の改善報告で期待すること
専門家は、更なる改善として、次の3つを挙げています。
- 使用頻度による色分けラベルの導入
- 引き出し内の仕切り板の設置による、更なる整頓
- 月次での収納物の見直しルーチンの確立
「小さな一歩が大きな変化を生む5S活動」と専門家は述べています。この成功体験を糧に、継続的な改善活動を進めてください。
関連する5S活動の事例
同じオフィスの引出しや棚に関する事例です。



