この事例は、木材置場の使用済み養生紙や段ボールを処分して通路を広げた整理事例で、専門家評価はDランク(24点)。次は3定で整頓へ進めたい。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整理 |
| 改善場所 | 倉庫(木材置場) |
| 改善対象 | 材料/部品(使用済みの養生紙、段ボール) |
| 専門家評価 | Dランク(24点。Dは30点以下) |
| 効果 | 使用済みの養生紙・段ボールを処分し、通路が広くなった |
改善前の状態(Before)
木材置場に、使用済みの養生紙や段ボールが置かれ、乱雑になっていました。専門家は、乱雑になっていた箇所を片づけた改善、と述べています。改善報告に、量や場所の詳しい説明はありません。

改善内容(After)
使用済みの養生紙や段ボールを処分しました。その結果、通路が広くなりました。

専門家コメント
乱雑になっていた箇所を片づけた改善ですね。まずは、こういった箇所からきれいに片づけることが必要です。しかし、ここで改善が終わってしまっては、ただの美化運動の域を出ません。
この整理活動によって、少なくともこの箇所だけは、必要な物だけの場所になったと認識しています。だとすれば、この必要な物が最高のパフォーマンスで働ける環境をつくることが、次の整頓活動です。具体的には3定で、定位(どこに)、定品(なにを)、定量(いくつ)置くのかを決めて、ルールを守ることです。
定位で物の置き場所を決めて、定品で、その置き場所が間違っていないか、今日来た新人でも分かるよう表示します。つまり、アフターの写真に写っている木材は、この場所が正解かどうか、ここに置かれていることが間違っていないと、今日入社した新人でも分かるようにします。「〇〇材置場」と表示したうえで、その木材が「〇〇材」だと分かるよう表示を貼り付けるわけです。
そのことにより、在庫確認の精度が高まり、重複発注がなくなると同時に、必要なときに探さずともスッと取れるので、段取り時間の短縮に貢献します。時間にして数十秒かもしれませんが、年間数百本使うのであれば、数十分単位での短縮になります。こういった改善を積み重ねることで、年間数時間ものムダを省けることになり、その分スピードのある意識改革で、生産性を高めることができるはずです。ぜひこういった改善をきっかけに、ムダのない高収益化を図ってくださいませ。
5S改善評価:合計24点(Dランク)
今回の改善を、5つの項目で辛口に評価しました。
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | C | 8点 |
| (2)改善の独自性 | D | 4点 |
| (3)改善の難易度 | D | 4点 |
| (4)清潔レベル | D | 4点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | D | 4点 |
| 合計 | D | 24点 |
(1)成果の大きさ:C(8点)
理由:使用済みの養生紙や段ボールを処分して、通路が広くなった点は評価できる。ただし、効果の数値がなく、この箇所の片付けにとどまる。専門家も「ただの美化運動の域を出ない」と指摘している。「成果がややもの足りない改善」と評価する。
(2)改善の独自性:D(4点)
理由:使用済みの不用品を処分するのは、整理の基本にあたり、特に目新しさはない。「誰でも思いつく改善」と評価する。
(3)改善の難易度:D(4点)
理由:養生紙や段ボールの処分で完了しており、特別な技術や準備を要しない。「数分でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:D(4点)
理由:木材の置き場所や、何を置くかの表示がなく、使用済みの物が再びたまる原因も抑えられていない。「すぐ乱れる改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:D(4点)
理由:置き場所のルール(3定)を決めて、全員が守る形にした記述がない。片付けた状態を保つ約束がなければ、次第に元に戻る。「習慣化を促さない単発的な改善」と評価する。
Dランクから上位ランクに上げる工夫と考え方
不要な物を処分できたことは、整頓の入り口に立ったということです。上のランクに進むために必要なのは、片付ける場所を増やすことではありません。必要な物だけになった場所を、誰が見ても分かる状態に仕組み化することです。
点数で見る「上げ方」
24点のこの事例は、処分の中身を変えなくても、維持の2項目(清潔・習慣)を上げるだけでランクが上がります。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | D(4点) | D(4点) | 24点 | D |
| 清潔を2段階上げる | B(12点) | D(4点) | 32点 | C |
| 清潔・習慣をともにAまで上げる | A(16点) | A(16点) | 48点 | B |
清潔と習慣は仕組みで上げられる項目です。専門家が提案する3定(定位・定品・定量)と表示は、そのための具体的な手段です。
清潔レベルのカギは「未然防止」
整理・整頓・清掃は、放っておくとモグラ叩きになりがちです。木材置場も、乱れてから片付ける「後追い」になりがちです。養生紙や段ボールが増えてから処分する。在庫が分からなくなってから数える。これでは、片付けても同じ状態に戻ります。
この評価基準では、清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。人の注意力や「気をつける」に頼らず、乱れようのない配置・表示にすること。私たち評価者が支援現場で強く感じるのは、多くの中小製造業の現場で、この「不具合が起きない仕組み」まで考える視点が不足していることです。
この事例に当てはめると、次のようになります。
| 起こりうる不具合 | 後追いの対応(Dの発想) | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|---|
| 木材の置き場所が決まらず、通路にはみ出す | 気づいたときに寄せる | 定位(どこに)を決め、置き場所を表示する。「〇〇材置場」と表示する(専門家の提案) |
| 置き場所が正しいか、新人には分からない | 先輩が教える | 定品(なにを)を決め、木材にも「〇〇材」の表示を貼る(専門家の提案) |
| 在庫が分からず、重複して発注する | 発注してから気づく | 定量(いくつ)を決めて、数を確認できるようにする。在庫確認の精度を高める(専門家の提案) |
| 使用済みの養生紙や段ボールが、また置かれる | たまってから処分する | 使用済みの養生紙・段ボールを置く場所と処分の時期を決めて、表示する(例) |
上の表は例です。大切なのは、右の列の発想で「この整理が崩れる原因」を先に洗い出し、起きる前に手を打つことです。木材の積み方や高さなど、安全に関わる部分は、安全の担当者と一緒に確認してください。
習慣(しつけ)レベル:単発の改善から「皆が守る標準化」へ
習慣(しつけ)は、清潔で見つけた良いやり方を標準化する活動です。習慣レベルを上げるには、決めた3定を、誰が使っても同じように守るルールにします。
- 定位・定品・定量を、木材置場そのものに表示して、守るルールにする
- 新しく入った人でも分かるよう、表示の意味を周知する
- 表示と実際の置き方が合っているかを、決まった時期に確認する
次の改善報告で期待すること
専門家は、整頓活動へ進むことを求めています。
- 木材の置き場所(定位)を決めて、「〇〇材置場」と表示しているか
- 置かれている木材が「〇〇材」だと分かる表示(定品)を付けているか
- 置く数(定量)を決めて、在庫確認の精度を高めているか
次の報告では、これらに答える取り組みを期待しています。
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