【5S 清掃事例】工場西側の通路の草刈りと防草の考え方|評価Dランク(建屋外)

この事例は、工場西側の通路に生えた雑草を草刈り機で刈った清掃事例で、専門家評価はDランク(28点)。刈るより、生えない仕組みが次の課題。

項目 内容
改善の種類 清掃
改善場所 建屋外(工場西側の通路)
改善対象 通路の雑草
専門家評価 Dランク(28点。Dは30点以下)
効果 草刈り機で草を刈り、通路がきれいになった(数値での効果の記載なし)
目次

改善前の状態(Before)

春頃に草刈りをしましたが、工場西側の通路に、またたくさん草が生えました。草は、通路の安全だけでなく、建屋への入り込みにも関わる問題です。

5S 清掃 工場西側通路 雑草 改善前 建屋外
【改善前】春頃に草刈りをしたが、また草がたくさん生えた

改善内容(After)

草刈り機で通路の草を刈り、通路がきれいになりました。

5S 清掃 工場西側通路 草刈り後 改善後 建屋外
【改善後】草刈り機で草を刈り、通路がきれいになった

専門家コメント

通路に生えた雑草を刈り取った事例ですね。草はどこにでも生えてきますので、定期的に刈り取る必要があります。

これは、通路の安全性の確保はもとより、草やそこに住む昆虫類が建屋内に入り込み、部品や製品に紛れ込んでしまうと品質不良にもつながってしまうので、とても大切な作業ですね。ご苦労さまでした。

5S改善評価:合計28点(Dランク)

今回の改善を、5つの項目で辛口に評価しました。

評価項目 評価 点数
(1)成果の大きさ C 8点
(2)改善の独自性 D 4点
(3)改善の難易度 C 8点
(4)清潔レベル D 4点
(5)習慣(しつけ)レベル D 4点
合計 D 28点

(1)成果の大きさ:C(8点)

理由:通路の安全確保や、品質不良の防止につながる大切な作業。しかし、春頃に刈ってもまた生えたとおり、効果は次の草が生えるまでの間に限られる。効果を裏づける数値も示されていない。「成果がややもの足りない改善」と評価する。

(2)改善の独自性:D(4点)

理由:草を刈る対応は、草の対策として最も一般的で、目新しさはない。「誰でも思いつく改善」と評価する。

(3)改善の難易度:C(8点)

理由:草刈り機で刈る作業で、特別な技術は要らない。「そんなに時間をかけない改善」と評価する。

(4)清潔レベル:D(4点)

理由:専門家が指摘するとおり、いつも清掃している状況では、3S活動の域を出ない。草は生えてくるので、刈ってもまた生える。予防の考え方まで至っておらず、「すぐ乱れる改善」と評価する。

(5)習慣(しつけ)レベル:D(4点)

理由:定期的に刈る時期や、担当などのルールは示されていない。「習慣化を促さない単発的な改善」と評価する。

Dランクから上位ランクに上げる工夫と考え方

草を刈ると、通路はきれいになります。上のランクに進むために必要なのは、刈る回数を増やすことではなく、草が生えない状態をつくることです。

点数で見る「上げ方」

28点のこの事例は、成果・独自性・難易度の中身を変えなくても、維持の2項目(清潔・習慣)を上げるだけでランクが上がります。

上げ方 清潔 習慣 合計 ランク
現在 D(4点) D(4点) 28点 D
習慣を1段階上げる D(4点) C(8点) 32点 C
清潔・習慣をともにAまで上げる A(16点) A(16点) 52点 B

成果や独自性を上げるには新しい発想や時間が要りますが、清潔と習慣は仕組みで上げられる項目です。「あと3点」でCランク(31点)、清潔と習慣を整えればBランクに届きます。

清潔レベルのカギは「未然防止」

整理・整頓・清掃は、放っておくとモグラ叩きになりがちです。現場の改善で多いのは、生えてから刈る「後追い」です。専門家は、いつも清掃している状況は3S活動の域を出ない、と指摘しています。5S活動の4番目である清潔の意義は「予防」です。予防の観点からは、草を刈るのではなく、草を生えないようにすることに主眼が置かれます。

この評価基準では、清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。人の注意力や「気をつける」に頼らず、不具合が起きようのない構造・配置・表示・手順にすること。私たち評価者が支援現場で強く感じるのは、多くの中小製造業の現場で、この「不具合が起きない仕組み」まで考える視点が不足していることです。

この事例に当てはめると、次のようになります。

起こりうる不具合 後追いの対応(Dの発想) 未然防止の仕組み(例)
刈ってもまた草が生える 生えるたびに草刈り機で刈る 防草シートを敷いて、草が生えないようにする。専門家によると、1㎡あたり数百円で販売されている(専門家の提案)
防草シートが見た目で気になる 見た目を気にして、敷かない 防草シートの上に、砂利を敷き詰める(専門家の提案)
草や昆虫が建屋内に入り込み、品質不良につながる 入り込んでから取り除く 建屋に近い通路から優先して防草対策を行い、草が建屋の近くに生えない状態にする(例)
通路に人が入り込んでも気づかない 気づいてから対応する 砂利にすることで、歩く音が聞こえ、防犯対策にもなる(専門家の提案)

上の表のうち、防草シート、砂利、防犯効果は専門家の提案、それ以外は例です。草の生え方は場所によって違うので、通路の使い方や排水などは、設備・安全の担当者と一緒に確認して決めてください。

習慣(しつけ)レベル:単発の改善から「皆が守る標準化」へ

習慣(しつけ)は、清潔で見つけた良いやり方を標準化する活動です。習慣レベルを上げるには、一人の工夫を、全員が同じように行うルールにします。

  • 草が生えやすい場所と、防草対策を行った場所を、地図にして共有する
  • 防草シートや砂利の状態を見る点検の時期を決める
  • 対策の効果(草が生えなくなったか)を確かめて、次の場所へ広げる順番を決める

次の改善報告で期待すること

専門家は、次の点を検討するよう求めています。

  • 草を刈るだけでなく、草を生えないようにする予防の考え方を取り入れる
  • 防草シートを活用する(1㎡あたり数百円で販売されている)
  • 見た目が気になる場合は、防草シートの上に砂利を敷き詰める(歩く音が聞こえ、防犯対策にもなる)

一度検討してみてください。次の素晴らしい改善報告を、専門家は楽しみにしています。

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この記事を書いた専門家

昭和61年静岡大学工学部卒業後、大手装置メーカーに入社する。 入社後、生産ライン構築業務に携わり、品質改善・コスト削減に取り組む。 その後、ソフトウエア商品開発業務に携わり、プロジェクトリーダーとして新商品の開発から上市、販売まで手掛ける。5S-CONCEPTでは、これまでに5S活動の改善事例271件を評価(2026年9月27日時点)。

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