この事例は、他の場所に取りに行っていたエアーガンを、移動できる形で必要な場所に設置した整頓事例で、専門家評価はBランク(46点)。移動と運搬のムダを省いた。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 工具/備品(エアーガン) |
| 専門家評価 | Bランク(46点。Bは46〜65点) |
| 効果 | エアーガンを取りに行く時間を、1日平均20秒短縮×月10日発生。1カ月あたり200秒の削減(改善報告の試算) |
改善前の状態(Before)
油や切りカスを飛ばすためのエアーガンは、作業する場所とは別の場所にありました。使うたびに、そのエアーガンを他の場所まで取りに行く必要があり、そのたびに移動のムダと運搬のムダが発生していました。
こうした移動は、毎日の仕事の中で当たり前のように繰り返されるため、ムダだと気づきにくいものです。
改善内容(After)
移動できるエアーガンを、必要な場所に設置しました。使う場所で、すぐにエアーガンを手に取れるようになり、取りに行く時間のムダがなくなりました。


専門家コメント
油や切りカスを飛ばすエアガンを他の場所に取りに行くことで発生していたムダを、必要な場所に移動可能なエアガンを設置することで、移動のムダや運搬のムダを省いた事例ですね。
工場内で一番のムダとされる移動と運搬のムダを省くことを可能とした、素晴らしい改善事例ですね。ありがとうございました。
前にもお話ししましたが、移動と運搬のムダは、日常の仕事として当たり前のように発生してしまうのですが、そこに気づくことができるのは、本当に素晴らしいです。改善活動をありがとうございました。
さて、今後の改善提案としては、写真を見る限り、エアガンを置く台が新たに設置されており、もしかすると移動の邪魔になっている可能性があります。ここは、縦の空間を活用して、エアガンを上の方から吊るすような形にしてはいかがでしょうか。
移動と運搬のムダを省くことができたので、今度は、その作業自体のムダやムリを省く工夫を実施いただけるとよいと思います。では、次なる改善を楽しみにお待ちしております。
5S改善評価:合計46点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | B | 12点 |
| (2)改善の独自性 | C | 9点 |
| (3)改善の難易度 | C | 8点 |
| (4)清潔レベル | B | 11点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 6点 |
| 合計 | B | 46点 |
(1)成果の大きさ:B(12点)
理由:エアーガンを取りに行く時間を1日平均20秒短縮し、1カ月あたり200秒を削減した(改善報告の試算)。数値の規模は大きくないが、専門家が「工場内で一番のムダ」とする移動と運搬のムダを、日常の作業から省いた。「満足のいく成果」と評価する。
(2)改善の独自性:C(9点)
理由:「使う物を使う場所に置く」は、整頓でよく見られるタイプの改善。ただし、当たり前になっていた「取りに行く」動作をムダとして気づいた点は、専門家も高く評価している。「よく似たタイプが多い改善」の中では上側と評価する。
(3)改善の難易度:C(8点)
理由:移動できるエアーガンと、それを置く台を設置した改善。改善報告に作業時間や工事の内容の記載がないため、根拠のある範囲で「そんなに時間をかけない改善」と評価する。
(4)清潔レベル:B(11点)
理由:エアーガンが使う場所にあるため、同じ作業では「取りに行く」ムダが再び起きにくい状態になった。一方で、新たに設置した台が移動の邪魔になっている可能性を専門家が指摘しており、新しい乱れの芽が残っている。「同じ状況なら再発が起きにくい改善」の下側と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(6点)
理由:エアーガンの置き方・戻し方のルールや、他の作業場所への展開について、改善報告に記載がない。現時点ではルール未整備の状態と判断し、Cの下側とする。置き場所の表示や戻し方の標準化が進めば、B以上も目指せる。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
合計46点のこの事例は、Bランクの入り口にいます。点数だけを見ると控えめですが、改善の出発点として、しっかり評価したい点がいくつもあります。
- 「当たり前の移動」をムダとして見つけた。毎日繰り返す「取りに行く」動作は、仕事の一部として見過ごされがちです。そこに気づけたこと自体を、専門家も「本当に素晴らしい」と評価しています
- 工場で一番のムダとされる「移動と運搬」に手を付けた。探す・運ぶ・戻すといった動作は、どの工場でも積み重なりやすいムダです。そこを狙った改善の方向は正しいと言えます
- 人が急ぐのではなく、置き場所を変えて解決した。使う場所にエアーガンを置くことで、取りに行く必要そのものをなくしています
あと20点でAランク。清潔・習慣を中心に、各項目を一段ずつ上げる
合計46点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと20点です。1つの項目だけでは届かないため、専門家の改善提案に沿って、いくつかの項目を順に上げていくのが現実的です。
| 上げ方 | 変わる項目 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|
| 現在 | - | 46点 | B |
| 台をやめ、上から吊るして通路の邪魔をなくす | 清潔 B(11点)→A(16点) | 51点 | B |
| 置き方・戻し方を標準化し、周知する | 習慣 C(6点)→A(14点) | 59点 | B |
| 作業自体のムダ・ムリを省く次の改善 | 成果 B(12点)→A(16点) | 63点 | B |
| 同じ考え方を他の工具にも工夫して展開 | 独自性 C(9点)→B(12点) | 66点 | A |
特に大きいのは、清潔と習慣の2項目です。この2つで+13点になります。エアーガンの「定位」(どこに置くか)を決めて表示し、使ったら必ずそこへ戻すという手順を、皆が守る標準にすることが、Aランクへの近道です。
「台が邪魔になる」「戻っていない」を、起きる前に防ぐ
今回の改善で、取りに行くムダはなくなりました。次は、新しく置いた物が、新しい問題を生まない仕組みへ進むタイミングです。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。
台にぶつかってから台を動かす、エアーガンが見当たらなくなってから探す、というのは「後追い」の対応です。そうではなく、置き方・表示・手順の段階で、問題が起きない形を作っておくのが「未然防止」です。「気をつけて通る」「気をつけて戻す」に頼らない形を考えます。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み |
|---|---|
| 新しく置いた台が、移動の邪魔になる | 縦の空間を活用し、エアーガンを上の方から吊るす(専門家の提案) |
| 使った後、エアーガンが元の位置に戻らない | 吊るす位置に品名を表示し、戻す場所が一目で分かるようにする(例) |
| ホースの傷み・エア漏れに気づかない | 点検の項目と頻度を決め、点検表で確認する(例) |
| 他の作業場所でも、同じ「取りに行く」ムダが残っている | 同じように取りに行っている工具がないかを洗い出す(例) |
(例)とした内容は、改善報告にはない、考え方の参考です。吊り下げの方法やエアーの配管・ホースは、設備や安全に関わるため、設備・安全の担当者と確認しながら進めてください。移動のムダを省けた今こそ、専門家が勧めるように、作業そのもののムダやムリにも目を向けてみてください。
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