この事例は、機械から遠かった切削油の置き場を、機械のすぐ傍に移した整頓事例で、専門家評価はBランク(50点)。取りに行くムダを1日平均105秒短縮した。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 工具/備品(切削油の置き場) |
| 専門家評価 | Bランク(50点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 切削油を取りに行くムダを、1日平均105秒短縮×12日。1カ月あたり1,260秒の削減(改善報告の試算) |
改善前の状態(Before)
機械に必要な切削油が、機械から遠い場所に置かれていました。油が必要になるたびに取りに行く必要があり、移動と運搬のムダが発生していました。

改善内容(After)
切削油を、機械のすぐ傍に設置しました。油を使う場所と置く場所を近づけたことで、取りに行く移動と、運んでくる運搬のムダを省きました。

専門家コメント
機械に必要な切削油が機械から遠い場所に置かれていたために、移動と運搬のムダが発生していたものを、機械と切削油をすぐ近くに配置することで、移動のムダや運搬のムダを省いた改善事例ですね。
この事例も、もしかすると、3日前とその前に移動と運搬のムダの改善を実施された方と同じ方でしょうか。工場内で一番のムダとされる移動と運搬のムダを省くことを可能とした、素晴らしい改善事例ですね。早速、横展開を実施いただき、ありがとうございました。
また、以前の改善は工程内におけるムダの削減でしたが、今回は機械の保守点検に関わる移動と運搬のムダを発見して改善されている点に、発想の広がりを感じました。とても感銘を受けました。ありがとうございました。感度の良いアンテナを持っている方は、やはり違いますね。
前にもお話ししましたが、移動と運搬のムダは、日常の仕事として当たり前のように発生してしまうのですが、そこに気づくことができるのは、本当に素晴らしいです。改善活動をありがとうございました。
さて、今後の改善提案としては、油置き場の棚ですが、油が棚の下に置いてあり、油を汲むための作業に一苦労しそうな感じを受けます。移動と運搬のムダを省くことができたので、今度は、その作業自体のムダやムリを省く工夫を実施いただけるとよいと思います。また、棚への明示もお願いしますね。では、次なる改善を楽しみにお待ちしております。
5S改善評価:合計50点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | B | 13点 |
| (2)改善の独自性 | B | 12点 |
| (3)改善の難易度 | C | 8点 |
| (4)清潔レベル | B | 10点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 7点 |
| 合計 | B | 50点 |
(1)成果の大きさ:B(13点)
理由:工場内で一番のムダとされる移動と運搬のムダを、1日平均105秒、1カ月あたり1,260秒削減した(改善報告の試算)。補給のたびに必ず発生していたムダを毎回なくせる点は大きい。「満足のいく成果」と評価する。
(2)改善の独自性:B(12点)
理由:使う物を使う場所の近くに置くこと自体は、整頓の基本的な考え方。ただし、工程内の作業ではなく、機械の保守点検に関わる移動と運搬のムダに目を向けた点は、専門家も「発想の広がり」と評価している。「標準的に発想ができる改善」と評価する。
(3)改善の難易度:C(8点)
理由:改善報告から読み取れる内容は、切削油を機械のすぐ傍に設置したことで、大がかりな加工や設備の変更の記載はない。「そんなに時間をかけない改善」と評価する。
(4)清潔レベル:B(10点)
理由:置き場そのものを機械の傍に移したため、同じ状況なら取りに行くムダは再発しにくい。一方で、棚への明示がまだなく、油が棚の下にあって汲む作業に負担が残る。置き場が崩れたり、元に戻ったりする余地があるため、帯の下側とする。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(7点)
理由:以前の改善を早速横展開した姿勢は評価できる。ただし、置き場のルールや明示など、皆が守るべき標準の記載はまだない。「徹底すべきルールが未整備の改善」と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
この事例は、専門家が「とても感銘を受けました」と言葉を重ねた改善です。特に次の3点は、しっかり評価したいところです。
- 当たり前のムダに気づいた。切削油を取りに行くことは、毎日の仕事として当たり前のように発生します。そこに気づけたこと自体が、改善の第一歩です
- 工程の外にまで目を広げた。以前は工程内のムダを減らしましたが、今回は機械の保守点検に関わるムダを見つけています。改善の対象が広がっています
- 早速、横展開した。一つの改善で終わらせず、同じ考え方を別の場面に生かしました。改善を続ける力が、職場に根づき始めています
あと16点でAランク。4つの項目を1段階ずつ上げる
合計50点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと16点です。1つの項目だけでは届かないので、専門家の改善提案に沿って、4つの項目を1段階ずつ上げる道筋を考えます。
| 上げ方 | 上がる点 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|
| 現在 | - | 50点 | B |
| 棚に品名と置き場を明示する(清潔 B10→A14) | +4点 | 54点 | B |
| 置き場と補充のルールを決めて横展開する(習慣 C7→B12) | +5点 | 59点 | B |
| 油を汲む作業のムダやムリを省く(成果 B13→A16、難易度 C8→B12) | +7点 | 66点 | A |
整頓の3定は「定位・定品・定量」です。今回の改善で「定位」(置く場所)は大きく前進しました。次は、棚への明示で「定品」(何を置くか)を、残量の目安で「定量」(どれだけ置くか)を決めると、3定がそろいます。
「汲みにくい・切らす・戻らない」を、起きる前に防ぐ
清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。油が切れてから遠くへ取りに行く、置き場が崩れてから並べ直す、という「後追い」ではなく、そもそも起きない形を先に作ります。「気をつける」に頼らず、配置・表示・手順で防ぐのがポイントです。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み |
|---|---|
| 油が棚の下にあり、汲む作業に一苦労する | 汲みやすい高さや向きに置き方を見直す(専門家の提案。具体的な方法は例) |
| 置き場に別の物が置かれる・元の場所に戻ってしまう | 棚に品名と置き場を明示する(専門家の提案) |
| 油を切らして、結局遠くへ取りに行く | (例)置き場に残量の下限を表示し、下限で補充する |
| 汲むときに油がこぼれ、床が汚れる・滑る | (例)受け皿を置くなど、こぼれても広がらない形にする |
置き方の変更や受け皿の設置は、設備・安全に関わります。設備・安全の担当者と確認しながら進めてください。移動のムダを省けた今こそ、作業そのもののムダやムリにも目を向けるタイミングです。
関連する5S活動の事例
同じ工場の整頓に関する、Aランクの事例です。



