この事例は、NC用バイスの締め付けハンドルのシャフトを改良し、1回転できるようにした習慣(しつけ)事例で、専門家評価はBランク(59点)。あと7点でAランクに届く。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 習慣(しつけ) |
| 改善場所 | 設備 |
| 改善対象 | 設備(NC用バイスの締め付けハンドル) |
| 専門家評価 | Bランク(59点。Bは46〜65点) |
| 効果 | ハンドルを付け直すムダが減り、1日平均175秒短縮×6日。1カ月あたり1050秒(約18分)の削減(改善報告の試算) |
改善前の状態(Before)
NC用バイスの締め付けハンドルは、回すと設備に接触してしまうため、半回転しかできない状態でした。そのため、締め付けや緩めの途中で、ハンドルを付け直す必要がありました。
設備調整のたびに発生する作業なので、1回あたりは小さな手間でも、毎日の積み重ねでは無視できない時間になっていました。

改善内容(After)
ハンドルのシャフトを改造して、ハンドルを自由に1回転できるようにしました。ハンドルを付け直すムダがなくなり、1日平均で175秒の短縮になりました。改善報告では、6日の発生で、1カ月あたり1050秒の削減と試算しています。

専門家コメント
改善活動ありがとうございます。設備調整のためのハンドルのシャフトを改良した事例ですね。
改善前は、ハンドルが設備に接触するため半回転しかできない状況でしたが、改善後は、ハンドルを自由に1回転できるようになりました。
設備調整の度に発生する作業なので、改善の効果は、1カ月あたり1050秒(約18分)という大きな改善です。
段取り替えの時間短縮は、付帯作業時間を減らし、付加価値を作る加工時間の増加に繋がるので有効な改善です。
次なる改善としては、段取り替え手順を標準化し、作業マニュアルを活用することで、作業者間のバラつきを減らすことが有効です。
上記のNC用バイスについては、品種ごとの締め付け方をルール化・標準化することを検討してください。
5S改善評価:合計59点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | A | 16点 |
| (2)改善の独自性 | B | 11点 |
| (3)改善の難易度 | B | 12点 |
| (4)清潔レベル | B | 13点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 7点 |
| 合計 | B | 59点 |
(1)成果の大きさ:A(16点)
理由:ハンドルを付け直すムダがなくなり、1日平均175秒、1カ月あたり1050秒(約18分)の短縮になった。専門家も「大きな改善」と述べており、段取り替えの付帯作業を減らして加工時間を増やすことにつながる。「やや大きい成果」と評価する。
(2)改善の独自性:B(11点)
理由:「ハンドルが設備に当たって回らない」という日常の小さな不便に気づき、ハンドルの使い方を工夫するのではなく、シャフトそのものを改造して解決した。発想としては多くの現場で考えられるものだが、当たり前になっていた手間を見逃さなかった点を評価し、「標準的に発想ができる改善」とする。
(3)改善の難易度:B(12点)
理由:シャフトの改造は、ラベルを貼る・置き場を変えるといった改善より手間がかかり、設備との接触を避ける寸法の検討も必要になる。ただし、改造の方法や所要時間は改善報告に記載がないため、帯の真ん中に置く。「標準的な時間でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:B(13点)
理由:「気をつけて回す」「途中で付け直す」という運用に頼らず、接触の原因をシャフトの構造で取り除いた。同じ状況なら、付け直しのムダが再び起きることはない。一方で、改造部の点検や他の設備への展開は改善報告に記載がない。「同じ状況なら再発が起きにくい改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(7点)
理由:改善は設備の改造が中心で、段取り替え手順の標準化や、品種ごとの締め付け方のルールはまだ整っていない。専門家も、次の改善として手順の標準化と作業マニュアルの活用を挙げている。「ルール未整備の改善」と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
合計59点のこの事例は、Bランクの中ほどにいます。特に次の3点は、しっかり評価したいところです。
- 「当たり前の手間」を見逃さなかった。半回転ごとにハンドルを付け直す作業は、慣れてしまえば誰も気にしなくなる手間です。そこに気づいたこと自体が、改善の第一歩です
- 人の注意ではなく、構造で解決した。付け直しを早くする工夫ではなく、シャフトを改造して付け直しそのものをなくしています
- 毎日の段取りに効く改善になった。設備調整のたびに発生する作業なので、効果は1カ月あたり1050秒(約18分)。付帯作業を減らし、付加価値を生む加工時間を増やすことにつながります
あと7点でAランク。習慣を2段階上げる
合計59点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと7点です。習慣(しつけ)レベルをC(7点)からA(14点)に上げると+7点で、合計は66点になり、Aランクに届きます。B(12点)までだと+5点で64点なので、あと一歩足りません。
専門家が挙げた「段取り替え手順の標準化」と「品種ごとの締め付け方のルール化」を進め、作業マニュアルとして周知し、守られているかを点検するところまで進めると、習慣(しつけ)レベルはAに届きます。
| 上げ方 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|
| 現在 | C(7点) | 59点 | B |
| 習慣をBに(手順を標準化) | B(12点) | 64点 | B |
| 習慣をAに(標準化・周知・点検まで) | A(14点) | 66点 | A |
「締め付けのバラつき」を、起きる前に防ぐ
ハンドルが1回転できるようになった今は、段取り替えそのものでムダや不具合が起きない仕組みへ進むタイミングです。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。締め付けが緩い・強すぎる、といった問題が起きてから直すのは「後追い」です。人によるバラつきが起きない手順と表示を先に作っておくのが「未然防止」です。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|
| 品種ごとの締め付け方が、人によって違う | 品種ごとの締め付け方をルール化・標準化する(専門家の提案) |
| 段取り替えの手順が、作業者ごとにバラつく | 段取り替え手順を標準化し、作業マニュアルを設備の近くで見られるようにする(専門家の提案) |
| 改造したシャフトの摩耗や緩みに気づかない(例) | 日常点検の項目に、ハンドルとシャフトの状態を加える(例) |
| 他のバイスや設備にも、同じ接触がある(例) | 同じように半回転しかできない箇所がないかを洗い出す(例) |
シャフトの改造や点検項目など、設備・安全に関わる変更は、設備・安全の担当者と確認しながら進めてください。手順の標準化まで進めば、今回の改善は「一人の工夫」から「職場の当たり前」に変わります。
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