この事例は、箱の中に乱雑にしまっていた工具を、板を作って形跡整頓した整頓事例で、専門家評価はBランク(52点)。工具を探すムダと取り出すムダが減った。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 工具/備品 |
| 専門家評価 | Bランク(52点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 工具を探すムダ・取り出すムダを、1日平均48秒短縮×月20日。1カ月あたり960秒(960円)の削減(改善報告の試算) |
改善前の状態(Before)
工具は、箱の中に乱雑にしまわれていました。使いたい工具を取り出すたびに箱の中を探す必要があり、探すムダと取り出すムダが毎日発生していました。

改善内容(After)
工具を置くための板を作製して設置し、形跡整頓を行いました。形跡整頓とは、道具の形を置き場に示し、決まった場所に決まった道具が収まるようにする整頓の方法です。箱の中を探さなくても、使いたい工具を板からすぐに取り出せるようになりました。

専門家コメント
これまで乱雑に箱の中にしまっていた工具を、板を作成して形跡整頓を実現した事例ですね。
形跡整頓したことによって、収まる場所に収まるものが収まるという整頓の基本ができました。これがまさに、モノの置き方の標準化です。
とても素晴らしい改善をありがとうございます。
さて、次に考えていただきたいことは、誰でも取り出せて、誰でもが返却できる仕組みを構築していただければと思います。
このカタチをみて、型通りに道具を置くことができるのは、この工具がここにあることを知っているヒトだけです。もしかすると道具の全貌を知らない今日入社した新人なら、あるいは少し変わった考え方をする同僚なら、逆に置いたり、どこかに置いてきてしまったりするかもしれません。
そこで次の改善はやはり、ここが何の置き場なのか? そこに何を置くのか、それを明確にするために、しっかり表示することですね。
表示こそ整頓の要となります。
次回も素晴らしい改善報告を心待ちにしています。
5S改善評価:合計52点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | A | 16点 |
| (2)改善の独自性 | C | 8点 |
| (3)改善の難易度 | B | 12点 |
| (4)清潔レベル | C | 8点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 8点 |
| 合計 | B | 52点 |
(1)成果の大きさ:A(16点)
理由:工具を探すムダと取り出すムダを、1日平均48秒、月20日で960秒減らした。毎日使う工具の出し入れに関わる改善で、効果が日々積み重なる。「やや大きい成果」と評価する。
(2)改善の独自性:C(8点)
理由:工具の形跡整頓は、5S活動で広く使われている整頓の手法。箱の中の工具を板に移すという発想は、多くの現場で見られる。「よく似たタイプが多い改善」と評価する。
(3)改善の難易度:B(12点)
理由:工具に合わせて板を作製し、形跡を付けて設置するには、工具の配置を考える手間と、板を作る手間がかかる。数分で終わる改善ではないが、特別な技術までは必要としない。「標準的な時間でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:C(8点)
理由:形跡があることで、収まる場所に収まるものが収まる状態はできた。ただし、何の置き場か、何を置くかの表示がまだなく、置き場を知らない人が逆に置いたり、別の場所に置いてきたりすると乱れが戻る。「何かのきっかけで再発する改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(8点)
理由:形跡整頓によって、モノの置き方の標準はできた。一方で、その標準を守れるのは、工具の置き場を知っている人に限られる。表示や周知、点検の仕組みはまだ整っておらず、「徹底すべきルールを設定した改善」の段階と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
合計52点のこの事例は、Bランクの中では中ほどに位置します。点数だけを見ると控えめに見えるかもしれませんが、整頓の基本をしっかり押さえた改善です。特に次の3点は、しっかり評価したいところです。
- 「探す」をなくす形にした。箱の中から探す置き方をやめ、板の上に一つずつ収める置き方に変えました。工具を使うたびに発生していたムダを、置き方そのものから減らしています
- モノの置き方を標準化した。専門家も「これがまさに、モノの置き方の標準化です」と述べているとおり、収まる場所に収まるものが収まるという整頓の基本ができました
- 成果がA(16点)。1日48秒という一見小さな短縮も、月20日で960秒になります。毎日の作業で効く改善です
形跡整頓には、もう一つの良さがあります。工具が板に戻っていなければ、形跡が空いて見えるため、戻っていないことに気づきやすい点です。この土台があるからこそ、次の一歩が進めやすくなります。
あと14点でAランク。清潔と習慣をそれぞれ2段階上げる
合計52点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと14点です。清潔レベルと習慣(しつけ)レベルを、どちらもC(8点)からB(12点)に上げると+8点で60点。まだBランクです。どちらもA(16点)まで上げると+16点で68点になり、Aランクに届きます。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(8点) | C(8点) | 52点 | B |
| 清潔と習慣をBに | B(12点) | B(12点) | 60点 | B |
| 清潔と習慣をAに | A(16点) | A(16点) | 68点 | A |
カギになるのは、専門家が挙げた「表示」です。表示によって誰でも戻せる置き場になれば、清潔レベルが上がります。さらに、その置き方を周知し、点検まで決めれば、習慣(しつけ)レベルも上がります。
「戻し間違い・置き忘れ」を、起きる前に防ぐ
清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。工具が逆に置かれてから直す、どこかに置いてきた工具を後から探す、というのは「後追い」の対応です。そうではなく、知らない人でも迷わず正しく戻せる形にして、戻し間違いや置き忘れそのものが起きないようにします。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み |
|---|---|
| 新しく来た人が、何の置き場か分からない | 板に、何の置き場かを表示する(専門家の提案) |
| 工具を逆向きや別の形跡に置いてしまう | 形跡ごとに、工具の名前を表示する(専門家の提案) |
| 使った工具を、別の場所に置いてきてしまう | (例)終業時に板を見て、空いた形跡がないかを確かめる手順を決める |
| 置き方の標準が、知っている人だけのものになる | (例)板の写真に工具名を入れた標準書を作り、新しく来た人にも周知する |
(例)と書いたものは、専門家のコメントをもとにした一つの案です。板の設置場所や固定方法を変える場合は、設備・安全の担当者と確認しながら進めてください。「表示こそ整頓の要」という専門家の言葉どおり、表示を加えることが、この改善をAランクに近づける一番の近道です。
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