この事例は、部品を1個ずつ持っていた作業を2個同時に持つ方法に変えた整頓事例で、専門家評価はBランク(47点)。取る動作としゃがむ動作が半分になった。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓(作業方法の見直し) |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 材料/部品 |
| 専門家評価 | Bランク(47点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 折りたたみコンテナから部品を取る動作が半分になった。取る動作は1回2秒→1秒、月300台で600秒→300秒、年3,600円。しゃがむ動作は月300台×2秒=600秒、年7,200円。合計で年間10,800円の削減(改善報告の試算) |
改善前の状態(Before)
作業するときに、部品を折りたたみコンテナから一つずつ取り出し、一つずつ持って作業していました。部品を取るたびに、しゃがむ動作も発生していました。
改善報告によると、取る動作は1回2秒で、月300台分で600秒かかっていました。しゃがむ動作も同じ回数だけ繰り返していたことになります。

改善内容(After)
部品を一つずつ持つ作業方法から、部品を二個同時に持つ作業方法に変更しました。
一度に2個を持つため、折りたたみコンテナから取る動作が半分になりました。取る動作は1回2秒から1秒になり、月300台分で600秒から300秒に減っています。あわせて、しゃがむ動作も半分になり、身体の負担が軽くなりました。

専門家コメント
作業する際に、これまでは部品を一つずつ持って作業していた手法を、部品を二個同時にもつ作業方法に変更した改善ですね。
部品を2個同時に持つことで、作業性が2倍になり、さらに、しゃがむ動作も半分になるということで、身体の負担も軽減できる素晴らしい改善でした。
改善活動、ご苦労様でした。
ここからの改善提案ですが、しゃがむ回数が半分に減ったとはいえ、まだ150回もしゃがんでいますね。
しゃがむ動作を引き起こしているのは、作業する場所とワークの置いてある場所の高さが違っているためです。
今回、設備である作業台の高さを変えることは難しいと思われますので、台車に乗せているワークの高さを変更して、作業台と同じ高さに調整していただければと思います。
そうすれば、腰をかがめてしゃがむ動作が必要なくなり、身体に負担なく仕事を進めることができますよ。
ぜひ、さらなる工夫をがんばってくださいね。では、次回の報告を楽しみにお待ちしております。期待しております。
5S改善評価:合計47点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | A | 15点 |
| (2)改善の独自性 | B | 11点 |
| (3)改善の難易度 | C | 7点 |
| (4)清潔レベル | C | 8点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 6点 |
| 合計 | B | 47点 |
(1)成果の大きさ:A(15点)
理由:取る動作としゃがむ動作がどちらも半分になり、改善報告の試算で年間10,800円の削減。時間だけでなく、身体の負担の軽減にもつながっている。「やや大きい成果」と評価する。
(2)改善の独自性:B(11点)
理由:「一度に2個持つ」は、動作のムダに目を向ければ思いつける発想。ただし、取る動作としゃがむ動作を一緒に減らせることに気づき、数字で示した点は評価できる。「標準的に発想ができる改善」と評価する。
(3)改善の難易度:C(7点)
理由:作業方法の変更が中心で、改善報告に設備の加工や道具の製作の記載はない。大きな時間をかけずに始められる。「そんなに時間をかけない改善」と評価する。
(4)清潔レベル:C(8点)
理由:しゃがむ回数は減ったが、専門家の指摘どおり、作業台とワークの高さの違いという発生源は残っており、まだ150回しゃがんでいる。持ち方は人の動作に任されているため、忙しいときなどに一つずつ持つやり方に戻るおそれもある。「何かのきっかけで再発する改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(6点)
理由:改善報告に、2個持ちを作業手順として決めた、他の作業者に周知した、といった記述はない。ルール未整備のため、C帯の下側とする。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
この事例は、お金をかけずに、毎日の動作そのものを見直した改善です。特に次の点は、しっかり評価したいところです。
- 「1回あたり2秒」という小さな動作に目を向けた。見過ごされがちな数秒の動作を、ムダとして捉えています
- 時間と身体の負担を、同時に減らした。取る動作が半分になっただけでなく、しゃがむ動作も半分になり、働く人の疲れを減らしています
- 効果を数字で示した。取る動作としゃがむ動作に分けて計算し、年間10,800円という形で成果を見える化しています
現場の人が、自分の動作を振り返って改善したことに大きな意味があります。生産性の向上は、こうした現場の気づきから始まります。
あと19点でAランク。清潔と習慣をそれぞれ上げる
合計47点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと19点です。1つの項目を1段階上げるだけでは届かないため、清潔と習慣の両方を上げることが必要です。
| 上げ方 | 合計 | ランク |
|---|---|---|
| 現在 | 47点 | B |
| ワークの高さを作業台にそろえ、清潔をC(8点)→A(16点)に | 55点 | B |
| さらに、作業方法を標準化・周知・点検し、習慣をC(6点)→A(16点)に | 65点 | B |
| さらに、しゃがむ動作がなくなった効果で、成果をA(15点)→A(16点)に | 66点 | A |
「しゃがむ動作」を、起きる前になくす
今回の改善で、しゃがむ回数は半分になりました。ただ、しゃがむ原因である高さの違いは残っています。回数を減らすのは「後追い」の対策で、高さをそろえてしゃがむ必要そのものをなくすのが「未然防止の仕組み」です。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。「気をつけて2個持つ」に頼らず、配置や手順で自然にそうなる形を目指します。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み |
|---|---|
| まだ150回しゃがんでいる | 台車に乗せているワークの高さを変更して、作業台と同じ高さに調整する(専門家の提案) |
| 忙しいときに、一つずつ持つやり方に戻る | (例)2個持ちを作業手順書に書き、写真付きで作業場所に掲示する |
| 人によって持ち方が違う | (例)新しく作業に入る人にも同じ手順を周知し、定期的に守られているか点検する |
台車やワークの高さを変える場合は、荷崩れや転倒などの安全面も関わるため、設備・安全の担当者と確認しながら進めてください。高さがそろえば、身体に負担なく仕事を進められます。次の報告を楽しみにしています。
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