この事例は、使用頻度の高い金型と低い金型の置き場を入れ替えた整頓事例で、専門家評価はBランク(47点)。金型の切り替えにかかる時間が短くなった。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓(整理を含む) |
| 改善場所 | 工場(プレス加工の職場) |
| 改善対象 | 工具/備品(金型の置き場) |
| 専門家評価 | Bランク(47点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 使用頻度の高い金型が近くなり、金型の切り替え時間が短縮した |
改善前の状態(Before)
使用頻度の高い金型が、作業場所から遠くに置かれていました。金型を切り替えるたびに遠くの置き場まで取りに行く必要があり、切り替えに時間がかかっていました。

改善内容(After)
使用頻度の高い金型と、使用頻度の低い金型の置き場を入れ替えました。よく使う金型が作業場所の近くに来たことで、取りに行く距離が短くなり、切り替えの時間短縮につながりました。
専門家コメントによると、この入れ替えは、職場の中で使わないものを整理した結果、金型の置き場を実際に使う場所の近くに設けられるようになったことで実現しています。

専門家コメント
金型の置き場を変更した改善事例ですね。改善活動ありがとうございます。
職場の中で使わないものを整理した結果、金型の置き場を実際に使う場所の近くに設置できるようになった改善ですね。
プレス加工の職場では、段取り替えの時間を短縮することが職場全体の生産性を高めることに繋がるので、とても有効な改善です。
■整理・整頓の基準
整理・整頓に関しては、作業場所の近くには使用頻度の高いもの、使用頻度の低いものは作業場の遠くに保管するのが原則です。
受注している商品群が変わると、最適な保管場所も変わるので、作業に合わせて最適な保管状態になっているかを定期的に見直してください。
5S改善評価:合計47点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | B | 12点 |
| (2)改善の独自性 | B | 10点 |
| (3)改善の難易度 | B | 11点 |
| (4)清潔レベル | C | 8点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 6点 |
| 合計 | B | 47点 |
(1)成果の大きさ:B(12点)
理由:よく使う金型を近くに置いたことで、切り替えのたびに発生していた移動の時間が短くなった。専門家も、プレス加工の職場では段取り替えの短縮が職場全体の生産性につながる「とても有効な改善」としている。一方で、短縮した時間の数値は改善報告に記載がないため、帯の真ん中に置く。「満足のいく成果」と評価する。
(2)改善の独自性:B(10点)
理由:「使用頻度の高いものを近くに、低いものを遠くに」は、専門家が「原則」と述べる整頓の基本に沿った改善。発想としては一般的だが、先に使わないものを整理して置き場を空けた点に工夫がある。「標準的に発想ができる改善」の下側と評価する。
(3)改善の難易度:B(11点)
理由:使わないものの整理と、金型の置き場の入れ替えという2段階の作業を行っている。どの金型の使用頻度が高いかを見極める必要もある。ただし、かかった時間は改善報告に記載がないため、帯の下側に置く。「標準的な時間でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:C(8点)
理由:今の作業に合った置き場にはなったが、専門家が指摘するとおり、受注している商品群が変わると最適な保管場所も変わる。置き場を見直す基準や表示についての記載はなく、きっかけがあれば再び「よく使う金型が遠い」状態に戻りうる。「何かのきっかけで再発する改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(6点)
理由:置き場の入れ替えは行ったが、置き場の決め方のルールや、定期的な見直しの仕組みは改善報告に記載がない。専門家も「定期的に見直してください」と次の課題を示している。ルールの整備はこれからの段階で、帯の下側に置く。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
派手な仕掛けはありませんが、5Sの基本をきちんと押さえた改善です。特に次の点を、しっかり評価したいと思います。
- 整理から始めて、整頓につなげた。いきなり置き場を動かすのではなく、まず使わないものを整理して場所を空けています。整理が整頓の土台になる、という5Sの順番どおりの進め方です
- 「使用頻度」という基準で置き場を決めた。空いた場所に何となく置くのではなく、よく使う金型を近くに、あまり使わない金型を遠くに、という原則に沿って入れ替えています
- 生産性に直結するところを狙った。プレス加工の職場では、段取り替えの時間が職場全体の生産性を左右します。毎回の切り替えで効いてくる、積み重なる改善です
あと19点でAランク。清潔と習慣を、定期的な見直しで上げる
合計47点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと19点です。1項目だけでは届かないので、専門家が示した「定期的な見直し」を仕組みにして、清潔と習慣の2項目を一緒に上げるのが近道です。置き場の基準と見直しのルールが決まれば、乱れにくさ(清潔)と、皆が同じやり方を続けられること(習慣)の両方が上がります。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(8点) | C(6点) | 47点 | B |
| 見直しのルールを決める | B(12点) | B(12点) | 57点 | B |
| 表示と点検まで仕組みにする | A(17点) | A(16点) | 66点 | A |
また、切り替え1回あたりで短縮できた時間を測って記録すると、成果の大きさも、根拠をもって評価しやすくなります。
「よく使う金型が遠い」を、起きる前に防ぐ
今回の改善は、困りごとが起きてから置き場を直した「後追い」の改善です。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。商品群が変わるたびに「また遠くなった」と気づいて直すのではなく、置き場のずれが起きる前に見直しが回る形を考えてみましょう(例)。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|
| 商品群が変わり、よく使う金型が遠くなる | 受注品目が変わったときを、置き場の見直しのきっかけとして決めておく |
| 使用頻度の変化に気づかない | 金型ごとの使用回数を簡単に記録し、月1回など決まった日に置き場と照らし合わせる |
| 使い終わった金型が別の場所に戻される | 置き場に金型の番号と使用頻度の区分を表示し、定位で戻せるようにする |
| 使わない物が増え、近くの置き場が埋まる | 整理の基準(一定期間使っていない物の扱い)を決め、見直しの日に合わせて確認する |
金型は重量物のため、置き場の変更や移動の方法は、設備・安全の担当者と確認しながら進めてください。今回の「整理してから整頓する」進め方を、ほかの置き場にも広げていくと、職場全体の段取り替えがさらに楽になります。
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