この事例は、倉庫の棚の上に置かれた入れ物を整頓した事例で、専門家評価はBランク(48点)。放置の原因と、再発を防ぐ3つのステップが学べる。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 倉庫 |
| 改善対象 | 梱包資材(棚の上の入れ物) |
| 専門家評価 | Bランク(48点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 棚の上の整理整頓を行った(改善報告の記載) |
改善前の状態(Before)
改善報告には、棚の上の整理整頓を行ったことだけが短く書かれています。改善前の細かな状況は記載されていませんが、専門家は、最初は「ちょっと置いただけ」だったものが、後で本来の置き場所に戻すつもりのまま、長い間そのままになっていたと見ています。その根拠は、ホコリの状態です。
誰の現場でも起こりがちな状態です。忙しいときの「とりあえず置く」は、悪気のない、ごく自然な行動です。問題は人ではなく、「とりあえず置いたもの」が戻らないまま残ってしまう仕組みにあります。

改善内容(After)
棚の上の入れ物を整頓しました。倉庫の梱包資材を対象にした、整理整頓の取り組みです。

専門家コメント
職場から不用品を処分するのが整理、モノを効率的な場所に置くのが整頓です。なので、この改善は整頓の色合いが濃いですね。
最初はちょっと置いただけだったと思います。そして、後で本来の置き場所に戻そうと考えていた作業者の気持ちはわかります。でも結果、長い間そのままだったことは、ホコリの状態から想像できますよね、苦笑。
3s活動のステップはシンプルに3つです。
- ①最適なルールを決める
- ②そのルールを徹底して守る
- ③ルールを守れる防止策を決める
①最初は問題点を見つけ出して、職場改善を進めていきます。整頓の場合は、置き場所を決めて=定位、その置き場所に名前をつける=定品。これは、ある意味そこに置く、というツールを決めていることになります。
②そのルールをみんなで徹底して守る側にいくと思います。でも、そのルールを知らないと守れないし、知っていても守れないヒトも出てきます。だから、自然と守れるよう、③防止策を考えて周知します。
だから今回は、本来の場所に戻して改善した、とは言えませんよね。だって、②が守られていないのですから。これらの放置された原因から考えるに、③の防止策を考えないと、きっとまた同じことがどこかしらで発生します。で、また片づけた報告がどんどん出てくる。そういう方々が口にするのは、いつも『うちの3sはカタチだけだ』と。
カタチだけになっているのはご本人の選択だということに、気づいていない職場は多いです。我々はこのテーマでも議論し、進化いただけるよう研修を組みます。皆さまも参考のうえ、ぜひそういう議論の場も設けてくださいませ。
5S改善評価:合計48点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | B | 12点 |
| (2)改善の独自性 | C | 8点 |
| (3)改善の難易度 | B | 12点 |
| (4)清潔レベル | C | 8点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 8点 |
| 合計 | B | 48点 |
(1)成果の大きさ:B(12点)
理由:長く放置されていた棚の上が整理整頓された。数値で示された効果は改善報告にないが、職場がきれいになったこと自体は確かな成果。「満足のいく成果」と評価する。
(2)改善の独自性:C(8点)
理由:棚の上のモノを片づける取り組みは、多くの職場で行われているタイプ。「よく似たタイプが多い改善」と評価する。
(3)改善の難易度:B(12点)
理由:入れ物を本来の置き場所へ運ぶ作業を、標準的な手間と見る。改善報告に所要時間の記載はない。「標準的な時間でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:C(8点)
理由:専門家が指摘するとおり、③の防止策が決まっていない。何かのきっかけで、同じ放置がまた起きる可能性がある。「何かのきっかけで再発する状態」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(8点)
理由:置き場所のルールが守られていなかったことが、放置につながった。徹底すべきルールの整備と周知は、これからの課題。「ルール未整備」の段階と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
合計48点のこの事例は、Bランクの入り口にいます。次の点は、しっかり評価したいところです。
- 放置されていたモノに、手をつけた。「いつか戻そう」で止まっていたものを、実際に整頓した一歩は大きいです
- 報告として形に残した。職場の乱れを表に出したから、専門家と一緒に「なぜ放置されたか」を考える機会が生まれました
- 整頓を3つのステップで見直す材料になった。①ルール、②徹底、③防止策のどこが抜けていたかを、現場で確かめられます
専門家が「作業者の気持ちはわかります」と述べているとおり、後で戻すつもりで置くこと自体は、誰にでもあることです。大切なのは、その経験を次の仕組みづくりに生かすことです。
あと18点でAランク。清潔と習慣を上げる
合計48点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと18点です。専門家コメントが指摘する③の防止策を決めると、清潔レベルを上げる道が開けます。ルールを知らせて守りやすくすると、習慣(しつけ)レベルも上がります。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 独自性 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(8点) | C(8点) | C(8点) | 48点 | B |
| 清潔と習慣をBに | B(12点) | B(12点) | C(8点) | 56点 | B |
| 清潔と習慣をAに | A(16点) | A(16点) | C(8点) | 64点 | B |
| さらに独自性をBに | A(16点) | A(16点) | B(12点) | 68点 | A |
清潔と習慣の2項目を、それぞれA(16点)まで上げて64点です。あと2点を、独自性や成果の説明の工夫で補うと、Aランクに届きます。自社に合った置き場所の決め方や周知の工夫は、そのまま独自性の評価につながります。
「また置きっぱなし」を、起きる前に防ぐ
片づけたあとにまた乱れ、また片づける。これが「後追い」です。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。「気をつけて戻す」に頼らず、置き場所・表示・手順で、置きっぱなしが起きにくい形にします。専門家が挙げた「定位(置き場所を決める)」「定品(名前をつける)」に加え、次のような仕組みが考えられます(例)。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|
| 「とりあえず置き」が、そのまま放置される | 仮置きの専用場所と、置いた日が分かる札を用意する |
| 入れ物の置き場所が分からず、戻せない | 置き場所と入れ物の両方に、同じ品名の表示をつける |
| ルールを知らない人が、別の場所に置く | 置き場のルールを写真付きで掲示し、朝礼などで周知する |
| 放置に気づくのが遅れる | 棚の上を見る点検日を決め、点検表に残す |
棚の上は高さのある作業になることがあります。高所での作業方法や、棚への荷重にかかわる変更は、設備・安全の担当者と確認しながら進めてください。こうした③の防止策まで決まれば、「カタチだけの3s」から抜け出し、A〜Sも射程内です。
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