この事例は、物置の上に置いていた使用済ワイヤー線の保管場所を屋外に決めた整頓事例で、専門家評価はBランク(50点)。落下の危険がなくなり、1個の作業が約3分から約1分半になった。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 廃棄物(使用済ワイヤー線) |
| 専門家評価 | Bランク(50点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 落下の危険がなくなった。上げ下げの作業時間が、1個あたり約3分から約1分半位になった。移動は1カ月に約10袋(改善報告より) |
改善前の状態(Before)
使用済ワイヤー線は、袋に入れて物置の上に保管されていました。高い所に重い物がある状態のため、地震などで落下する危険がありました。
また、この袋を上げ下げする機会が1カ月に10回程度あり、そのたびに手間と時間がかかっていました。改善報告では、上げ下げに1個あたり約3分かかっていたとあります。

改善内容(After)
使用済ワイヤー線の保管場所を検討し、置き場を屋外に決めました。物置の上に上げる必要がなくなったことで、落下の危険がなくなりました。
上げ下げに要する時間は、1個あたり約3分から約1分半位になりました。移動は1カ月に約10袋あるため、毎月くり返す作業のムダが減っています。

専門家コメント
改善活動お疲れ様です。使用済ワイヤー線の保管場所を決めた改善事例ですね。
改善前の状況では、物置の上に使用済ワイヤー線が保管されており、地震などで重量物が落下する危険性がありました。
今回の改善により、使用済みワイヤーの保管場所が決まったことで職場の安全性が確保されました。
また、使用済ワイヤー線が入った袋を上げ下げする機会が月間10回程度あったとのことですが、置き場を屋外にすることで、移動や作業のムダを削減することにも繋がりました。
安全面とムダの削減という2面で改善が進み、評価できる改善事例だと考えています。
5S改善評価:合計50点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | A | 14点 |
| (2)改善の独自性 | B | 10点 |
| (3)改善の難易度 | C | 7点 |
| (4)清潔レベル | B | 12点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 7点 |
| 合計 | B | 50点 |
(1)成果の大きさ:A(14点)
理由:重量物が落下する危険をなくした安全面の効果と、上げ下げの作業時間が1個あたり約3分から約1分半位になった時間面の効果の、2つがある。移動は1カ月に約10袋あり、毎月くり返す作業に効いている。安全とムダの削減の両面に効果があるため、「やや大きい成果」と評価する。
(2)改善の独自性:B(10点)
理由:高い所への保管をやめ、置き場を別の場所に移すのは、比較的発想しやすい方向の改善。一方で、ふだんは問題が起きていなくても、地震などで落下する危険に目を向けた点は評価できる。「標準的に発想ができる改善」と評価する。
(3)改善の難易度:C(7点)
理由:改善報告には、置き場づくりの作業内容や所要時間の記載がない。保管場所を検討して屋外に決める改善で、大がかりな工事の記載もないため、根拠のある範囲で帯の下側に置いた。「そんなに時間をかけない改善」と評価する。
(4)清潔レベル:B(12点)
理由:物置の上に上げない形にしたことで、落下の危険の発生源そのものを取り除いている。ただし、置き場の表示や置ける量の上限など、元の置き方に戻らないための仕組みの記載はない。「同じ状況なら再発が起きにくい改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(7点)
理由:保管場所を決めたことは、皆が守るルールの第一歩。一方で、置き場の標準化、関係者への周知、点検の記載はない。「徹底すべきルールを設定した改善」と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
この事例は、地味に見えて、職場の安全に直結する大事な改善です。特に次の4点は、しっかり評価したいところです。
- まだ起きていない危険に気づいた。物置の上の袋は、ふだんは落ちてきません。それでも地震などでの落下に目を向け、事故が起きる前に手を打っています
- 「気をつける」ではなく、置き方そのものを変えた。高い所に上げない置き場にして、危険の発生源を取り除いています
- 安全とムダの削減を、1つの改善で両方とった。専門家も、安全面とムダの削減の2面を評価しています
- 毎月くり返す作業に効いている。移動は1カ月に約10袋。一度決めた置き場が、毎月の作業を楽にし続けます
整頓の3定(定位・定品・定量)でいえば、今回の改善は「定位」、つまり置き場を決めたところまで進んでいます。ここから先が、Aランクへの道です。
あと16点でAランク。習慣と清潔を上げる
合計50点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと16点です。1つの項目だけでは届かないため、2つの項目を上げます。習慣(しつけ)レベルをC(7点)からA(16点)に上げると+9点で59点。さらに清潔レベルをB(12点)からS(19点)に上げると+7点で、合計は66点になり、Aランクに届きます。
| 上げ方 | 習慣 | 清潔 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(7点) | B(12点) | 50点 | B |
| 習慣をAに | A(16点) | B(12点) | 59点 | B |
| さらに清潔をSに | A(16点) | S(19点) | 66点 | A |
習慣(しつけ)は、清潔で見つけた良いやり方を標準化する活動です。「使用済ワイヤー線は屋外のこの場所に置く」を、表示・周知・点検まで含めて、誰がやっても同じになる形にしていきます。
「また高い所に置かれる」を、起きる前に防ぐ
置き場を決めても、時間がたつと「とりあえず物置の上に」と元に戻ることがあります。戻ってから気づいて直すのが「後追い」、戻らない形を先に作るのが「未然防止」です。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。改善報告にはない内容ですが、次のような仕組みが考えられます(例)。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|
| 置き場があいまいで、また物置の上に置かれる | 屋外の置き場に品名と区画を表示し、物置の上には「置かない」と表示する(例) |
| 袋がたまりすぎて、置き場からあふれる | 置ける袋の数の上限を表示し(定量)、上限に達したら回収・処分につなげるルールを決める(例) |
| 屋外で、雨風により袋が傷む・倒れる | 屋根やふたのある置き方、倒れにくい置き方にする(例) |
| 他の場所にも、高い所に重い物を置いている | 職場全体で、同じ落下の危険がないかを点検する(例) |
置き場の構造や重量物の置き方は安全に関わるため、設備・安全の担当者と確認しながら進めてください。今回見つけた「高い所に重い物を置かない」という視点を職場全体に広げれば、清潔・習慣レベルが上がり、Aランクが見えてきます。
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