この事例は、1階入口の棚の引き出しにバラバラに入れていた文房具を、ツールシートで形跡整頓した整頓事例で、専門家評価はBランク(52点)。探すムダが1カ月6,000秒減った。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓(整理を含む) |
| 改善場所 | 工場(1階入口の棚) |
| 改善対象 | 文房具 |
| 専門家評価 | Bランク(52点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 探すムダを1日平均300秒短縮×月20日発生。1カ月あたり6,000秒(6,000円)の削減(改善報告の試算) |
改善前の状態(Before)
1階入口の棚の引き出しには、文房具がバラバラの状態で保管されていました。とりあえず引き出しの中に入れていたため、いろいろなアイテムが雑然と入り、必要な文房具を探す手間がかかっていました。

改善内容(After)
引き出しの中の文房具を整理して、必要なモノだけを残しました。そのうえで、ツールシートを使って形跡整頓を行い、必要なモノだけしか収納できない形にしました。どこに何を戻せばよいかが、形を見れば分かる状態です。

専門家コメント
棚の引き出しの中にとりあえず入れていた文房具品を整理して、必要なモノだけしか収納できないように形跡整頓を行った改善ですね。
改善前の写真をみてみると、アイテムが雑然と入っていますが、改善後には、必要なものだけがすっきりと整頓されて配置されています。
この改善を実施することで、余分な文房具がなくなり、さらに探す手間もなくなる素晴らしい改善だと感じました。ありがとうございます。
これは整理・整頓の本質がわかりやすいビフォーアフターの改善なので、ぜひ周りの人にPRしてくださいね。
5S改善評価:合計52点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | S | 20点 |
| (2)改善の独自性 | C | 8点 |
| (3)改善の難易度 | C | 8点 |
| (4)清潔レベル | C | 8点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 8点 |
| 合計 | B | 52点 |
(1)成果の大きさ:S(20点)
理由:探すムダを1日平均300秒短縮し、それが月20日発生するため、1カ月あたり6,000秒(6,000円)の削減になる(改善報告の試算)。毎日使う文房具の改善で、効果が積み重なっている。さらに余分な文房具もなくなった。「大きな成果」と評価する。
(2)改善の独自性:C(8点)
理由:ツールシートを使った形跡整頓は、5S活動でよく使われる手法。整理してから形跡整頓に進めた順番は的確だが、手法そのものは「よく似たタイプが多い改善」と評価する。
(3)改善の難易度:C(8点)
理由:改善報告から読み取れるのは、文房具の整理と、ツールシートを使った形跡整頓。大がかりな加工や設備の変更は記載がない。「そんなに時間をかけない改善」と評価する。
(4)清潔レベル:C(8点)
理由:形跡があるので、戻す場所は分かる。ただし、ペンを入れる箇所などの枠が単なる四角で、何を入れるかの明示がない。将来、ここに他のものが入ってしまうリスクがある。「何かのきっかけで再発する改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(8点)
理由:使ったら戻す、足りなくなったら補充する、といったルールや点検の記載が改善報告にない。形跡整頓という形はできたが、それを守り続ける決まりは未整備の状態。「ルール未整備の改善」と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
この事例は、成果の大きさがS(20点)です。小さな引き出しの改善でも、毎日のムダを確実に減らせば大きな成果になることを示してくれました。特に次の点を、しっかり評価したいと思います。
- 「整理」してから「整頓」した。とりあえず入れていた文房具をそのまま並べ直すのではなく、まず必要なモノだけに絞り、そのうえで置き場所を決めています。専門家も「整理・整頓の本質がわかりやすい」と評価しています
- 必要なモノしか入らない形にした。形跡整頓によって、整頓の3定(定位・定品・定量)のうち、置く場所(定位)と持つ数(定量)が形になりました。余分な文房具が増えにくくなっています
- 効果を数字で示した。1日平均300秒、月20日で6,000秒という試算があることで、周りの人にも効果が伝わりやすくなっています
- 周りに広げやすい。ビフォーアフターがはっきりしているので、専門家の言うとおり、職場で紹介すれば他の引き出しや棚にも展開しやすい改善です
あと14点でAランク。清潔と習慣を2段階ずつ上げる
合計52点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと14点です。清潔レベルをC(8点)からA(16点)に、習慣(しつけ)レベルをC(8点)からA(16点)に上げると、+16点で合計68点になり、Aランクに届きます。どちらか一方だけでは60点で、まだBランクです。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(8点) | C(8点) | 52点 | B |
| 清潔をAに | A(16点) | C(8点) | 60点 | B |
| 清潔と習慣をAに | A(16点) | A(16点) | 68点 | A |
清潔は「枠に何を入れるかを明示して、乱れが起きにくくする」こと、習慣(しつけ)は「そのやり方を標準にして、周知と点検まで進める」ことが、それぞれのカギになります。
「枠に別のものが入る」を、起きる前に防ぐ
専門家が気にしているのは、ペンを入れる箇所などの枠が単なる四角の枠であることです。今は整っていても、いつか別のものが入り、また元のバラバラに戻ってしまう。そうなってから片付け直すのが「後追い」です。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。「気をつけて戻す」に頼らず、枠そのものが「ここには何が入るか」を語る形にします。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み |
|---|---|
| 枠に別のものが入ってしまう | 各枠に何を入れるのかを明示する(専門家のアドバイス。過去には写真を貼って明示した事例もある) |
| 使った文房具が戻らず、空いたままになる | (例)空いた枠を見たら戻す・補充する、というルールを決めて引き出しに表示する |
| 新しい文房具が増え、また引き出しがあふれる | (例)枠の数を持つ数とし、増やすときの決め方をルールにする |
| 他の棚や引き出しは、改善前のまま | (例)今回のやり方を写真付きの標準にして、他の棚へ展開する |
(例)と付けたものは、改善報告にはない、考え方の例です。枠ごとの明示で「定品」までそろえば、整頓の3定(定位・定品・定量)がすべて形になります。専門家も「ぜひなにか明示する工夫を施してみてくださいね」と、次の改善に期待を寄せています。次なる改善報告を楽しみにしています。
関連する5S活動の事例
整頓と習慣(しつけ)に関する事例です。



