この事例は、1つの箱に入れていた2種類の金属金具を別々の箱に分けた整頓事例で、専門家評価はDランク(28点)。表示と補充の基準が課題。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 材料/部品(金属金具) |
| 専門家評価 | Dランク(28点。Dは30点以下) |
| 効果 | 部品付けの時間は1回2秒が0秒(200回で200秒)。箱を探す準備は5分が0秒(300秒)。月あたり400秒+600秒=1,000秒(1,000円)の削減(改善報告の試算。1秒1円換算) |
改善前の状態(Before)
2種類の金属金具を、1つの箱にまとめて保管していました。そのため、使うときに識別作業が必要で、誤ピッキングや余分な確認動作が発生していました。準備に時間がかかり、スムーズな作業ができない状態でした。

改善内容(After)
部品ごとに保管箱を分けました。ピッキング作業の効率が向上し、在庫管理や員数管理の精度も高まっています。改善報告の試算では、部品付けの時間と、箱を探す準備の時間が、ともに0秒になりました。

専門家コメント
改善活動、ありがとうございます。今回は、部品の識別管理を徹底した改善事例ですね。
従来は2種類の金属金具を1つの箱にまとめていたため、利用時に識別作業が必要で、誤ピッキングや余分な確認動作が発生していました。改善後は、部品ごとに保管箱を分けることで、ピッキング作業の効率が向上し、在庫管理や員数管理の精度も高まりました。
これは、識別というムダを【排除(Eliminate)】した事例であり、5S活動の基本である「整頓」の実践でもあります。
5S改善評価:合計28点(Dランク)
今回の改善を、5つの項目で辛口に評価しました。
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | C | 8点 |
| (2)改善の独自性 | D | 4点 |
| (3)改善の難易度 | D | 4点 |
| (4)清潔レベル | C | 8点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | D | 4点 |
| 合計 | D | 28点 |
(1)成果の大きさ:C(8点)
理由:識別のムダと、箱を探す準備のムダをなくし、誤ピッキングのリスクも減らせた点は評価できる。ただし、改善報告の試算では月1,000秒(1,000円)の削減にとどまる。「成果がややもの足りない改善」と評価する。
(2)改善の独自性:D(4点)
理由:混在している部品を、種類ごとの箱に分けて保管する方法は、整頓の基本的な考え方。専門家も「基本」と述べており、「誰でも思いつく改善」と評価する。
(3)改善の難易度:D(4点)
理由:保管箱を分ける変更で、特別な技術や設備を要しない。「数分でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:C(8点)
理由:箱を分けたことで、別の部品と混ざる状態が起きにくくなった。ただ、箱に品番や写真の表示がなく、補充や発注の基準も決まっていないため、何かのきっかけで乱れる可能性が残る。「何かのきっかけで再発する改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:D(4点)
理由:箱の使い方や補充の手順を標準化した記述がない。「習慣化を促さない単発的な改善」と評価する。
Dランクから上位ランクに上げる工夫と考え方
この改善は、識別のムダをなくした、効果の分かりやすい改善です。上のランクに進むために必要なのは、箱を増やすことではありません。分けた状態が、誰が使っても崩れないようにすることです。
点数で見る「上げ方」
28点のこの事例は、改善そのものの中身(成果・独自性・難易度)を変えなくても、維持の2項目(清潔・習慣)を上げるだけでランクが上がります。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(8点) | D(4点) | 28点 | D |
| 習慣を1段階上げる | C(8点) | C(8点) | 32点 | C |
| 清潔・習慣をともにAまで上げる | A(16点) | A(16点) | 48点 | B |
成果や独自性を上げるには新しい発想や時間が要りますが、清潔と習慣は仕組みで上げられる項目です。「あと3点」でCランク、清潔と習慣を整えればBランクに届きます。
清潔レベルのカギは「未然防止」
整理・整頓・清掃は、放っておくとモグラ叩きになりがちです。部品の保管も、起きてから直す「後追い」になりがちです。混ざったら選別し直す。切れたら探して補充する。これでは、分けた後でも、また同じ状態に戻ります。
この評価基準では、清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。人の注意力や「気をつける」に頼らず、混ざりようのない配置・表示にすること。私たち評価者が支援現場で強く感じるのは、多くの中小製造業の現場で、この「不具合が起きない仕組み」まで考える視点が不足していることです。
この事例に当てはめると、次のようになります。
| 起こりうる不具合 | 後追いの対応(Cの発想) | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|---|
| 別の部品が箱に入る、箱が入れ替わる | 気づいたときに戻す | 箱に品番や写真を貼る(専門家が挙げる簡素化【Simplify】)。箱の置き場にも同じ表示を付ける |
| 部品が切れる、欠品する | 切れてから探して補充する | 使用頻度に応じた補充・発注の基準を決める。「ここまで減ったら補充」の下限ラインを表示する(専門家の提案に沿った例) |
| 形が似た金具が、別の箱に混ざる | 見つけたときに選別し直す | 部品ごとに箱の色を変える(例) |
| 部品の種類が増え、箱があふれる | あふれてから置き場を探す | 置ける箱の数を棚に決めておき、増えるときは何かを減らすルールにする(例) |
上の表は例です。大切なのは、右の列の発想で「この整頓が崩れる原因」を先に洗い出し、起きる前に手を打つことです。
習慣(しつけ)レベル:単発の改善から「皆が守る標準化」へ
習慣(しつけ)は、清潔で見つけた良いやり方を標準化する活動です。習慣レベルを上げるには、一人の工夫を、全員が同じように行うルールにします。
- 箱の品番・写真の意味と、補充の基準を、その場に掲示する
- 新しく入った人にも分かるよう、箱の使い方を周知する
- 補充・発注の基準を見直す時期を決めておく
次の改善報告で期待すること
専門家は、次の2点でさらなる効率化が可能だとしています。
- 箱に品番や写真を貼って、【簡素化(Simplify)】を進める
- 使用頻度に応じた補充・発注を図る
こうした小さな工夫の積み重ねが、標準化と作業品質の向上につながると、専門家は述べています。識別のムダを排除した次は、簡素化と標準化に取り組んでください。
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