この事例は、滑るバイスのハンドルに筋を入れて手で締められるようにした清潔事例で、専門家評価はBランク(48点)。プライヤーを使うムダがなくなった。あと18点で、Aランクに届く。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 清潔 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 工具/備品(バイスのハンドル) |
| 専門家評価 | Bランク(48点。Bは46〜65点) |
| 効果 | プライヤーを使うムダがなくなり、1日平均140秒短縮×月10日。1カ月あたり1,400秒(1,400円)の削減(改善報告の試算) |
改善前の状態(Before)
バイスのハンドルがつるつるで滑り、手では力が入りませんでした。そのため、締め付けのたびに、わざわざプライヤーを使ってハンドルを回していました。
道具を持ち替える手間がかかるだけでなく、本来の使い方ではない工具で力をかけることは、工具の傷みやケガのリスクにもつながります。

改善内容(After)
ハンドルに切り込み状の筋を入れ、滑り止め加工をしました。これにより、手だけでしっかり締め付けられるようになり、プライヤーを使うムダがなくなりました。改善報告の試算では、1日平均140秒の短縮×月10日で、1カ月あたり1,400秒(1,400円)の削減です。

専門家コメント
バイスのハンドルが滑って使いづらく、わざわざプライヤーを使って締めていた状態から、ハンドルに切り込み状の滑り止め加工を施すことで手だけでしっかり締められるようにした改善ですね。
作業効率の向上はもちろんですが、プライヤー使用による工具の傷みやケガのリスクも減らせる、安全面にもつながる非常に実用的な工夫です。まずはこの不便さに気づき、改善してくれたことに感謝します。
今回の改善は、日々の不便さや安全リスクに対して、シンプルかつ効果的な手法で対処した良い事例です。しかし、再発防止策や他への展開、維持管理の仕組みがまだ未整備な点があり、B評価に留まりました。
5S改善評価:合計48点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | B | 12点 |
| (2)改善の独自性 | C | 8点 |
| (3)改善の難易度 | B | 12点 |
| (4)清潔レベル | C | 8点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 8点 |
| 合計 | B | 48点 |
(1)成果の大きさ:B(12点)
理由:滑るハンドルにより作業が進まず、プライヤーで締め付けるという非効率な状態を解消し、手だけで確実に締め付けできるようになったことで、作業効率の向上と工具使用頻度の削減が実現できている。ケガや工具破損のリスク低減にもつながる点も評価できるが、影響範囲が一部作業者に限定されるため、「満足のいく成果である改善」と評価する。
(2)改善の独自性:C(8点)
理由:滑り止めとして切り込み加工を施す方法は、発想としては比較的基本的で、工具グリップ対策としても一般的な手法に分類される。特別に発想が困難な内容とは言えないため、「よく似たタイプが多い改善」と評価する。
(3)改善の難易度:B(12点)
理由:切り込みを入れるには多少の加工技術が必要だが、手工具や簡易機械でも対応可能と考えられ、1時間以内で実施できる作業と想定される。「標準的な時間でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:C(8点)
理由:一時的には効果が出ているものの、切り込み部分が摩耗することで再び滑りやすくなったり、汚れがたまって効果が落ちる可能性もあるため、「何かのきっかけで再発する改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(8点)
理由:滑り止め加工をしたことで使用はしやすくなっているが、他の同様のバイスにも加工を展開する仕組みや、再加工・点検のルールまでは整っていないと考えられるため、「徹底すべきルールを設定した改善」と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
この事例は、次の点をしっかり評価したいところです。
- 「当たり前の不便」を見過ごさなかった。プライヤーで締めることが習慣になっていると、不便だと感じなくなりがちです。そこに気づいたこと自体が大切な視点です
- 効率と安全を同時に高めた。道具の持ち替えがなくなっただけでなく、工具の傷みやケガのリスクも減らしています
- 原因そのものに手を入れた。「滑るから別の工具で回す」という回避ではなく、滑るハンドルそのものを直しています
- 効果が大きい。1日平均140秒、1カ月1,400秒という短縮は、小さな加工にしては大きな成果です
あと18点でAランク。清潔と習慣をAに、成果を1段階上げる
合計48点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと18点です。清潔レベルと習慣(しつけ)レベルをC(8点)からA(16点)に上げると合計64点。さらに、同じ加工を他のバイスにも展開して成果の大きさをB(12点)からA(16点)に上げると、合計68点でAランクに届きます。
| 上げ方 | 成果 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|---|
| 現在 | B(12点) | C(8点) | C(8点) | 48点 | B |
| 清潔・習慣をAに上げる | B(12点) | A(16点) | A(16点) | 64点 | B |
| さらに他のバイスへ展開し、成果を上げる | A(16点) | A(16点) | A(16点) | 68点 | A |
「また滑る」を、起きる前に防ぐ
専門家が指摘するとおり、切り込み部分は使ううちに摩耗し、汚れもたまります。気づいたときには、また滑るハンドルに戻っているかもしれません。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。「滑ったら直す」ではなく、滑り始める前に手が打てる形にします。
専門家が挙げた「今後の改善ポイント」は、次の3つです。
- 他のバイスや同様の工具にも展開可能か検討する
- 加工部分の摩耗や劣化に対する点検ルールを作成する
- 改善内容を標準化し、作業手順書等に反映する
未然防止の視点で考えると、たとえば、始業点検の項目に「ハンドルの筋が残っているか」を加え、再加工が必要になる目安を決めておく方法があります(例)。加工の方法を手順書にしておけば、誰が再加工しても同じ仕上がりにできます。なお、工具への加工は、設備・安全の担当者と確認したうえで進めてください。こうした「長く効果を保つ」「誰でも再現できる」仕組みまで進めた改善報告を、次回ぜひ聞かせてください。
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