この事例は、ハンドリーマーを2回転させる方法に変えてバリを一度で取れるようにした清潔事例で、専門家評価はBランク(48点)。あと18点で、Aランクに届く。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 清潔 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 材料/部品(バリ取り作業) |
| 専門家評価 | Bランク(48点。Bは46〜65点) |
| 効果 | バリを取る時間を、1日平均570秒短縮×月20日。1カ月あたり11,400秒(11,400円)の削減(改善報告の試算)。仕上がりのバラつきも減った |
改善前の状態(Before)
バリ取り作業では、ハンドリーマーの回転が不十分で、バリを取るのに時間がかかっていました。
回転が足りないと、バリが一度で取りきれず、同じ場所を何度もやり直すことになります。時間がかかるだけでなく、人によって仕上がりに差が出やすい状態でした。

改善内容(After)
ハンドリーマーを「2回転させる」という作業方法に変更しました。道具はそのままで、やり方を変えただけですが、一度で確実にバリが取れるようになりました。改善報告の試算では、1日平均570秒の短縮×月20日で、1カ月あたり11,400秒(11,400円)の削減です。

専門家コメント
バリ取り作業において、従来の手法ではハンドリーマーの回転が不十分で、作業に時間がかかっていた状態から、「2回転させる」という新たな作業方法に変更したことで、一度で確実にバリが取れるようになった改善ですね。
この改善により、作業時間の大幅な短縮だけでなく、仕上がりのバラつきが減り、品質向上にもつながっており、非常に効果的かつ実践的な作業手順の見直しです。まずはこの作業のムダと品質面に着目し、改善してくれたことに感謝します。
こうした「やり方の工夫」による改善は、現場力向上に直結する大切な取り組みです。
5S改善評価:合計48点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | B | 12点 |
| (2)改善の独自性 | B | 12点 |
| (3)改善の難易度 | D | 4点 |
| (4)清潔レベル | B | 12点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 8点 |
| 合計 | B | 48点 |
(1)成果の大きさ:B(12点)
理由:ハンドリーマーを2回転させる手法に変更したことで、従来よりも短時間でバリが除去できるようになり、作業時間の短縮に加えて、仕上がり品質も安定した。ただし、対象は一部工程に限定されており、生産性やコスト全体への波及効果は限定的なため、「満足のいく成果である改善」と評価する。
(2)改善の独自性:B(12点)
理由:使用する道具はそのままに、「2回転させる」という簡単かつ効果的な作業方法の工夫は着眼点として優れており、一定の発想力が感じられる。ただし、同様の工夫は他の手作業にも応用されており、突出した独自性があるとは言えないため、「標準的に発想ができる改善」と評価する。
(3)改善の難易度:D(4点)
理由:作業方法を変えるだけで、道具の変更や加工はなく、特別な準備や作業時間も必要としないため、「数分でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:B(12点)
理由:バリ取りの仕上がりが安定することで、後工程の不良や再加工、再清掃の発生を抑制できる点は、未然防止の観点で一定の効果がある。ただし、作業者によって差が出る可能性があるため、「同じ状況なら再発が起きにくい改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(8点)
理由:新しい作業手順として「2回転させる」方法が明確になったとはいえ、それを誰もが守る標準手順として定着させる仕組み(マニュアル化や、手順を伝える場づくり)がまだ導入されていないとすれば、「徹底すべきルールを設定した改善」と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
この事例は、次の点をしっかり評価したいところです。
- 道具を変えずに、やり方を変えた。お金も加工もかけず、「2回転させる」という作業方法の見直しだけで結果を出しています。難易度はD(4点)ですが、手軽にできることは、この改善の強みでもあります
- 効果がとても大きい。1日平均570秒、1カ月11,400秒という短縮は、作業方法の見直しとしては大きな成果です
- 時間と品質を同時に良くした。速くなっただけでなく、仕上がりのバラつきが減り、品質も安定しました
- 清潔レベルがB(12点)。仕上がりが安定することで、後工程の不良や再加工を抑える、未然防止の効果が出ています
あと18点でAランク。清潔・習慣・成果を上げる
合計48点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと18点です。難易度はD(4点)のため、他の項目で上げます。清潔レベルをB(12点)からS(20点)に、習慣(しつけ)レベルをC(8点)からA(16点)に上げると合計64点。さらに、他のバリ取り作業にも展開して成果の大きさをB(12点)からA(16点)に上げると、合計68点でAランクに届きます。
| 上げ方 | 成果 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|---|
| 現在 | B(12点) | B(12点) | C(8点) | 48点 | B |
| 清潔をS、習慣をAに上げる | B(12点) | S(20点) | A(16点) | 64点 | B |
| さらに他のバリ取りへ展開し、成果を上げる | A(16点) | S(20点) | A(16点) | 68点 | A |
「人による差」を、起きる前に防ぐ
この改善は、すでに後工程の不良を抑える未然防止の効果を持っています。残る課題は、専門家が指摘する「作業者によって差が出る可能性」です。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。「2回転を忘れないよう気をつける」に頼らず、誰がやっても同じ仕上がりになる形にします。
専門家は、次の視点として「誰がやっても同じようにできるか?」を挙げ、「2回転」の基準や材質による微調整ルール、作業を教えるときのチェックリストなどを用意すれば、しつけ・標準化レベルへと進化できると述べています。「今後の改善ポイント」は、次の3つです。
- この手順を標準作業書やマニュアルに明記する
- 作業を教える際に「2回転ルール」を明確に伝える仕組みを導入する
- 他のバリ取り作業にも同様の視点で展開できないか検討する
未然防止の視点で考えると、作業台の見える位置に「2回転」の手順と良い仕上がり・悪い仕上がりの見本を掲示する方法もあります(例)。見本と見比べれば、取り残しにその場で気づけます。5S活動では、やり方の最適化を「仕組み」に落とし込むことが次のステップです。次の改善報告では、ぜひその仕組みまで聞かせてください。
関連する5S活動の事例
同じ工場の材料・部品まわりの、上位ランクの事例です。



