この事例は、工場裏に放置された風よけの囲いを撤去・廃棄した整理事例で、専門家評価はDランク(20点)。仮置きをためない仕組みが次の課題。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整理 |
| 改善場所 | 建屋外(工場の裏手) |
| 改善対象 | 廃棄物(風よけの囲い) |
| 専門家評価 | Dランク(20点。Dは30点以下) |
| 効果 | 囲いを撤去・廃棄処分して、スッキリした |
改善前の状態(Before)
工場の裏手に、風よけの囲いが放置されていました。専門家は、この囲いを廃棄物として扱っています。工場の裏手のように、人の目が届きにくい場所でした。

改善内容(After)
放置されていた囲いを撤去して、廃棄処分しました。改善報告の効果欄には、「スッキリした」と記されています。

専門家コメント
5S活動の推進、ありがとうございます。工場の裏手にある廃棄物(風よけ)を撤去した事例ですね。
工場の裏手、倉庫、屋根裏など、人の目が届きにくい場所には、不要品の仮置きが発生しやすく、いつの間にか不要品の集積所のような状態になりやすいので、注意が必要です。「仮置き」は、5S活動の天敵なので、どのようにして仮置きにより物がたまるのを防ぐのかを考えておく必要があります。
一つの手段としては、「仮置き用の表示ラベル」をあらかじめ用意しておき、表示ラベルに、①担当者、②仮置きの期限を記載して表示する仕組みを取る方法もあります。表示ラベルを付けておくことで、仮置きの期限が過ぎた物は、担当者に確認のうえ、すぐに廃棄できるようになります。また、仮置きにより不要品がたまることを防ぐことにもつながります。
5S改善評価:合計20点(Dランク)
今回の改善を、5つの項目で辛口に評価しました。
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | D | 4点 |
| (2)改善の独自性 | D | 4点 |
| (3)改善の難易度 | D | 4点 |
| (4)清潔レベル | D | 4点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | D | 4点 |
| 合計 | D | 20点 |
(1)成果の大きさ:D(4点)
理由:人の目が届きにくい工場裏の放置物を撤去し、すっきりした状態にできた点は評価できる。ただし、効果の数値はなく、成果は見た目の改善が中心。「成果は比較的小さい改善」と評価する。
(2)改善の独自性:D(4点)
理由:不要な廃棄物を撤去するのは、整理の基本で、特に目新しさはない。「誰でも思いつく改善」と評価する。
(3)改善の難易度:D(4点)
理由:不要と判断した囲いを撤去し、廃棄処分する取り組みで、特別な技術や工夫を要した記述がない。「数分でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:D(4点)
理由:人の目が届きにくい場所に不要品が仮置きされる仕組みが、そのままになっている。専門家が指摘するとおり、時間がたてば、また不要品の集積所のようになりやすい。「すぐ乱れる改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:D(4点)
理由:仮置きの扱いを決めて、皆が守る形にした記述がない。「習慣化を促さない単発的な改善」と評価する。
Dランクから上位ランクに上げる工夫と考え方
放置されていた物を撤去できたことは、大事な一歩です。上のランクに進むために必要なのは、見回りの回数を増やすことではありません。仮置きの物が、いつの間にかたまらない仕組みを作ることです。
点数で見る「上げ方」
20点のこの事例は、成果・独自性・難易度を変えなくても、維持の2項目(清潔・習慣)を上げるだけでランクが上がります。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | D(4点) | D(4点) | 20点 | D |
| 清潔・習慣をともにBまで上げる | B(12点) | B(12点) | 36点 | C |
| 清潔・習慣をともにSまで上げる | S(20点) | S(20点) | 52点 | B |
清潔と習慣は仕組みで上げられる項目です。専門家が提案する「仮置き用の表示ラベル」は、まさにその仕組みの一つです。
清潔レベルのカギは「未然防止」
整理・整頓・清掃は、放っておくとモグラ叩きになりがちです。工場裏の不要品も、たまってから撤去する「後追い」になりがちです。いつの間にか集積所のようになってから片付ける。片付けたのに、また仮置きが始まる。これでは、同じことの繰り返しです。
この評価基準では、清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。人の注意力や「気をつける」に頼らず、仮置きの物がたまりようのない表示・手順にすること。私たち評価者が支援現場で強く感じるのは、多くの中小製造業の現場で、この「不具合が起きない仕組み」まで考える視点が不足していることです。
この事例に当てはめると、次のようになります。
| 起こりうる不具合 | 後追いの対応(Dの発想) | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|---|
| 誰の物か分からない仮置きが増える | たまってから、誰の物かを調べる | 「仮置き用の表示ラベル」に、担当者を記載して貼る(専門家の提案) |
| 仮置きが、いつまでも続く | 気づいたときに、まとめて廃棄する | 表示ラベルに、仮置きの期限を記載する。期限が過ぎた物は、担当者に確認のうえ、すぐ廃棄する(専門家の提案) |
| 人の目が届かない場所に、不要品がたまる | 気づいた人が片付ける | 工場裏、倉庫、屋根裏など、見えにくい場所を、決まった時期に確認する場所として決める(例) |
上の表は例です。大切なのは、右の列の発想で「この整理が崩れる原因」を先に洗い出し、起きる前に手を打つことです。大きな物の撤去や高い場所の作業は、安全の担当者と一緒に手順を確認してください。
習慣(しつけ)レベル:単発の改善から「皆が守る標準化」へ
習慣(しつけ)は、清潔で見つけた良いやり方を標準化する活動です。習慣レベルを上げるには、一人の気づきを、全員が同じように守るルールにします。
- 仮置きの物には、表示ラベルを必ず付けるルールにする
- ラベルには、担当者と仮置きの期限を記載する
- 期限を過ぎた物の確認と廃棄の手順を、決めておく
次の改善報告で期待すること
専門家は、仮置きにより物がたまるのを防ぐ仕組みを求めています。
- 人の目が届きにくい場所の不要品を、どのように防ぐかを考えているか
- 「仮置き用の表示ラベル」を用意して、担当者と期限を記載しているか
- 期限が過ぎた物を、担当者に確認のうえ、すぐ廃棄できる状態か
次の報告では、これらに答える取り組みを期待しています。
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