この事例は、文具類が乱雑に詰め込まれていた引き出しを、種類ごとに分類・定位置化して形跡整頓した整頓事例で、専門家評価はBランク(48点)。探すムダが減った。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整理・整頓 |
| 改善場所 | オフィス |
| 改善対象 | 文房具(引き出しの中の文具・小物) |
| 専門家評価 | Bランク(48点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 探すムダが減った。1日平均300秒短縮×月20日で、1カ月あたり6,000秒(6,000円)の削減(改善報告の試算) |
改善前の状態(Before)
机の引き出し(真ん中)の中に、文具類や小物が乱雑に詰め込まれていました。必要な物を探すたびに、時間がかかっていました。
引き出しは閉めてしまえば見えないため、中が乱れていても気づきにくい場所です。その一方で、毎日何度も開ける場所でもあり、探す時間は少しずつ積み重なっていきます。

改善内容(After)
文具を種類ごとに分類して定位置を決め、形跡整頓を行いました。計算機・定規・ハサミなどが整然と配置され、どこに何があるかが一目で分かるようになりました。
改善報告の試算では、探す時間が1日平均300秒短縮され、月20日で1カ月あたり6,000秒(6,000円)の削減です。

専門家コメント
引き出し内に文具類や小物が乱雑に詰め込まれ、必要な物を探すたびに時間がかかっていた状態を、文具を種類ごとに分類・定位置化し、形跡整頓を行ったことで、計算機・定規・ハサミなどが整然と配置され、一目で分かるようになった改善ですね。
このように「探すムダ」を排除し、誰が見ても・誰が使っても元に戻せる環境をつくったことは、5S活動の中でも基本かつ効果が実感しやすい整頓の王道的な改善です。まずはこの身近な問題に気づき、しっかりと取り組んでいただいたことに感謝します。
こうした日常業務の効率改善の積み重ねが、職場全体の生産性向上につながります。
5S改善評価:合計48点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | B | 12点 |
| (2)改善の独自性 | D | 4点 |
| (3)改善の難易度 | B | 12点 |
| (4)清潔レベル | B | 12点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 8点 |
| 合計 | B | 48点 |
(1)成果の大きさ:B(12点)
理由:文具類が無秩序に入っていた引き出しを整頓し、形跡整頓によって探すムダを排除したことで、日常業務の効率が確実に改善された。ただし、対象範囲が限定的かつ業務全体への波及効果は小さいため、「満足のいく成果である改善」と評価する。
(2)改善の独自性:D(4点)
理由:形跡整頓(定位置表示・シルエット表示など)は、5S活動における整頓の基本手法であり、多くの職場で取り入れられている一般的な方法。特別な工夫や発想が求められるものではないため、「誰でも思いつく改善」と評価する。
(3)改善の難易度:B(12点)
理由:引き出し内の分類と形跡表示の作成には、ある程度の準備と時間がかかるが、特別な技術や加工は必要なく、標準的な作業時間内で実施できる内容。
(4)清潔レベル:B(12点)
理由:形跡整頓を行うことで、モノの乱れにすぐ気づけるようになり、清潔状態(整った状態)の維持につながる。ただし、使用後に元に戻さない運用が続けば再び乱れる可能性もあるため、「同じ状況なら再発が起きにくい改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(8点)
理由:形跡整頓によって「戻すべき場所」が明示されたことで、ルールは視覚的に提示されており、行動に反映しやすくなっている。ただし、「定期点検」「標準としての明文化」などの習慣化の仕組みまでは整っていない可能性があるため、「徹底すべきルールを設定した改善」と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
独自性はD(4点)ですが、それは「基本に忠実」ということでもあります。この事例は、次の点をしっかり評価したいところです。
- 整頓の「王道」をきちんとやり切った。種類ごとに分ける、置く場所を決める、形跡で示す。専門家も「基本かつ効果が実感しやすい整頓の王道的な改善」と評価しています
- 誰が使っても元に戻せる引き出しにした。形跡があることで、自分以外の人が使っても、戻す場所に迷いません
- 効果が大きい。1日300秒、1カ月で6,000秒の短縮は、毎日使う場所だからこその成果です
- 清潔レベルがB(12点)。形跡があるので、物が欠けたり乱れたりすると、すぐに気づけます
「閉めれば見えない場所」にまで手を入れた点も、5Sに取り組む姿勢として大切にしたいところです。
あと18点でAランク。清潔と習慣をSまで上げる
合計48点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと18点です。独自性がD(4点)のため、清潔と習慣(しつけ)の2項目で大きく上げる必要があります。清潔・習慣をそれぞれA(16点)に上げると60点、さらにS(20点)まで上げると68点になり、Aランクに届きます。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | B(12点) | C(8点) | 48点 | B |
| 清潔・習慣をAに上げる | A(16点) | A(16点) | 60点 | B |
| 清潔・習慣をSに上げる | S(20点) | S(20点) | 68点 | A |
「戻さない」「不要品が混ざる」を、起きる前に防ぐ
形跡整頓をした引き出しでも、使用後に元に戻さない運用が続けば、再び乱れていきます。また、いつの間にか不要な物が入り込むこともあります。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。「きちんと戻すよう気をつける」に頼らず、乱れが起きにくく、起きてもすぐ元に戻る形にしておきます。
専門家が挙げた「今後の改善ポイント」は、次の3つです。
- 使用頻度順に配置し、さらに効率化を図る
- 形跡部分にラベル・シルエットを追加し、定位置をより明確にする
- 整頓状態のチェックリストや点検日を設け、しつけレベルへ引き上げる
専門家は、定期的に不要品が混ざっていないか点検することも、「維持と改善の仕組み」として挙げています。点検日とチェックリストを決め、同じやり方を他の引き出しや他の人の机にも広げれば、単発の改善が職場の標準になり、習慣(しつけ)のレベルが上がります。次回の改善では、「整頓から清潔・習慣(しつけ)へ」進むような、レベルアップした取り組みを期待しています。
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