この事例は、工場の床にペンキを塗った清掃事例で、専門家評価はBランク(52点)。床をきれいに保つ意識を広げる、よい流れが評価された。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 清掃 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 床面 |
| 専門家評価 | Bランク(52点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 床にペンキを塗った(改善報告の結果欄より) |
改善前の状態(Before)
この改善報告には、改善前の状態を説明する文章はなく、写真と結果欄の記載のみです。専門家コメントによれば、床が汚れていたり破損していたりすると、その床をきれいに、ピカピカにしようという発想にはなかなか至らない、といいます。

改善内容(After)
改善報告の結果欄には、「床にペンキを塗った」とあります。床という、毎日使うのに後回しになりやすい場所に、自分たちの手で手を入れた改善です。

専門家コメント
床にペンキを塗ることが、果たして5S活動に入るのか? 答えはYESです。ぜひどんどん進めてください。
まず、床が汚れていたり破損があると、その床をキレイにピカピカにしようとする発想になかなか至りません。誰だって、削られている床を見れば、やっぱり直してもらいたいと思います。しかし、予算がないのでなかなか進まないことが多い。
そのうちほったらかしになって、そんな箇所が増えていくと、あら不思議。床掃除もカタチだけ、5S活動もカタチだけ、な空気が完全にその職場を包み込みます。そりゃそうですよ。キレイにならないんですもの。
だからこそ、気が付いた時点ですぐ補修を依頼して早めに対処し、会社は床をキレイにしようとしている。そして、この改善のように、我々個人も床をキレイに保つ責任があるという良い認識を広げる、いい流れをつくっていただきたいものです。
5S改善評価:合計52点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | A | 16点 |
| (2)改善の独自性 | C | 8点 |
| (3)改善の難易度 | B | 12点 |
| (4)清潔レベル | C | 8点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 8点 |
| 合計 | B | 52点 |
(1)成果の大きさ:A(16点)
理由:床がきれいになったことに加え、「床をきれいに保つ責任は個人にもある」という認識を職場に広げるきっかけになる点が大きい。床掃除も5S活動も「カタチだけ」になりがちな空気を変える力がある。「やや大きい成果」と評価する。
(2)改善の独自性:C(8点)
理由:床の塗装は、5S活動でよく見られる取り組み。一方で、予算の壁などで後回しになりやすい場所に、実際に手を入れた点は評価できる。発想としては「よく似たタイプが多い改善」と評価する。
(3)改善の難易度:B(12点)
理由:床の塗装は、ペンキを用意して塗る作業で、床全体に及ぶと一定の手間がかかる。大がかりな工事ではないが、短時間で終わる作業でもない。「標準的な時間でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:C(8点)
理由:塗装でいったんきれいな床になったが、その状態を保つ仕組み(塗装の傷み・剥がれに気づく点検、補修を依頼する手順など)は報告からは読み取れない。何かのきっかけで元の状態に戻る可能性があるため、「何かのきっかけで再発する」段階と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(8点)
理由:改善報告には、塗装後の維持の決まり(点検の頻度、補修の依頼ルール、他の場所への展開など)の記載がない。専門家が求める「床をきれいに保つ意識」を、皆が守る標準にまで落とし込む前の段階と判断する。ルール化が進めば上のレベルに進める。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
Bランクの中では、52点と中ほどの位置にあります。点数以上に、次の3点はしっかり評価したいところです。
- 「床」に手を入れた。汚れや傷みがあっても、予算がないと後回しになりやすい床を、実際にきれいにしました
- 5S活動のスタート地点を作った。床がきれいになると、掃除も5S活動も「形だけ」にならず、本気で取り組む空気が生まれやすくなります
- 成果がA(16点)。床がきれいになっただけでなく、「個人も床をきれいに保つ」という認識を広げる流れをつくれる改善です
専門家が「ぜひどんどん進めてください」と背中を押したのも、この取り組みが5S活動の土台を作る一歩だからです。
あと14点でAランク。清潔と習慣を上げる
合計52点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと14点です。清潔レベルと習慣(しつけ)レベルが、いずれもC(8点)なので、この2つを上げる余地があります。次の表のように、清潔と習慣をそれぞれA(16点)まで上げると+16点で、合計は68点になり、Aランクに届きます。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(8点) | C(8点) | 52点 | B |
| 清潔と習慣をBに | B(12点) | B(12点) | 60点 | B |
| 清潔をAに、習慣をBに | A(16点) | B(12点) | 64点 | B |
| 清潔と習慣をAに | A(16点) | A(16点) | 68点 | A |
「床が傷む」「ほったらかしになる」を、起きる前に防ぐ
床は、塗って終わりではありません。傷みが出てから補修を頼む、ほったらかしになってから慌てる、というのは「後追い」の対応です。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。専門家が語る「気が付いた時点ですぐ補修を依頼し、早めに対処する」という考え方を、「気をつける」に頼らず、手順として決めておきます(例)。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|
| 塗装の傷み・剥がれに気づかない | 日常の清掃のときに床の状態を見る点検項目を決めておく |
| 傷みに気づいても、誰に頼めばよいか分からない | 補修を依頼する窓口と連絡手順を決め、掲示しておく |
| 予算がなく、補修が後回しになる | 傷みが小さいうちに補修できるよう、早めに依頼する決まりを作る |
| 塗った場所が一部にとどまる | 塗装の手順を写真付きで残し、他の場所へ展開できるようにする |
床の補修や塗り替えは、設備・安全に関わることがあります。方法は設備の担当者や安全の担当者と確認しながら進めてください。補修の依頼と、日常の床の点検がつながると、清潔と習慣が一緒に上がり、A〜Sも射程内です。
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