この事例は、書類棚の裏の蜘蛛の巣とほこりを清掃した事例で、専門家評価はDランク(28点)。トラッキング火災のリスクは下がった。放置された原因を仕組みで防ぐことが次の課題。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 清掃 |
| 改善場所 | 工場(書類棚の裏) |
| 改善対象 | 書類棚 |
| 専門家評価 | Dランク(28点。Dは30点以下) |
| 効果 | 書類棚の裏のほこりがなくなり、トラッキング火災のリスクが軽減した(改善報告は「心配もなくなった」。専門家評価は「リスクが軽減される」) |
改善前の状態(Before)
書類棚の裏が、蜘蛛の巣とほこりまみれでした。目に入らない箇所に設置されたコンセントも、蜘蛛の巣とほこりにおおわれていました。なかなか注意が行き届かない場所です。

改善内容(After)
書類棚の裏を清掃して、蜘蛛の巣とほこりがなくなりました。ほこりがたまったコンセントから起きるトラッキング火災の心配も、なくなっています。

専門家コメント
なかなか注意が行き届かない書類棚の裏側と、目に入らない箇所に設置してあるコンセントが、蜘蛛の巣やホコリまみれになっていた状態を、キレイに清掃してくれた改善ですね! これによって、トラッキング火災のリスクが軽減される効果もたしかにあると思います。
よくぞ気がつかない箇所を問題として捉え、しっかり清潔な状態にしてくれたと思います。ありがとうございました!
5S改善評価:合計28点(Dランク)
今回の改善を、5つの項目で辛口に評価しました。
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | C | 8点 |
| (2)改善の独自性 | D | 4点 |
| (3)改善の難易度 | C | 8点 |
| (4)清潔レベル | D | 4点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | D | 4点 |
| 合計 | D | 28点 |
(1)成果の大きさ:C(8点)
理由:ほこりまみれのコンセントを清掃し、トラッキング火災のリスクを軽減した点は評価できる。しかし、効果は書類棚の裏とその周辺に限られ、効果を裏づける数値も示されていない。「成果がややもの足りない改善」と評価する。
(2)改善の独自性:D(4点)
理由:目に入らない場所を見つけて清掃する着眼点は評価できるが、清掃という方法自体は基本的な活動で、よく似た改善が多い。「誰でも思いつく改善」と評価する。
(3)改善の難易度:C(8点)
理由:蜘蛛の巣とほこりの清掃で、特別な技術や大がかりな準備は要らない。「そんなに時間をかけない改善」と評価する。
(4)清潔レベル:D(4点)
理由:専門家は、なぜそういった状態になるまで放置されたのかを問うている。放置を防ぐ清掃計画やチェックリストがなければ、同じ場所にまたほこりがたまる。「すぐ乱れる改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:D(4点)
理由:清掃の範囲・頻度の見直しや、見えにくい場所のチェックリストなど、標準化されたルールは示されていない。「習慣化を促さない単発的な改善」と評価する。
Dランクから上位ランクに上げる工夫と考え方
見えにくい場所を清掃したことで、火災のリスクは下がりました。上のランクに進むために必要なのは、同じ場所を次も気づいた人が掃除することではなく、見落としが起きても、ほこりがたまる前に見つけられる仕組みです。
点数で見る「上げ方」
28点のこの事例は、成果・独自性・難易度の中身を変えなくても、維持の2項目(清潔・習慣)を上げるだけでランクが上がります。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | D(4点) | D(4点) | 28点 | D |
| 習慣を1段階上げる | D(4点) | C(8点) | 32点 | C |
| 清潔・習慣をともにAまで上げる | A(16点) | A(16点) | 52点 | B |
成果や独自性を上げるには新しい発想や時間が要りますが、清潔と習慣は仕組みで上げられる項目です。「あと3点」でCランク(31点)、清潔と習慣を整えればBランクに届きます。
清潔レベルのカギは「未然防止」
整理・整頓・清掃は、放っておくとモグラ叩きになりがちです。現場の改善で多いのは、気づいてから清掃する「後追い」です。専門家は、「なぜそういった状態になるまで放置されたのか」を考えるよう促しています。考えられる理由として、日常の業務に追われて見落としがちな場所への注意が薄れること、清掃範囲や頻度の見直しが不足していること、担当者間の情報共有が欠けていることを挙げています。
この評価基準では、清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。人の注意力や「気をつける」に頼らず、不具合が起きようのない構造・配置・表示・手順にすること。私たち評価者が支援現場で強く感じるのは、多くの中小製造業の現場で、この「不具合が起きない仕組み」まで考える視点が不足していることです。
この事例に当てはめると、次のようになります。
| 起こりうる不具合 | 後追いの対応(Dの発想) | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|---|
| 日常の業務に追われ、見えにくい場所への注意が薄れる | 気づいたときに清掃する | 目に見えにくい場所をリストアップして、チェックリストを作成する(専門家の対策) |
| 清掃範囲や頻度が、見直されていない | 問題が見つかってから範囲を広げる | 定期的に清掃計画を見直し、隅々までチェックする(専門家の対策) |
| 担当者間で、情報が共有されていない | 担当者ごとに口頭で伝える | 清掃担当者の間で、継続的な情報共有を行う。見えにくい場所の情報をチェックリストに書いて残す(専門家の対策と、その応用の例) |
| コンセントの周りに、再びほこりがたまる | 気づいたときに拭き取る | コンセントの周りを、定期点検の項目に入れる(例。電気設備の点検は、設備・安全の担当者と確認する) |
上の表のうち、1〜3行目は専門家がコメントで挙げた対策の例、4行目は例です。どれも、担当者の注意力に頼らず、見落としが起きても見つかる仕組みです。専門家は、他の同僚とも相談しながら進めるよう勧めています。電気設備に関わる点検の方法は、必ず担当者と確認してください。
習慣(しつけ)レベル:単発の改善から「皆が守る標準化」へ
習慣(しつけ)は、清潔で見つけた良いやり方を標準化する活動です。習慣レベルを上げるには、一人の気づきを、全員が同じように行うルールにします。
- 見えにくい場所のリストとチェックリストを、誰が回っても同じ確認ができるようにつくる
- 清掃計画を見直す時期を決めて、清掃の範囲と頻度に反映する
- 清掃担当者の間で、確認した結果を共有する場を決める
次の改善報告で期待すること
専門家は、次に考えを巡らせることとして、次の点を挙げています。
- なぜ、そういった状態になるまで放置されたのかを考える
- 定期的な清掃計画の見直しと、隅々までのチェックを行う
- 清掃担当者への継続的な情報共有を強化する
- 目に見えにくい場所のリストアップと、チェックリストの作成を行う
他の同僚とも相談しながら、次なる改善につなげてください。さらに良い取り組みの報告書を、専門家は楽しみにしています。
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