この事例は、工場の普段掃除が行き届かない窓を拭いて作業場を明るくした清掃事例で、専門家評価はDランク(28点)。窓が汚れる仕組みへの手当てが次の課題。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 清掃 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 窓 |
| 専門家評価 | Dランク(28点。Dは30点以下) |
| 効果 | 作業場が明るくなり、気持ちが良くなった(改善報告の記載。数値の記載なし) |
改善前の状態(Before)
普段の掃除では手が回らない場所にある窓が、汚れたままになっていました。専門家は、この窓が相当汚れていたことを、問題個所として捉えています。窓は毎日目に入る場所ですが、床や機械のように作業に直接かかわらないため、どうしても後回しになりがちな場所です。

改善内容(After)
普段は掃除が行き届かない窓を、しっかり拭き掃除しました。その結果、作業場が明るくなり、気持ちよく働ける場所になっています。

専門家コメント
普段掃除が行き届かなかった窓が相当汚れていたことを問題個所として捉え、しっかり窓掃除を行った結果、作業場が明るくなり、快適な職場とした改善ですね。
窓掃除によって、作業環境が明るく快適になると同時に、作業者の気分も明るくなるはずです。このような環境改善に感謝します。
次に取り組んでいただきたいのは、定期的な清掃スケジュールの作成と、他の見落とされがちな場所への注意を向けることです。窓掃除の定期スケジュールの設定、他のエリアの清掃状況の確認、清掃担当者やチームの明確化を行うことで、作業場全体を常に清潔で快適に保つことができます。
5S改善評価:合計28点(Dランク)
今回の改善を、5つの項目で辛口に評価しました。
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | C | 8点 |
| (2)改善の独自性 | D | 4点 |
| (3)改善の難易度 | C | 8点 |
| (4)清潔レベル | D | 4点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | D | 4点 |
| 合計 | D | 28点 |
(1)成果の大きさ:C(8点)
理由:作業場が明るくなり、気持ちよく働ける環境になった点は評価できる。ただし、効果は明るさと気分の面が中心で、時間や費用など数字で確かめられる成果は示されていない。「成果がややもの足りない改善」と評価する。
(2)改善の独自性:D(4点)
理由:汚れた窓を拭くのは、清掃の最も基本的な取り組み。工夫や新しい発想は見られず、「誰でも思いつく改善」と評価する。
(3)改善の難易度:C(8点)
理由:特別な道具や技術は必要なく、拭き掃除で対応できる。ただし、普段手の届きにくい窓を、手間をかけてやり切った点は認めたい。「そんなに時間をかけない改善」と評価する。
(4)清潔レベル:D(4点)
理由:窓が汚れる原因への手当ては、改善報告には書かれていない。掃除の予定や担当がなければ、また同じように汚れて掃除が行き届かなくなる可能性が高い。「すぐ乱れる改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:D(4点)
理由:窓掃除の頻度や担当を決めたという記載がない。今回の取り組みが、次回以降の標準につながる形になっていないため、「習慣化を促さない単発的な改善」と評価する。
Dランクから上位ランクに上げる工夫と考え方
この改善は「一度きれいにした」ことが成果で、「きれいな状態を続ける」仕組みはこれからです。上のランクに進むために必要なのは、もっと大きな清掃をすることではありません。きれいな窓が、次の掃除の日まで、そして次の担当者に替わっても保たれることです。
点数で見る「上げ方」
28点のこの事例は、成果・独自性・難易度を変えなくても、維持の2項目(清潔・習慣)を上げるだけでランクが上がります。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | D(4点) | D(4点) | 28点 | D |
| 習慣を1段階上げる | D(4点) | C(8点) | 32点 | C |
| 清潔・習慣をともにAまで上げる | A(16点) | A(16点) | 52点 | B |
習慣(しつけ)を1段階上げるだけで、あと4点足りなかったCランクに届きます。清潔と習慣は、新しい発想がなくても仕組みで上げられる項目です。
清潔レベルのカギは「未然防止」
整理・整頓・清掃は、放っておくとモグラ叩きになりがちです。窓も同じで、汚れが目立ってから拭く「後追い」では、拭いた直後は明るくなっても、また時間がたてば同じ状態に戻ります。「気がついた人が拭く」では、忙しい日は誰も気がつかない日になります。
この評価基準では、清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。汚れてから直すのではなく、窓が汚れきる前に自然と手が入る仕組みにすること。私たち評価者が支援現場で強く感じるのは、多くの中小製造業の現場で、この「不具合が起きない仕組み」まで考える視点が不足していることです。
この事例に当てはめると、次のようになります。
| 起こりうる不具合 | 後追いの対応(Dの発想) | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|---|
| 掃除の予定がなく、また汚れが積もる | 汚れが目立ってから拭く | 窓の掃除を「月に一度」などの年間予定に組み込み、日付を決めて実施する(頻度は現場の汚れ方に合わせて決める) |
| 誰が担当か決まらず、後回しになる | 気づいた人が拭く | 清掃担当をローテーションで決め、担当表を掲示する |
| いつ拭いたか分からない | 汚れ具合を見て判断する | 窓の近くに「最終清掃日」を書く欄を設け、次回の予定日も見えるようにする |
| 窓のまわりの他の場所が見落とされる | 目についた場所だけ掃除する | 窓・棚の上・壁際など「見落としやすい場所」を一覧にして、清掃の点検項目に加える |
上の表は例です。専門家も「窓掃除の定期スケジュールの設定」「清掃担当者やチームの明確化」を次の一歩に挙げています。高所の窓を拭く場合は、足場や道具の使い方を、現場の安全担当者と一緒に確認してください。
習慣(しつけ)レベル:単発の改善から「皆が守る標準化」へ
習慣(しつけ)は、清潔で見つけた良いやり方を標準化する活動です。習慣レベルを上げるには、一人の工夫を、全員が同じようにできるルールにします。
- 窓の拭き方、使う道具、実施の頻度を、簡単な手順書にする
- 新しく入った人にも分かるよう、担当表と手順書を掲示して周知する
- 実施した日を記録し、月に一度、抜けがないか確認する
次の改善報告で期待すること
専門家は、次の3点に取り組むよう求めています。
- 窓掃除の定期スケジュールを設定する
- 他のエリアの清掃状況を確認する
- 清掃担当者やチームを明確にする
窓を明るくした気づきは、見落とされがちな他の場所にも使えます。次の報告では、これらを仕組みにした取り組みを期待しています。
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