この事例は、検査で一緒に使う定盤を測定器の横へ移した整頓事例で、専門家評価はBランク(50点)。測定器を取りに行くムダが、1日平均36秒減った。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場(検査業務) |
| 改善対象 | 設備(定盤・測定器) |
| 専門家評価 | Bランク(50点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 測定器を取りに行くムダを、1日平均36秒短縮×月20日稼働。1カ月あたり720秒の削減(改善報告の試算) |
改善前の状態(Before)
検査業務では、定盤と測定器を一緒に使います。ところが、この2つはこれまで離れた位置に置かれていました。そのため、測定器を取りに行く移動と、運ぶ運搬のムダが発生していました。

改善内容(After)
定盤を測定器の横へ移動し、2つを隣同士に配置しました。検査で一緒に使う物を、使う場所にまとめて置いたことで、測定器を取りに行くムダがなくなりました。
改善報告の試算では、1日平均で36秒の短縮です。1カ月20日稼働として、1カ月あたり720秒の削減になります。
整頓の3定(定位・定品・定量)のうち、「どこに置くか(定位)」を、作業で一緒に使う組み合わせから決め直した改善といえます。

専門家コメント
検査業務で一緒に使用する定盤と測定器が、これまでは離れた位置に置いていたため、移動と運搬のムダが発生していましたが、定盤と測定器を隣同士に配置することで、移動のムダや運搬のムダを省いた改善事例ですね。
工場内で一番のムダとされる移動と運搬のムダを省くことを可能とした、素晴らしい改善事例ですね。
もしかすると、3日前に改善を実施された方と同じ方でしょうか。早速、横展開を実施いただき、ありがとうございました。やはり、感度の良いアンテナを持っている方は違いますね。さすがとしかいいようがありません。
前にもお話ししましたが、移動と運搬のムダは、日常の仕事として当たり前のように発生してしまうのですが、そこに気づくことができるのは、本当に素晴らしいです。改善活動をありがとうございました。
さて、今後の改善提案としては、ぜひ新たなる本改善事例の横展開を図っていただければと思います。では、次なる改善を楽しみにお待ちしております。
5S改善評価:合計50点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | B | 13点 |
| (2)改善の独自性 | B | 10点 |
| (3)改善の難易度 | C | 8点 |
| (4)清潔レベル | B | 11点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 8点 |
| 合計 | B | 50点 |
(1)成果の大きさ:B(13点)
理由:測定器を取りに行くムダを1日平均36秒、1カ月あたり720秒削減した(改善報告の試算)。専門家も「工場内で一番のムダとされる移動と運搬のムダ」を省いた点を高く評価している。毎日の検査業務に効く効果のため、帯の上側とし、「満足のいく成果」と評価する。
(2)改善の独自性:B(10点)
理由:一緒に使う物を隣に置くという考え方は、5S活動でよく見られる手法。また、先に行われた改善の横展開と見られる。一方で、当たり前になっていた移動に気づき、定盤と測定器の組み合わせに当てはめた点は評価できる。帯の下側とし、「標準的に発想ができる改善」と評価する。
(3)改善の難易度:C(8点)
理由:改善の中身は、定盤を測定器の横へ移す配置変更。改善報告には、かかった時間や作業の手間の記載がない。「そんなに時間をかけない改善」と評価する。
(4)清潔レベル:B(11点)
理由:定盤と測定器を隣同士にしたことで、同じ配置が保たれている限り、取りに行くムダは再発しにくい。ただし、置き場の表示や、配置を保つ決まりの記載はなく、レイアウト変更などのきっかけで再び離れる可能性が残る。帯の下側とし、「同じ状況なら再発が起きにくい改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(8点)
理由:配置の決まりを標準として文書にした記載はない。一方で、専門家のコメントから、先の改善を早速横展開した取り組みであることがうかがえ、良いやり方を広げる動きはある。「ルール未整備」の段階とし、Cの中ほどと評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
合計50点のこの事例は、Bランクの中ほどにあります。点数以上に、この改善には評価したい点がいくつもあります。
- 「当たり前のムダ」に気づいた。移動と運搬のムダは、毎日の仕事に溶け込んでいて見過ごされがちです。そこに気づけたこと自体が、改善の出発点として大きな価値があります
- 工場で一番のムダとされる「移動と運搬」を減らした。専門家が「素晴らしい改善事例」と評価したとおり、効く場所を正しく選んでいます
- 横展開を早速実行した。先の改善で得た考え方を、すぐに別の組み合わせ(定盤と測定器)に当てはめています。専門家が「感度の良いアンテナ」と表現したのは、この動きの速さです
あと16点でAランク。習慣と清潔をそれぞれ2段階上げる
合計50点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと16点です。1項目だけでは届かないため、習慣(しつけ)と清潔の2つを上げる道筋になります。習慣を「標準化・周知・点検まで」進めてAの上側(17点)にすると+9点で59点。さらに清潔を「問題を未然に防止できる仕組み」まで進めてS(18点)にすると+7点で、合計66点となり、Aランクに届きます。
| 上げ方 | 習慣 | 清潔 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(8点) | B(11点) | 50点 | B |
| 習慣をAに | A(17点) | B(11点) | 59点 | B |
| さらに清潔をSに | A(17点) | S(18点) | 66点 | A |
専門家の今後の改善提案も「本改善事例の横展開」です。「一緒に使う物は隣に置く」という考え方を、検査業務の他の道具や、他の工程にも広げ、そのやり方を標準として残すことが、習慣レベルを上げる近道です。
「定盤と測定器が、また離れる」を、起きる前に防ぐ
今は隣同士に置けていても、レイアウト変更や一時的な移動をきっかけに、また離れてしまえば、取りに行くムダが戻ってきます。起きてから気づいて直すのは「後追い」です。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。「気をつけて戻す」に頼らず、配置や表示で、離れない状態を保ちます。たとえば次のような仕組みが考えられます(例)。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|
| レイアウト変更で、定盤と測定器がまた離れる | 床や台に置き場の区画線と品名を表示し、2つを並べて置く場所を決めておく(例) |
| 一緒に使う組み合わせが、担当者しか分からない | 検査で一緒に使う道具の組み合わせを一覧にし、配置図として掲示する(例) |
| 他の工程で同じムダが残っている | 「一緒に使う物が離れていないか」を点検項目に加え、月1回などで見直す(例) |
定盤や測定器の移動・固定など、設備や安全に関わる変更は、設備・安全の担当者と確認しながら進めてください。気づく力のある現場だからこそ、その気づきを仕組みに変えれば、Aランクも十分に射程内です。
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