この事例は、パレットに置いた製品から漏れる油分を、ビニールを敷いて床に届かないようにした清掃事例で、専門家評価はBランク(53点)。掃除をしなくて済む予防清掃の実例です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 清掃(予防清掃) |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 完成品/床面 |
| 専門家評価 | Bランク(53点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 床の油分を清掃するムダをなくした。1日平均300秒短縮×月間の発生3日。1カ月あたり900秒(900円)の削減(改善報告の試算) |
改善前の状態(Before)
パレットに置いた製品には、油分が付着していました。その油分が下に漏れて、床やパレットを汚していました。
床が汚れれば、そのたびに掃除が必要です。改善報告によると、この清掃は1日平均300秒かかり、月に3日発生していました。

改善内容(After)
ビニールを敷いて、製品の油分が床に漏れないようにしました。
ポイントは、汚れた床を掃除するのではなく、床が汚れない状態を作ったことです。床に漏れた油分を掃除する時間は、ほぼなくなりました。

専門家コメント
パレットに置いた製品に付着していた油分が、下に漏れて床やパレットを汚していた問題を解決するために、ビニールを敷いて、油分が床に漏れないようにした改善ですね。
単に、床を掃除してきれいにするのではなく、掃除をしなくてもよい仕組みを作られたことは、本当に素晴らしいと感じました。
しかも、ラップを敷くだけの低コスト兼短時間作業の仕組みであり、グッドアイデアです。
これで、床に漏れた油分を掃除する時間はほぼ無くなりますし、漏れた油分が他に影響を及ぼすことがなくなりました。これぞ、掃除をしなくて済む予防清掃の実例ですね。
改善活動ご苦労さまでした。
5S改善評価:合計53点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | B | 11点 |
| (2)改善の独自性 | A | 15点 |
| (3)改善の難易度 | C | 6点 |
| (4)清潔レベル | A | 15点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 6点 |
| 合計 | B | 53点 |
(1)成果の大きさ:B(11点)
理由:床に漏れた油分を掃除する時間がほぼなくなり、改善報告の試算で1カ月あたり900秒(900円)を削減した。漏れた油分が周りに影響を及ぼすこともなくなった。一方で、発生は月3日ほどで、時間・金額の効果は大きくはない。「満足のいく成果」の下側と評価する。
(2)改善の独自性:A(15点)
理由:汚れた床を掃除するのではなく、「掃除をしなくてもよい仕組み」に発想を切り替えた。専門家も「グッドアイデア」「画期的なアイデア」と評価している。ビニールを敷くという手段自体は身近なものなので、帯の下側に置き、「やや発想が困難な改善」と評価する。
(3)改善の難易度:C(6点)
理由:専門家コメントのとおり、ビニール(ラップ)を敷くだけの低コスト兼短時間作業の仕組みである。準備や試行の手間について改善報告に記載がないため、帯の下側に置き、「そんなに時間をかけない改善」と評価する。
(4)清潔レベル:A(15点)
理由:汚れてから掃除する「後追い」ではなく、油分が床に届かない状態を作り、清掃そのものを不要にした。専門家が「予防清掃の実例」と述べるとおり、清潔の考え方に合っている。ただし、製品に油分が付着していること自体は残っており、ビニールのはがれや漏れの確認もこれからのため、「発生源を抑え、再発しにくい改善」の下側と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(6点)
理由:ビニールを敷く手順、交換の時期、点検の方法など、標準化の記述は改善報告にない。専門家も、まず1カ月後の振り返りを提案している段階である。「ルール未整備」として、Cの下側と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
合計53点のこの事例は、Bランクの中ほどにいます。点数以上に、考え方の筋がとても良い改善です。特に次の3点は、しっかり評価したいところです。
- 「掃除する」から「掃除しなくて済む」へ切り替えた。床をきれいにするのではなく、床が汚れない状態を作りました。専門家が「予防清掃の実例」と呼ぶ、清掃の理想の形です
- 低コストで、すぐに始められる。ビニールを敷くだけなので、どの現場でも真似しやすい改善です
- 清潔レベルがA(15点)。後追いの清掃をやめ、汚れが広がらない状態を作れています。漏れた油分が他に影響を及ぼさなくなった点も大きな前進です
あと13点でAランク。習慣を2段階、清潔を1段階上げる
合計53点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと13点です。伸ばしやすいのは、習慣(しつけ)レベルです。今はC(6点)なので、B(12点)に上げると+6点で59点、A(16点)まで上げると+10点で63点になります。そこに清潔レベルをA(15点)からS(18点)へ上げる+3点が加わると、合計66点でAランクに届きます。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | A(15点) | C(6点) | 53点 | B |
| 習慣をBに | A(15点) | B(12点) | 59点 | B |
| 習慣をAに | A(15点) | A(16点) | 63点 | B |
| さらに清潔をSに | S(18点) | A(16点) | 66点 | A |
習慣(しつけ)は、清潔で見つけた良いやり方を標準化する活動です。専門家は、まず改善後1カ月を目途に、この仕組みが完璧な仕組みなのかを振り返り、完璧であると証明できたら横展開することを提案しています。「油分の漏れで苦労されている部署は他にもたくさんあるかと思います」という言葉どおり、敷き方と交換の時期を手順にまとめ、点検し、他の部署へ広げることが、習慣をAに上げる道筋です。
「ビニールのはがれ・漏れ」を、起きる前に防ぐ
清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。ビニールを敷いたことで、床の掃除という後追いはなくなりました。次は、ビニールそのものの不具合で、また床が汚れる、という後追いを起こさない段階です。専門家も「画期的なアイデアだからこそ、何か見落としがあるかもしれません」と述べ、次の確認を挙げています。
- ビニール(ラップ)を敷いたが、すぐにはがれてしまわないか
- ビニール(ラップ)から、油分が漏れていないか
- ビニール(ラップ)を敷いたが故に、機械や製品に何か不具合が発生していないか
この確認をもとに、たとえば次のような未然防止の仕組みが考えられます(例)。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|
| ビニールがはがれ、油分が床に届く | (例)敷く位置と固定のしかたを決め、写真付きの手順にする |
| ビニールの継ぎ目や端から油分が漏れる | (例)重ね幅や端の処理を決め、漏れがないかを確認する点検項目に入れる |
| 汚れたビニールの交換を忘れる | (例)交換の時期を決めて表示し、交換用のビニールを置き場の近くに置く |
| 製品に油分が付着したまま置かれる | (例)油分が付着する原因を調べ、発生源で減らせないかを考える |
機械や製品に影響が出るおそれのある変更は、設備・安全の担当者と確認しながら進めてください。「汚れない状態が崩れない」仕組みになれば、清潔レベルはSに近づきます。
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