この事例は、設備カウンターまわりの散乱した配線をまとめた整頓事例で、専門家評価はDランク(28点)。作業はしやすくなったが、維持の仕組みは次の課題。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 設備(カウンターの配線・ケーブル類) |
| 専門家評価 | Dランク(28点。Dは30点以下) |
| 効果 | 作業時に障害になっていた配線をまとめ、スムーズに作業できるようになった。1日平均で約5分短縮 |
改善前の状態(Before)
床や機器のまわりに、赤と黒のケーブル類が乱雑に散らばっていました。作業のときに配線が障害になり、スムーズに作業しにくい状態でした。

改善内容(After)
散らかっていた配線をまとめて収納しました。作業の障害がなくなり、スムーズに作業できるようになっています。1日平均で約5分の短縮になったと、改善報告は報告しています。

専門家コメント
床や機器周辺に赤と黒のケーブル類が乱雑に散乱していた状態から、配線をまとめて収納することで、見た目をスッキリさせた改善ですね。
この改善によって、安全面が向上しただけでなく、見た目も整って清潔感のある職場になりましたね! ケーブルが絡まるリスクも減り、トラブルの防止にもつながります。気づきにくい場所への目配りと、丁寧な改善対応、本当にありがとうございました。
次に考えたいのは、この整理状態の「維持」と「さらなる使いやすさ」です。例えば、配線ごとに色分けラベルを付けることで、必要なケーブルがすぐに特定できる仕組みを作ったり、固定するためのマジックバンドや結束バンドを活用するのも効果的です。また、ケーブルの使用頻度や長さに応じて、どの位置に収納するかを決めることで、よりスマートな「整頓」が実現できます。
5S改善評価:合計28点(Dランク)
今回の改善を、5つの項目で辛口に評価しました。素点は32点でしたが、成果の項目を根拠のある範囲で見直し、28点としています(理由は(1)に書きました)。
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | C | 8点 |
| (2)改善の独自性 | D | 4点 |
| (3)改善の難易度 | D | 4点 |
| (4)清潔レベル | C | 8点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | D | 4点 |
| 合計 | D | 28点 |
(1)成果の大きさ:C(8点)
理由:配線が作業の障害でなくなり、安全面の向上と、1日平均で約5分の短縮につながった点は評価できる。ただ、この5分は「約」の概算で、効果の範囲も設備まわりの配線にとどまる。「成果がややもの足りない改善」と評価する(素点はB・12点だが、この点を踏まえてCとした)。
(2)改善の独自性:D(4点)
理由:散らかった配線をまとめて収納する方法は、整頓の基本的な考え方。特に目新しい工夫は見られず、「誰でも思いつく改善」と評価する。
(3)改善の難易度:D(4点)
理由:配線をまとめて収納する作業が中心で、特別な技術や長い時間を要するものではない。「数分でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:C(8点)
理由:今はまとまっているが、色分けや固定の仕組みがなく、配線の追加や入れ替えのたびに乱れるおそれがある。「何かのきっかけで再発する改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:D(4点)
理由:配線のまとめ方や、追加・入れ替えのときのルールが報告に書かれていない。皆が同じようにまとめる標準化には進んでおらず、「習慣化を促さない単発的な改善」と評価する。
Dランクから上位ランクに上げる工夫と考え方
この改善は「今ある配線をまとめた」ところまでです。上のランクに進むために必要なのは、大きな改善を足すことではありません。配線が、また散らばりにくくなることです。
点数で見る「上げ方」
28点のこの事例は、成果・独自性・難易度を変えなくても、維持の2項目(清潔・習慣)を上げるだけでランクが上がります。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(8点) | D(4点) | 28点 | D |
| 習慣を1段階上げる | C(8点) | C(8点) | 32点 | C |
| 清潔・習慣をともにAまで上げる | A(16点) | A(16点) | 48点 | B |
「あと3点」でCランク、清潔と習慣を整えればBランクに届きます。この2項目は、仕組みで上げられる項目です。
清潔レベルのカギは「未然防止」
整理・整頓・清掃は、放っておくとモグラ叩きになりがちです。配線の乱れも、起きてから直す「後追い」になりがちです。また床に出ていたら束ね直す。絡まったらほどく。これでは、直してもまた同じことが起きます。
この評価基準では、清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。人の注意力や「気をつける」に頼らず、配線が床に出ようがない・絡まりようがない構造・配置・表示にすること。私たち評価者が支援現場で強く感じるのは、多くの中小製造業の現場で、この「不具合が起きない仕組み」まで考える視点が不足していることです。
この事例に当てはめると、次のようになります。
| 起こりうる不具合 | 後追いの対応(Dの発想) | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|---|
| 束ねた配線がほどけて、また床に出る | 気づいたときに束ね直す | マジックバンドや結束バンドで固定する箇所をあらかじめ決める。専門家も固定用のバンドの活用を挙げている |
| どのケーブルか分からず、抜き差しで手間取る | 必要なたびに辿って確認する | 配線ごとに色分けラベルを付け、両端で同じ表示にする |
| 使用頻度や長さに合わない位置に置かれる | 使いにくいまま我慢する | 使用頻度や長さに応じた収納位置を決め、位置を表示する |
| 配線が増えたとき、そのまま床に置かれる | 散らかってからまとめ直す | 配線を追加するときの手順(固定し、ラベルを付ける)を決めておく。配線や電源まわりの扱いは、設備・安全の担当者と確認する |
上の表は例です。専門家は、色分けラベルと固定用のバンド、使用頻度や長さに応じた収納位置の決め方を次の一歩に挙げています。右の列の発想で「この整頓が崩れる原因」を先に洗い出し、起きる前に手を打つことが清潔レベルを上げます。設備の配線の固定や取り回しは、設備・安全の担当者と一緒に確認してください。
習慣(しつけ)レベル:単発の改善から「皆が守る標準化」へ
習慣(しつけ)は、清潔で見つけた良いやり方を標準化する活動です。習慣レベルを上げるには、一人の工夫を、全員が同じように行うルールにします。
- 配線のまとめ方と収納位置を、写真付きで掲示する
- 配線を追加・入れ替えしたときの手順を決めて周知する
- 点検する日を決め、床にケーブルが出ていないかを確認する
次の改善報告で期待すること
専門家は、この整った状態の「維持」と「さらなる使いやすさ」の視点を挙げています。
- 配線ごとに色分けラベルを付け、必要なケーブルがすぐ分かるか
- マジックバンドや結束バンドで固定しているか
- ケーブルの使用頻度や長さに応じて、収納位置を決めているか
この改善を継続しながら、さらに効率の良い職場づくりに挑戦してください。次回の改善報告を楽しみにしています。
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