この事例は、組立工程の在庫品・仕掛品の置き場を明示し、ハンドリフトの通路を確保した整頓事例で、専門家評価はBランク(53点)。取り出すムダを月2,400秒減らした。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整理・整頓 |
| 改善場所 | 工場(組立工程) |
| 改善対象 | 仕掛品/材料・部品(在庫品・仕掛品の置き場、通路) |
| 専門家評価 | Bランク(53点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 取り出すムダを1日平均600秒短縮×月4日発生。1カ月あたり2,400秒の削減(改善報告の試算)。ハンドリフトが通れる通路を確保し、モノを探すムダを削減 |
改善前の状態(Before)
改善報告には、改善前の状態を説明する文章はありません。効果と専門家コメントから読み取れるのは、組立工程で在庫品や仕掛品を取り出すたびに時間がかかり、モノを探すムダが発生していたことです。改善報告では、この「取り出すムダ」を1日平均600秒短縮したとしています。
改善内容(After)
組立工程の整理・整頓を行いました。専門家コメントによると、次の3つが改善の中身です。
- ハンドリフトが通れる通路を確保した
- 在庫品・仕掛品を置く場所を明示した
- メインの通路のほかに、区画と区画を分ける間にも、作業者が歩ける区画を作った
この結果、モノを探すムダが減り、取り出す時間が短くなりました。


専門家コメント
改善活動お疲れ様です。組立工程の整理整頓を実施した改善ですね。
整理整頓を実施した成果で、ハンドリフトが通れる通路が確保できていますね。また、在庫品、仕掛品を置く場所も明示されており、モノを探すムダを削減できたことが改善の成果です。
■評価できる点
工夫としては、メインの通路のほかに区画と区画を分ける間にも、作業者が歩ける区画を作っている点が素晴らしい工夫です。
整理・整頓など目で見える改善だけでなく、目に見えにくい導線や作業区画を意識した改善ができるようになると、5S活動としては、1段上のレベルに到達できるようになります。
5S改善評価:合計53点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | B(満足のいく成果) | 13点 |
| (2)改善の独自性 | B(標準的に発想ができる) | 12点 |
| (3)改善の難易度 | B(標準的な時間でできた) | 10点 |
| (4)清潔レベル | B(同じ状況なら再発が起きにくい) | 11点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C(徹底すべきルールを設定した) | 7点 |
| 合計 | B | 53点 |
(1)成果の大きさ:B(13点)
理由:取り出すムダを1日平均600秒短縮し、月4日の発生で1カ月あたり2,400秒の削減(改善報告の試算)。これに、ハンドリフトが通れる通路の確保と、置き場の明示による探すムダの削減が加わり、運搬と取り出しの両方に効いています。「満足のいく成果」と評価する。
(2)改善の独自性:B(12点)
理由:整理・整頓で通路を作り、置き場を明示するのは、5S活動で広く行われる手法です。一方で、メインの通路だけでなく、区画と区画の間にも作業者が歩ける区画を作った点は、専門家が「素晴らしい工夫」と挙げています。「標準的に発想ができる改善」と評価する。
(3)改善の難易度:B(10点)
理由:組立工程全体で、置き場と通路、歩ける区画を作り直す改善で、一定の手間はかかったと考えられます。ただし、改善報告に所要時間や人数の記載がないため、控えめに見て「標準的な時間でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:B(11点)
理由:在庫品・仕掛品の置き場を明示し、通路と歩ける区画を分けたことで、同じ状況なら乱れが起きにくい状態になっています。ただし、通路にモノがはみ出さないための表示や、置き場の量の決まりまでは書かれていないため、「同じ状況なら再発が起きにくい改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(7点)
理由:置き場を明示したことは、「ここに置く」というルールを設定した第一歩です。一方で、置き方の標準化、周知、点検の仕組みについては記載がありません。「徹底すべきルールを設定した改善」と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
合計53点のこの事例は、Bランクの中ほどにいます。組立工程という、モノが集まりやすい場所で整理・整頓をやり切ったこと自体が、大きな一歩です。特に次の3点は、しっかり評価したいところです。
- モノだけでなく「通る場所」を作った。ハンドリフトが通れる通路を確保し、運搬のしやすさまで考えています
- 区画の間にも、歩ける区画を作った。メインの通路だけで終わらせず、作業者が日々歩く場所まで考えた点は、専門家が「素晴らしい工夫」と評価しています
- 効果を数字で示した。取り出すムダを1日平均600秒短縮と、改善の成果を時間で表しています
あと13点でAランク。習慣と清潔を上げる
合計53点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと13点です。いちばん伸びしろが大きいのは、習慣(しつけ)レベルです。置き方を標準化し、周知し、点検するところまで進めて、C(7点)からA(16点)に上げると+9点で、合計は62点になります。さらに、置き場があふれない・通路にはみ出さない仕組みを加えて清潔レベルをB(11点)からA(15点)に上げると+4点で、合計は66点になり、Aランクに届きます。
| 上げ方 | 習慣 | 清潔 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(7点) | B(11点) | 53点 | B |
| 習慣をAに | A(16点) | B(11点) | 62点 | B |
| さらに清潔をAに | A(16点) | A(15点) | 66点 | A |
「通路にモノがはみ出す」を、起きる前に防ぐ
通路と置き場は、作った直後がいちばんきれいです。忙しい日が続くと、仕掛品が通路に一時置きされ、気づいたときに片付ける、という「後追い」になりがちです。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。「気をつけて置く」に頼らず、はみ出しが起きない形、起きたらすぐ分かる形にしておくことが、次の一歩です。整頓の3定(定位・定品・定量)のうち、今回の改善で進んだのは「定位」です。次は「定量」まで決めると、置き場があふれにくくなります。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|
| 通路に仕掛品が一時置きされ、ハンドリフトが通れなくなる | 通路を「置かない場所」として床に表示し、一時置きの場所を別に決めておく(例) |
| 置き場があふれて、通路や歩ける区画にはみ出す | 置き場ごとに置いてよい量(上限)を表示し、超える前に気づけるようにする(例) |
| 区画の間の歩ける区画が、少しずつ狭くなる | 歩ける区画の幅を決めて表示し、点検の項目にする(例) |
| 置き場の表示がはがれる・見えにくくなる | 点検の日を決めて、表示の状態を確認する(例) |
ハンドリフトの通行や床の表示など、安全に関わる内容は、安全の担当者と確認しながら進めてください。こうした仕組みを標準書にまとめ、他の工程にも展開できれば、清潔・習慣レベルが上がり、Aランクが見えてきます。
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工場の整頓・習慣に関する、Aランクの事例です。



