この事例は、水洗いした部品を乾かす容器に水抜き穴を付け、溜まった水を自動で排水する清掃事例で、専門家評価はBランク(48点)。水を捨てる手間と、水を運ぶ重労働がなくなった。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 清掃・清潔 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 廃棄物(部品の乾燥で溜まる水) |
| 専門家評価 | Bランク(48点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 水を捨てる作業が1回5秒から0秒に。月3回で15秒、年180秒、180円の削減(改善報告の試算)。水を運ぶ重労働がなくなり、事故の予防にもつながる |
改善前の状態(Before)
水洗いした部品は、折りたたみコンテナに入れて乾かしていました。乾かしている間に、コンテナの中には水が溜まります。これまでは、水が溜まるたびに、コンテナの水を捨てていました。
1回あたりは5秒ほどですが、水の入った容器を運んで捨てるのは、体に負担のかかる作業でした。

改善内容(After)
折りたたみコンテナに水抜き穴を付けました。部品から落ちた水は穴から自然に抜けるため、コンテナに水が溜まらなくなりました。
水を捨てる作業は1回5秒から0秒になり、水を運ぶ重労働もなくなりました。

専門家コメント
水洗いした部品を乾かす際に折りたたみコンテナに溜まった水を、これまでは溜まる都度捨てていたものを、コンテナに水抜き穴をつけることで、自動で排水するようにした改善ですね。
水を捨てる手間を省き、なおかつ水を運ぶ重労働も無くして事故の予防にもつながる、とても素晴らしい改善だと感心いたしました。改善活動、ご苦労様でした。
この改善活動の肝は、いままで当たり前のように実施していた作業に疑問を投げかけたところにあります。
そこで、ぜひ実施していただきたいのは、日々の仕事で当たり前のように実施している作業すべてについて、ムダ・ムリ・ムラが無いか今一度検証していただき、新たな改善活動に繋げていただければと思います。自動で排水するアイデアを思いついた感覚をもってすれば、必ず何らかの改善内容を見つけることができるはずです。
ぜひ、がんばってくださいね。では、次回の報告をお待ちしておりますね。期待しております。
5S改善評価:合計48点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | B | 11点 |
| (2)改善の独自性 | B | 12点 |
| (3)改善の難易度 | C | 7点 |
| (4)清潔レベル | B | 13点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | D | 5点 |
| 合計 | B | 48点 |
(1)成果の大きさ:B(11点)
理由:改善報告の試算は年180秒(180円)で、時間の数字としては小さい。一方で、水を捨てる手間に加えて、水を運ぶ重労働がなくなり、事故の予防にもつながっている。体への負担と安全面の効果を含めて「満足のいく成果」と評価する。ただし数値で示された効果が小さいため、帯の下側に置く。
(2)改善の独自性:B(12点)
理由:「溜まった水を捨てる」という当たり前の作業に疑問を持ち、「そもそも溜まらないようにする」発想に切り替えた。専門家も、この点を改善の肝として挙げている。容器に穴を開けて排水する方法自体は他の現場でも見られるため、「標準的に発想ができる改善」と評価する。
(3)改善の難易度:C(7点)
理由:改善報告に書かれているのは、コンテナに水抜き穴を付けたことです。大がかりな加工や設備の変更は読み取れず、作業時間の記載もない。「そんなに時間をかけない改善」と評価し、根拠が少ないため帯の下側寄りに置く。
(4)清潔レベル:B(13点)
理由:水が溜まってから捨てる「後追い」から、水が溜まらない構造に変えた。発生そのものを抑えており、「同じ状況なら再発が起きにくい改善」の上側と評価する。ただし、排水先の処理や穴の詰まりへの対策は改善報告に記載がないため、Aには届かない。
(5)習慣(しつけ)レベル:D(5点)
理由:穴あきコンテナを乾燥に使うルール、他のコンテナへの展開、穴の点検についての記載がない。穴は付けたまま残るため乱れにくいが、標準化の動きはまだ見えない。「習慣化を促さない単発的な改善」の上側と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
数字だけを見ると小さな改善に見えますが、5Sの大切なポイントがいくつも入っています。特に次の4点をしっかり評価したいところです。
- 当たり前の作業を疑った。「水が溜まったら捨てる」は、毎回のことだからこそ見過ごされがちです。そこに疑問を持てたことが、この改善の出発点です
- 「捨てる」をやめて「溜まらない」に変えた。捨てる作業を速くするのではなく、作業そのものをなくしました。1回5秒が0秒になったのは、そのためです
- 体の負担と安全に効いた。水の入った容器を運ぶ重労働がなくなり、運ぶ途中の事故の予防にもつながっています
- 人が気をつけなくても続く。穴は付けたまま残るので、誰が乾かしても同じように水が抜けます。清潔レベルがB(13点)の上側なのは、この点です
あと18点でAランク。習慣・清潔・成果を積み上げる
合計48点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと18点です。1項目だけで届く差ではないので、3つの項目を順に上げていく形になります(例)。
| 上げ方(例) | 習慣 | 清潔 | 成果 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|---|
| 現在 | D(5点) | B(13点) | B(11点) | 48点 | B |
| 穴あきコンテナの使い方を標準化・周知・点検まで進める | A(16点) | B(13点) | B(11点) | 59点 | B |
| 排水先と穴の詰まりまで仕組みにする | A(16点) | A(16点) | B(11点) | 62点 | B |
| 同じ使い方のコンテナすべてに展開する | A(16点) | A(16点) | A(15点) | 66点 | A |
最初の一歩は習慣(しつけ)です。乾燥には穴あきコンテナを使うと決め、表示と点検日を決めるだけでも、点数は大きく動きます。
「水が溜まる」の先にある不具合を、起きる前に防ぐ
この改善は、水が溜まってから捨てる「後追い」を、水が溜まらない「未然防止」に変えた、良いお手本です。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。次は、穴を付けたことで新しく起こりうる不具合も、起きる前に防ぐ形にしていきます(例)。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み(例) |
|---|---|
| 抜けた水で床が濡れ、滑りやすくなる | 乾燥場所の下に受け皿や排水の通り道を決める |
| 穴が汚れや異物で詰まり、また水が溜まる | 穴の点検を、清掃の手順と点検表に入れる |
| 穴のないコンテナが乾燥に使われる | 穴あきコンテナに「乾燥用」の表示を付け、置き場を分ける |
| 小さな部品が穴から落ちる | 乾燥する部品の大きさに合わせて、穴の大きさを決める |
床の濡れや排水先は安全に関わるため、安全の担当者と確認しながら進めてください。専門家が勧めるように、当たり前の作業すべてをムダ・ムリ・ムラの目で見直せば、次の改善が必ず見つかるはずです。
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