この事例は、溶接治具のあたりを銅に変えてがたつきをなくした整頓事例で、専門家評価はBランク(58点)。ドア板の位置ずれと手直しがなくなった。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓(治具の精度向上) |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 治具(ドア板を溶接するときにワークをはめ込む電極のあたり) |
| 専門家評価 | Bランク(58点。Bは46〜65点) |
| 効果 | ドア板の位置ずれがなくなり、作業がスムーズになった。ずれがなくなったため、手直しもなくなった。ローラーイタ付け4秒短縮×300台=1,200円、手直し60秒×約30台=1,800円、月3,000円、年36,000円の削減(改善報告の試算) |
改善前の状態(Before)
ドア板(改善報告では「ドアーイタ」)を溶接するとき、ワークをはめ込む電極のあたりに、大きながたつきがありました。そのため、ドア板の位置がずれやすく、作業がスムーズに進まず、ずれた製品には手直しが必要でした。

改善内容(After)
電極のあたりを銅に変更し、がたつきをなくしました。銅にしたことで、あたりが摩耗しにくくなり、精度が長く保てるようになっています。
がたつきがなくなったことで、ドア板の位置ずれがなくなり、作業がスムーズになりました。ずれがなくなったため、手直しもなくなりました。

専門家コメント
溶接時にワークをはめ込む電極のがたつきが大きかった状態から、あたりを銅に変更してがたつきをなくし、さらに摩耗しにくくした改善ですね。
がたつきを無くすことで、治具の精度を高め、品質不良を無くして手直しのムダも無くし、さらに、その工夫が長続きするように素材まで工夫されている点がとても素晴らしいと感じました。
改善活動、ご苦労様でした。
さて、今後のさらなる改善ですが、ぜひ横展開を検討していただければと思います。現在、使用されている溶接時の治具の中に、樹脂のままのものがあると思われます。樹脂の治具であれば、同じようなことが発生しているはずであり、今は使えていても、将来同じように精度が悪くなっていく可能性があります。この機会に、同じようにあたりを金属に変えるようにしていただければと思います。
また、写真を見る限りで恐縮ですが、この治具がどの商品のどういう場面で使用されるのかが、明確では無いように見受けられます。ぜひ、それぞれの治具に名前をつけて見える化を実現してくださいね。
では、次回の報告をお待ちしておりますね。期待しております。
5S改善評価:合計58点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | A | 15点 |
| (2)改善の独自性 | B | 12点 |
| (3)改善の難易度 | B | 10点 |
| (4)清潔レベル | A | 15点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 6点 |
| 合計 | B | 58点 |
(1)成果の大きさ:A(15点)
理由:ドア板の位置ずれがなくなり、作業時間の短縮(4秒×300台)と、手直し(約30台分)の解消につながった。改善報告の試算で月3,000円、年36,000円の削減。時間だけでなく品質不良の防止にも効いているため、「やや大きい成果」と評価する。
(2)改善の独自性:B(12点)
理由:がたつきを抑えるだけでなく、長続きするように、あたりの素材を摩耗しにくい銅に変えた点に工夫がある。治具のあたりの材質を見直す発想は、現場の改善としては標準的な範囲にある。「標準的に発想ができる改善」と評価する。
(3)改善の難易度:B(10点)
理由:電極のあたりを銅に変えるには、材料の用意と、ワークに合わせた加工・取り付けが必要になる。ただし、改善報告には所要時間や加工の内容の記載がないため、帯の下側に置いた。「標準的な時間でできた改善」と評価する。
(4)清潔レベル:A(15点)
理由:位置ずれの原因であるがたつきそのものを取り除き、さらに摩耗しにくい素材にして、ずれの再発を起こりにくくしている。ただし、銅のあたりの点検や交換の基準までは示されていない。「発生源を抑え、再発しにくい改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(6点)
理由:今回の改善は1つの治具への対策で、ほかの治具への横展開や、治具の名前・用途の表示、点検のルールは、改善報告に記載がない。専門家コメントでも、横展開と見える化が今後の課題として挙げられている。「ルール未整備の改善」と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
合計58点のこの事例は、Bランクの中ほどにある改善です。特に次の3点は、しっかり評価したいところです。
- 「ずれ」の原因まで戻って直した。ずれたら直す、ではなく、ずれを生んでいた電極のがたつきそのものをなくしています
- 時間と品質の両方に効いた。作業がスムーズになっただけでなく、手直しという品質のムダもなくなりました
- 長続きするように素材まで工夫した。専門家も、摩耗しにくい銅を選んだ点を「とても素晴らしい」と評価しています
あと8点でAランク。習慣を2段階上げる
合計58点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと8点です。習慣(しつけ)レベルをC(6点)からA(14点)に上げると+8点で、合計は66点になり、Aランクに届きます。B(12点)までだと+6点で64点なので、あと一歩足りません。
専門家コメントの2つの提案が、そのまま習慣を上げる道筋になります。1つは、樹脂のままの溶接治具を洗い出し、同じようにあたりを金属に変える横展開。もう1つは、それぞれの治具に名前を付け、どの製品のどの場面で使うかを見える化することです。名前と用途が表示されていれば、整頓の3定(定位・定品・定量)のうち、「何を置くか(定品)」がはっきりし、誰が見ても正しい治具を選べるようになります。
| 上げ方 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|
| 現在 | C(6点) | 58点 | B |
| 習慣をBに | B(12点) | 64点 | B |
| 習慣をAに | A(14点) | 66点 | A |
「治具の精度が落ちる」を、起きる前に防ぐ
銅に変えたあたりも、使い続ければ少しずつ傷んでいきます。ずれが出てから気づいて手直しする、というのが「後追い」です。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。「気をつけて見る」に頼らず、精度が落ちる前に気づける形にしておくことが、次の一歩になります。
| 起こりうる不具合 | 未然防止の仕組み |
|---|---|
| 樹脂の治具で、同じがたつきが起きる | 溶接治具を洗い出し、あたりを金属に変える(専門家コメントの提案) |
| 違う治具を使ってしまう | 治具に名前と使う製品・場面を表示する(専門家コメントの提案) |
| 銅のあたりの摩耗に気づかない | (例)点検の頻度と、交換の目安を決めて表示する |
| ずれたまま溶接してしまう | (例)ワークをはめ込んだあとに、ずれがないか確かめる手順を作業手順書に入れる |
(例)と書いた案は、改善報告にはない提案です。溶接設備の電極に関わる変更なので、設備・安全の担当者と確認しながら進めてください。今回の工夫を他の治具にも広げれば、Aランクが見えてきます。
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