この事例は、NC機から遠かった潤滑油の置き場を、NC機の裏に設けた整頓事例で、専門家評価はBランク(48点)。取りに行くムダがなくなった。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改善の種類 | 整頓 |
| 改善場所 | 工場 |
| 改善対象 | 備品/置き場(潤滑油) |
| 専門家評価 | Bランク(48点。Bは46〜65点) |
| 効果 | 潤滑油を取りに行く必要がなくなった。1日平均20秒短縮×20日で、1カ月あたり400秒の削減(改善報告の試算)。潤滑不足によるトラブルの防止にもつながる |
改善前の状態(Before)
新型のNC機から潤滑油の置き場までが遠く、潤滑油は機械から離れた場所に保管されていました。使うたびに、都度取りに行く必要がありました。
取りに行く往復の時間は、1回ごとは短くても、毎日の作業の中では気づきにくい「見えにくいムダ」です。取りに行くのが面倒になると、潤滑のタイミングが遅れるおそれもあります。

改善内容(After)
NC機の裏に、潤滑油の置き場を設けました。潤滑油を機械のすぐ近くに配置し、手の届く範囲に常備できるようになったため、わざわざ取りに行く必要がなくなりました。
改善報告の試算では、1日平均20秒の短縮×20日で、1カ月あたり400秒の削減です。

専門家コメント
改善前は潤滑油が機械から離れた場所に保管されており、使用する際には都度取りに行く必要がある状態でした。そこで潤滑油を機械のすぐ近くに配置し、手の届く範囲に常備することによって、わざわざ取りに行く手間を無くした改善ですね。
このような「ムダな動き」に気づいてすぐに使える配置へ改善してくれたこと、本当にありがとうございます。この改善によって、作業効率だけでなく潤滑不足によるトラブルの防止にもつながるとても効果の高い取り組みになったと思います。
次に考えてみてほしいのは、その潤滑油の容器がどこにあるのかが誰にでも分かる表示になっているか?です。たとえば「潤滑油置場」と表示しておいたり、床にテープで囲って定位置化しておくと整頓された状態がより保てるようになります。こうした整頓の仕掛けが清潔な職場の維持につながっていきますので、ぜひ工夫してみてください。次なる改善報告も楽しみに待っています。
5S改善評価:合計48点(Bランク)
| 評価項目 | 評価 | 点数 |
|---|---|---|
| (1)成果の大きさ | A | 16点 |
| (2)改善の独自性 | C | 8点 |
| (3)改善の難易度 | C | 8点 |
| (4)清潔レベル | C | 8点 |
| (5)習慣(しつけ)レベル | C | 8点 |
| 合計 | B | 48点 |
(1)成果の大きさ:A(16点)
理由:潤滑油をわざわざ取りに行く手間がなくなったことで、日常的な作業の効率が向上し、設備トラブルの予防にもつながるという大きな成果が得られている。現場全体への波及効果も大きく、高い実用性を評価し、「やや大きい成果」と評価する。
(2)改善の独自性:C(8点)
理由:「使う場所の近くに必要な物を置く」というのは5S整頓の基本原則であり、発想としては誰でも思いつきやすい。ただし、収納方法や視覚管理の工夫があれば評価はさらに上がる。「よく似たタイプが多い改善」と評価する。
(3)改善の難易度:C(8点)
理由:潤滑油の配置を変える作業は、比較的簡単かつ短時間(15〜30分以内)で完了できる内容と想定される。特別な加工や調整も不要なため、「そんなに時間をかけない改善」と評価する。
(4)清潔レベル:C(8点)
理由:潤滑油を使いやすくした点は非常に良いが、こぼれ対策(トレーやマットの設置)や、ラベル・定位置表示による管理の仕掛けがまだ導入されていない場合、整った状態が乱れる可能性がある。今後は「潤滑油置場」表示や保管環境の清掃性を高める工夫が必要。「何かのきっかけで再発する改善」と評価する。
(5)習慣(しつけ)レベル:C(8点)
理由:現状では整頓が単発で終わっており、補充のルール、容器の担当者、定期チェックなどの維持の仕組みが明確でない場合は、習慣化が難しくなる。運用ルールや表示の標準化ができれば、B評価以上が見込める。「徹底すべきルールを設定した改善」と評価する。
評価できる点と、Aランクに近づく次の一歩
評価できる点
独自性・難易度はC(8点)ですが、それは「基本に忠実」ということでもあります。この事例は、次の点をしっかり評価したいところです。
- 「ムダな動き」に気づいた。潤滑油を取りに行く動作を、毎日の作業の中から拾い上げました。専門家も、この気づきに感謝しています
- 使う場所に置き場を移した。機械のすぐ近く、手の届く範囲に常備したことで、整頓の基本原則をそのまま形にしています
- 成果がA(16点)。作業効率が上がっただけでなく、潤滑不足によるトラブルの防止にもつながる効果を出しました
専門家も「整頓の基本を忠実に実践した好事例」と評価しています。基本をきちんとやり切った点に価値があります。
あと18点でAランク。清潔をS、習慣をAに上げる
合計48点のこの事例は、Aランク(66点以上)まであと18点です。成果・独自性・難易度は今のままで、清潔レベルをC(8点)からS(20点)に、習慣(しつけ)レベルをC(8点)からA(16点)に上げると、合計は68点になり、Aランクに届きます。
| 上げ方 | 清潔 | 習慣 | 合計 | ランク |
|---|---|---|---|---|
| 現在 | C(8点) | C(8点) | 48点 | B |
| 清潔をS、習慣をAに上げる | S(20点) | A(16点) | 68点 | A |
「どこにあるか分からない」「こぼれる」を、起きる前に防ぐ
専門家が指摘するとおり、置き場が誰にでも分かる表示になっていないと、容器が別の場所に移ったり、他の物が置かれたりして、せっかくの配置が少しずつ崩れていきます。潤滑油は、こぼれると床や機械まわりの汚れにもなります。清潔レベルの最高位は「問題を未然に防止できる仕組み」です。「戻すよう気をつける」に頼らず、乱れやこぼれが起きにくい形にしておきます。
専門家が挙げた「次のステップ」は、次の4つです。
- 床にテープで囲って定位置化する(視覚管理)
- 「潤滑油置場」と明示表示する
- こぼれ対策のトレーを設置する
- 点検・補充の担当者やルールを設定する
未然防止の視点で考えると、容器の置き場にトレーを敷いて受け皿にする方法もあります(例)。表示と定位置、こぼれ対策に加えて、補充の担当と点検のタイミングを決めておけば、誰がやっても同じ状態を保てるようになり、習慣(しつけ)のレベルも上がります。次の改善報告では、この「乱れない仕組み化」まで進めた内容を、ぜひ聞かせてください。
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